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2010.05.22
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カテゴリ: 洋画

「バットマン・ビギンズ」のクリスチャン・ベイル出演作。
 他に、007/ゴールデンアイで006を演じたショーン・ビーンも出演。
 原題は「EQUILIBRIUM(均衡・平衡の意)」だが、邦題は「リベリオン(REBELLION。反乱の意)」となっている。
 本作でいう「EQUILIBRIUM」は、政府政策、政府当局、そして政府そのものを指す。
 邦題では、本作の意図が損なわれている感がなくもない。


粗筋

第3次世界大戦後。
 生き残った指導者たちは、戦争勃発の要因となる人間のあらゆる感情を抑止すべき、という結論に至った。
 そこで、精神に作用する薬「プロジウム」を開発。これを国民に毎日投薬する事を義務付ける。
 これにより、政府は徹底した管理国家体制を敷く事に成功。
 が、その代償として、人間は音楽・絵画などの芸術、そしていかなる娯楽も「感情を高ぶらせる」という理由で禁止となってしまった。
 無論、一部の人間はそれを良しとせず、感情を抑制される事に反対し、芸術を保護しようとした。そうした者は反乱者と見なされる。
 政府は、反乱者を処罰する者として、クラリック(聖職者)の称号を持つ者を組織。クラリックたちは、反乱者を冷酷に処罰していった。
 プレストン(ベール)は、そんなクラリックの一人。冷徹に任務を遂行する非情の殺人マシンだった。しかしある日、彼は誤ってプロジウムの瓶を割ってしまい、止むを得ず薬を投与しないまま仕事を続けてしまう。
 すると、プロジウムの効果が切れてきたプレストンは、感情が蘇り、政府――ファーザーと呼ばれる人物を指導者とする――のやり方に疑問を抱く様になる。
 プレストンはその疑問をひたすら隠し、政府に服従する振りをしながら、反乱者のグループと接触。
 反乱者のグループは、政府の指導者ファーザーを抹殺するよう、プレストンに依頼する。
 しかし、ファーザーはこのところ誰とも謁見していない。謁見するにはそれなりの理由がなければならない。
 そこで、反乱者グループは自分らを犠牲にする事にする。反乱者グループの首謀者を一網打尽にすれば、プレストンは褒美としてファーザーとの謁見が許されるだろう、と。
 プレストンは、反乱者グループを逮捕した功績を認められ、ファーザーとの謁見が実現する。
 しかし、謁見の直前に、プレストンは政府について衝撃の事実を知る。
「ファーザー」として君臨していた人物はとうの昔に亡くなっていて、映像としか残っていなかった。政府はその映像を利用して世界を支配し続けていたのである。
 政府の現指導者は、プレストンが自身の直属の上司と思っていた人物だった。
 上司は、プレストンに言う。政府は長年反乱者にスパイを送り込もうとしていたが、政府側の者はプロジウムを打つ必要があるので、潜入出来ない状態にあった。といって、プロジウムを打っていない者を送り込むと、ミイラ取りがミイラになってしまう。そこで、プレストンの様にふとした出来事でプロジウムを打つのを止めた人物が自ら反乱者と接触して、反乱者の信頼を勝ち取り、知らず知らずの内に反乱者を内部崩壊させる、という計画を実行した。要するに、プレストンの行動は政府側にとって全てお見通しだったのだ。
 政府は、反乱者のトップを一応打尽に出来て大満足。用済みとなったプレストンも、「感情に犯された者」として処分する事に。
 が、政府には一つの誤算があった。
 プレストンは最強のクラリックだった、という事。
 プレストンは、クラリックとしての戦闘能力を駆使して、たった一人で政府と立ち向かう……。


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感想

 これぞハリウッド・エンターテインメント、といった感じ。
 深く読み取ろうと思えば深く読めるし、「頭を空っぽにしてとにかくアクションを楽しみたい」と思えばその様にも観る事が可能。
 本当のエンターテインメントとはこうあるべきだろう。

 当然ながら、2時間弱の、単発物(シリーズ作ではない)の映画なので、世界観や、ストーリー運びに穴が多い。

・単なる薬で全世界の人間が支配出来るとは思えない。そもそもどうやってこんな極端な政策が承認されたのか。また、ここまで抑制的な社会が発展出来るのか。登場人物らが言っているように、単に「生きる為だけに生きる」事になってしまう。また、こんな社会を完成させたところで、結局どこに向かうのか。

・国民全員を薬漬けにして、感情を抑制を徹底させる程の管理社会なのに、どういう訳か子供は親と一緒に暮らしている。親に子供を祖出せさせ、子供が親に育てられている状態で、「感情を抑制せよ」とは無理な話。徹底した管理社会なら、子供を親から切り離し、政府が責任を持って育成するシステムになっていなければならない筈。現に、プレストンの子供は、プレストンよりずっと先に反乱者に通じていた。そのきっかけは、母親(プレストンの妻)が感情を持ったとして連行され、処刑された事。もし子供が政府の元で育成されていたら、実の親に対し何の感情も持たなかっただろうから、そんな事にはならなかった筈。

・未来を舞台にしているが、兵器を含む技術は現在のものと殆ど変わらない。こんな社会だと技術の発展はないらしい。

・感情が完全に抑制されている社会なので、感情を少しでも露にすると(涙を見せるなど)、即座に処罰の対象となる。こんな事を続けていたら世の中から人がガンガンいなくなってしまいそう(国民全員が感情が抑制されている、となっている割にはやけに感情を露にする人物もいるが)。

・国民はプロジウムを毎日2回打つ事が義務付けられているが……。打つのを忘れるのはプレストンが初ではなかった筈。これまではどうやって対処していたのか。何故もう少し忘れ難い方法にしなかったのか。

・プレストン一人が反撃に打って出た事で、政府中枢が破壊され、政府は崩壊への道を歩み進む。たった一人の行動でいとも簡単に瓦解してしまう程もろい政府が、強硬な管理社会を築けるのか。

・ハリウッド映画らしく、味方が敵に向けて撃ち放つ弾はガンガン当たり、敵が味方に撃ち放つ弾は掠りもしない(そういう武術を会得している、という設定になっているが)。それを考慮しても、主人公プレストンは強過ぎ。

 おかしな点を上げると切りがないが、上述した様に、単発物の、2時間程度の映画なので、あれこれ述べても仕方ないのかも。

 ハリウッド映画とあって、アクションはやはり凄い。
 このところのハリウッド映画は手持ちカメラで撮影した映像を細切れにして繋ぎ合わせた様な、何が起こっているのか、何を観ているのかさっぱり分からないのが多い。本作のアクションは比較的分かり易い、ダンスの様な「クリーンで格好良い」アクションだった(ガン・カタという本作の為に編み出された、銃と格闘技を組み合わせた武術。敵の配置、人数、弾の軌道を予測して一番効率が良く効果的な動きで敵を倒す、というもの)。
 人が死んでいるのに、痛さを感じさせない、泥臭さもないアクション。「現実性に欠ける」という批判を受けるだろうが、そもそも映画という作り物なのだから、現実性をひたすら追求するアクションより、この手のアクションの方が見応えがある(こういうのばかりでも飽きるけど)。
 日本映画のアクションシーンとも、香港映画のアクションシーンとも異なる。
 何故日本ではこうしたアクションシーンを撮影出来ないのか。

 演出も脚本もハリウッド的。
 日本の映画では、登場人物が必要のない台詞を延々と喋る。台詞を役者に言わせる事こそ演技であり、演出なのだ、と。脚本は、とにかく登場人物らに台詞を喋らせなければならない、感情や思考を全て台詞にして表すようでなければならない、と。
 本作は、登場人物らの台詞はそう多くなく、喋ったとしても短い。感情や思考を台詞ではなく、表情で表すようにしている。非常に分かり易い、リアルな演出。これも、日本映画が見習うべき演出法。

 日本映画だと「芸能界の失業対策」と言わんばかりに多数のタレント・俳優が登場し、それぞれにそれなりの役割を持たせるが、本作では登場人物は最小限で、著名な俳優はごく一部。殆どは無名の俳優で固めている(自分がそう思っているだけなのかも知れないが)。

 本作は、日本映画が見習うべき点が多い。
 日本の映画制作者は、ハリウッド映画のこういう部分をきちんと研究した上で日本ならではのテイストを加えて映画を製作してみたらどうか。

 上述した様に、007/ゴールデンアイで006を演じたショーン・ビーンも出演しているが……。
 早々と退場している。
 ショーン・ビーン、てこうした脇役としか採用されないのかね。

 本作は、平和主義へのアンチテーゼにもなっている。
 戦争がない方がいいに決まっている。世界が平和になった方がいい。ただ、それを無理に実現したところで、幸福が待っているとは限らない。
 本作で描かれる極端な管理社会も、「戦争のない平和な世界」である。
 が、その代償は大きく、結局崩壊し、新たな混沌した世界の引き金になってしまっている。
 幸福な世界とは程遠い。


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Last updated  2010.05.22 14:39:45
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