非常に適当な本と映画のページ

非常に適当な本と映画のページ

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Category

カテゴリ未分類

(340)

洋画

(279)

邦画

(85)

邦書

(140)

洋書

(57)

ニュース

(735)

DVD

(8766)

Comments

Favorite Blog

まだ登録されていません
2015.04.04
XML
カテゴリ: 洋画
 マトリックス・シリーズを手掛けたウォシャウスキー姉弟(当時は兄弟だったが、兄が女性に性転換したとか)によるSF大作。
 出演はミラ・クニス、チャニング・テイタム、ショーン・ビーン。
 原題は「JUPITER ASCENDING」。


粗筋

清掃員として働くジュピター・ジョーンズ(ミラ・クニス)。こんなうだつの上がらない人生は嫌だ、と常に思っていた。
 そんなある日、彼女は謎の生物によって襲われる。
 絶体絶命の危機に陥った段階で、元宇宙軍兵士のケイン(チャニング・テイタム)によって救われる。ケインは言う。お前は銀河王国の前女王の遺伝子を備えており、銀河王国を相続する権利がある、と。
 ジュピターは、訳の分からぬまま宇宙に連れて行かれ、相続の手続きを済ませ、正式な相続者となる。
 すると、宇宙王国を支配している現在の王の妹と弟の間を行き交う羽目になる。
 いずれも彼女を利用するか、殺すか、利用してから殺そうとしていた。その度にケインに救出される。
 王の妹と弟は、彼女に断片的な事しか教えなかったが、話を繋ぎ合わせると、驚愕の事実を知る。
 地球にいる人類は、宇宙王国によってもたらされたものだった。宇宙王国にとって地球は農場で、人類は収穫物に過ぎなかった。人類が一定の数まで増えた段階で収穫し、その生命によってもたらされた「水」によって永遠の命を手に入れ、自分らにとって最も重要なものである「時間」を得ているのだ、と。
 地球の人類も一定の数に近くなっているので、近々収穫の対象となる予定だった。無論、収穫した時点で、人類は滅亡する。
 ジュピターは、それを阻止しようと現在の王と直接対決しようとするが、彼女より一足早く行動していた王は、ジュピターの家族を人質に取っていた。
 ジュピターは、自分自身の家族と、全人類を両天秤にかける事を強いられるが、ケインがまたもややって来て、彼女を救出。
 ジュピターは、王を倒し、家族を救い、人類滅亡の危機からも救う。


楽天ブックス(large)

感想

 マトリックスは、不朽のSF大作と見なされているが、本作は同じプロデューサーが手掛けたとは思えない駄作との評価されている。
 マトリックスも、改めて見直してみると、CG映像に革命をもたらした点を除けば、大した映画ではないのだが。

 本作の最大の問題点は、地球を含めた全宇宙を支配する王国による陰謀に、王国の正統な相続者がたった一人で立ち向かう、というスケールのでかいストーリーの筈なのに、小さくまとまってしまっている事。
 主人公ジュピターを、清掃員にしてしまったのが、そもそも間違っている。
 教養や知識があるとはお世辞にも言えない清掃員を主人公にすれば、何をやったって小さくなってしまうのは避けられない。
 結局彼女は宇宙にまで行きながら、最終的には「宇宙王国が絡んだゴタゴタと比べたら、清掃婦という人生も悪くはない」と考えを改めてしまい、あれ程嫌がっていた清掃婦の仕事に前向きになる、というしょぼい結末で終わっている。

 本作が何を目指していたのかも分からない。
 スターウォーズの様なSF大作シリーズを目指しているにしては、登場人物に深みも魅力もない。
 描かれているマシンも、スターウォーズやスタートレックの様な雄大さは感じられない。

 シリアスな映画を目指しているにしては、ジュピターが役所に出向いて王国の相続権を獲得する下りは笑えないコメディになっている。
 といって、コメディにしては前後のアクションが無駄に派手で、相続権の場面以降はやけにシリアス(といって緊張感は得られない)。

 ストーリー展開も、プロデューサーの都合で一方的にガンガン進められるだけ。登場人物はそれを疑問に思う余裕すら与えられず突き動かされているに過ぎない。
 だからただの清掃員に過ぎなかったジュピターは、謎の生物に襲われても、宇宙兵士に救われても、宇宙王国の相続人だと告げられても、宇宙に飛び立っても、宇宙王国を相続しても、相続を巡って殺されそうになっても、それらを「ハイハイハイ、何となく分かりました」と受け止めるだけで、全く動じない。
 この神経の図太さを持ちながら、ただの清掃員に留まっていた事に、寧ろ驚く。
 主人公が何にも動じない、無感情なキャラなので、感情移入もし難く、どんな危機に陥っても観ている側は手に汗を握る事はない。「ま、どうにかなるでしょう」と思ってしまう。
 これは、ケインを含む、他の全てキャラにも通じる。

 本作では、ジュピターは、前の宇宙王国の女王と同じ遺伝子を持っていた為、王国を相続する権利を得た、となっている。
 遺伝子は、宇宙王国の者にとって、精神的に重要なもの、という設定である。
 この部分が分からない。
 遺伝子は、所詮生物の基本的な設計図に過ぎない。
 遺伝子自体には、人間が人間である為に必要とされる知識や記憶や意識はないのである。
 遺伝子さえ維持されれば他は何も重要でない、というのなら、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児の場合、片方が死んでももう片方が生きていれば、その人間は死んではない、という事になってしまう。一卵性双生児であっても知識や記憶や意識は別、という事実を完全に無視している。
 仮に、人間の記憶や知識を別の身体にそのままそっくり移植し、コピーが出来たとしても、意識までも移植出来ない限り(乗り移る感じ)、同じ記憶を持ち、同じ様に行動する人間が二人出来上がるだけ。元の人間が死ねば、意識自体はその命と共に消滅してしまう。コピーは、元の人間が死んだ後も生き続け、元の人間通りに考え、行動し続けるだろうが、意識の面では、全く別の人間であり、一卵性双生児の片割れと何ら変わらない。
 本作では、ジュピターは前女王の遺伝子は持っているが、前女王の記憶・知識・意識は当然ながら引き継いでおらず、全く別の人間。クライマックスの場面で、「私はあなたの母じゃない!」と叫びながら、王を倒しているが、まさにその通りなのである。
 遺伝子信仰が強過ぎないか。

 主人公を演じるミラ・クニスは、目鼻がはっきりとしてはいるが、美人とは言い難く、演技力も海外の俳優にしては下手(そういう風に演技するよう、指導されていたのかも知れないが)。台詞を棒読みしているだけで、それがキャラクターにもストーリーにも感情移入出来ない原因にもなっている。

 本作をしょぼくさせているのがジュピターという、清掃員の主人公。
 いっそ彼女や、遺伝子に関する部分を省いた方が、スケールの大きなストーリーになっていたと思われる。

 ……宇宙王国の女王が何者かによって謀殺される。女王の長男、長女、そして次男が、王国の相続や利権を巡って動き始め、辛うじて均衡を保っていた王国が崩壊し、全宇宙を巻き込んだ大戦争へと発展する……

 ……これの方が、ずっと面白かっただろうに。


人気blogランキングへ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2015.04.05 00:30:38
コメント(0) | コメントを書く
[洋画] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: