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2015.05.11
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カテゴリ: 洋画

トータル・リコール
映画「 トータル・リコール
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 フィリップ・K・ディックのSF短編小説We Can Remember It for You Wholesale(邦題「追憶売ります」)を下敷きにして製作されたアーノルド・シュワルツェネッガー主演作Total Recall(邦題「トータル・リコール」。1990年公開)の、リメーク。
 本作では、主人公をコリン・ファレルが演じる。


粗筋

21世紀末の世界大戦で、地上の大半は居住不可となる。
 富裕層はヨーロッパを中心としたブリテン連邦(通称UFB)に居住し、貧困層は反対側のオーストラリアを中心としたコロニーに居住するようになった。コロニーの住民は、UFBの労働力として、「ザ・フォール」と呼ばれる巨大なエレベーターに乗ってUFBに通勤し、働いていた。
 その様な状態になってから数十年。
 UFBからの独立を目的とするマサイアス率いる反体制組織レジスタンスのテロ活動が盛んになり、UFB代表のコーヘイゲンはロボット警官の増産を唱えていた。
 コロニーで暮すダグラス・クエイド(コリン・ファレル)は、ロボット警官の生産を行う労働者であり、貧しいながら妻ローリー(ケイト・ベッキンセイル)と平凡に暮らしていた。が、クエイドは夢の中で見知らぬ女性(ジェシカ・ビール)と病院を脱出し警官に追われる夢を見る様に。
 そんな事もあって、クエイドはリコール社の宣伝に興味を持つ。リコール社は、作り上げられた「記憶」を、まるで実体験での記憶の様に顧客の脳に埋め込んでくれるという。クエイドはリコール社を訪れ、かねてから興味があった政府の諜報員の記憶を埋め込んで貰う事に。
 が、埋め込む直前に、警察特殊部隊が乱入して来て、クエイドを殺そうとする。クエイドは、自分でも信じられない戦闘能力を発揮し、警察特殊部隊を倒してしまう。
 訳が分からないクエイドは、自宅へ逃げ帰る。ローリーが出迎えるが、彼女もクエイドを殺そうとする。クエイドは、自分はローリーと何年も結婚生活を送っていたと思っていたが、彼女によると、「夫婦生活」は僅か数週間に過ぎないとの事だった。
 更に、クエイドは驚愕の事実を知らされる。彼は本当はクエイドではなく、ハウザーというUFB諜報員だった。レジスタンスに潜入したものの、感化されてしまい、レジスタンスの為に動くようになった。二重スパイとして、ハウザーはUFBから重大な情報を盗み出し、レジスタンスに渡す所だったが、捕まってしまい、記憶を消され、クエイドとして生活していたのだという。
 クエイドはコロニーに向かい、レジスタンスと接触する事に。その時点で、夢の中で出会っていた女性メリーナと会う。メリーナは、クエイドをレジスタンス本部に連れて行き、リーダーのマサイアスと会わせる。
 が、実はこれこそがUFB側の狙いだった。ハウザーは、レジスタンスに寝返ったのではなく、寝返った振りをしていただけだった。寝返った振りをしてみたもののレジスタンス本部には連れて行ってもらえなかったので、クエイドという偽の記憶を作り、レジスタンスの警戒を解き、マサイアスを接触出来る様に芝居したのだった。
 また、UFBで頻発していたテロ事件も、実はレジスタンスが起こしていたのではなく、コーヘイゲンの支持の下行われた自作自演だった。UFBは人口が増えており、手狭になっていたので、コロニーとUFBの一元化が必要になっていた。そうするにはコロニーがレジスタンス指導で独立されては困るので、「コロニーがレジスタンスの指導の下我々を攻撃している」という大義名分でコロニーを侵略し、住民を一掃する計画だった。
 クエイド/ハウザーの居所を常時把握していたコーヘイゲン率いるUFB特殊部隊が、レジスタンス本部へ攻め込み、マサイアスを殺す。レジスタンスは壊滅的なダメージを受けた。
 コーヘイゲンは、クエイドに感謝の意を示す。褒美として、元のハウザーに戻してやる、と言う。
 が、クエイドは、ハウザーに戻る気はなかった。徹底抗戦し、コーヘイゲンもローリーも倒し、コロニー独立への道を開く。


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感想

 大まかなストーリー運びは、1990年版と同じで、驚きは無い。

 違いは、ストーリーの設定。1990年版は、舞台が地球と火星に分かれていたが、本作は舞台は地球に留まっている。
 未来の地球として、描かれている世界の風景は、かなり未来的になってはいる(ブレードランナー(こちらもフィリップ・K・ディックが原作)を物凄く意識しているが)。
 マシンによるカーチェイス等、アクションシーンは1990年版より大幅に向上しているが、CG技術の駆使が当たり前になっている最近のハリウッド大作から抜きん出ているものではない。

 目立つもう一つの違いは、登場人物。
 1990年版は、主な悪役は政府機関の主導者、その副官の男性(マイケル・アイアンサイドが演じていた)、そして主人公の妻の振りをしていた女悪党(シャロン・ストーンが演じていた)だった。
 本作では、副官と、主人公の妻の振りをしていた女悪党は、ローリーという一人のキャラに集約されている。
 1990年版では、シャロン・ストーンの役が中盤であっさりと退場してしまうので、物足りない部分があったが、本作ではケイト・ベッキンセイル演じる女悪党は最後まで主人公を追い続けるので、物足りなさは無い。
 問題は、女悪党を演じたケイト・ベッキンセイルと、ヒロインを演じたジェシカ・ビールの顔立ちがやけに似ていて、見分けが付かなくなる事。
 ハリウッド映画界では、黒人団体の影響が強いからか、何卒黒人俳優が捻じり込まれる事が多い。「とりあえず黒人俳優をキャスティングしておこう」的な配役で、不自然になってしまっている映画も少なくない。
 が、本作に至っては、ヒロインと女悪党が双方とも白人。何故今回に限って片方を黒人にしておかなかったのか、と思ってしまう。

 1990年版は、主人公は「アクションなら俺に任せろ(アクション以外では使い物にならない)」のアーノルド・シュワルツェネッガーが演じていたが、本作の主人公を演じていたのは、アクションスターとは言い難いコリン・ファレル。迫力溢れる筈の戦闘シーンも、緊迫感に欠ける。ラストの戦いも、コリン・ファレルと、コーヘイゲンを演じたブライアン・クランストンというオッサンとの戦いで、これもまた緊迫感に乏しい。
 ハリウッドでも男女平等が叫ばれており、女優でも男性並みのアクションを演じる事が当たり前となっている。本作も、女悪党を演じるケイト・ベッキンセイルが、ヒロイン役のジェシカ・ビールがアクションシーンを披露する。ただ、女優(しかもモデル並みの美貌と体形)によるアクションは、所詮「アクションシーンのコーディネーターが考案した動きを見事に演じ切りました」といった感じで、オッサンによるアクションシーン以上に緊迫感に欠ける。
 結局、男優らによるアクションも、女優らによるアクションも、血沸き肉踊る感覚にはなれないのである。
 女性が観る事を想定した恋愛ドラマはともかく、野郎の鑑賞者がメインのアクション映画に、フェミニズムを盛り込まないでほしい。

「クエイドの大活躍によりUFBの野望は挫かれました。コロニーは自由への道が開けました。めでたしめでたし」で、本作は終わっている。が、UFBやコロニーの将来が明るいのか、というとそうでもなさそうな。
 UFBの人口問題はそのまま残る。
 コロニーは、マサイアスという有能なリーダーを失った。リーダー抜きでコロニーが独立したところで、まともな国造りが出来るとは思えない。
 クエイドのお陰で、UFBもコロニーも大混乱に陥る可能性が。

 リメーク版においては、「新解釈」を盛り込んだが故にオリジナルの良さが完全に損なわれてしまった、という批判が多い。
 本作は、オリジナルにほぼ忠実。
 では、満足出来るものに仕上がったのかというと、逆に新しさが全く感じられず、物足りなさが残る。
 どう転がろうとリメークは酷評される運命にあるらしい。

 1990年版は、公開当時はアクションと特撮を上手い具合にミックスしたSF大作として話題になったが、現在の視点で観ると、シュワルツェネッガーによるアクションはともかく、特撮は陳腐で、ストーリーにも斬新さは感じない。
 果たして大金を掛けてリメークする程のものだったのか。
 これだったら、1990年版をデジタルリマスターして、再公開すればいいのに、と思う。これは本作に限らず、過去の多くの作品にも言える事だが。
 つまらない、新しいだけが取り得の最新作なんかより、過去の傑作を再び大スクリーンで観たい、と声を上げる者は少ないのか。


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Last updated  2015.07.09 18:21:24
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