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2017.04.09
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カテゴリ: 邦書
宮尾登美子による、源義経に関する随筆。
 義経の誕生から、その死に至るまでの経緯を、独自の解釈と共に綴っている。
 小説ではなく、著者本人が読者に語り掛けるようにして義経の人生を辿って行く、という内容になっている。
 NHK大河ドラマ「義経」の原作となった。


粗筋

 源氏の頭領義朝は、平氏との権力争いに敗れ、関東に逃げ戻る途中で謀殺される。
 義朝の子供も捕えられ、殺されるが、幼かった頼朝や義経は命を助けられ、各地に追放される。
 実権を握った平氏への不満が京で高まると、源氏を復活させようとの声が上がり、成人していた頼朝はそれに応じる。
 頼朝の元に駆け付けたのが、奥州に追放されていた弟の義経。
 義経は平氏滅亡の為に奮闘するが、あまりの活躍振りに頼朝に疎んじられるようになり、奥州へと逃亡。
 しかし、奥州でも疎んじられるようになり、31歳の若さで自害する。



解説

本書は小説ではなく、義経の生涯について、私見を絡めて長々と綴ったもの。
 歴史的な資料に基づいた見解ではなく、著者が女性として、母親として思いを馳せて、導き出した解釈を押し通そうとする部分が何か所も見られる。
 その解釈に納得出来れば問題無いが、納得出来ないというか、感情移入し過ぎだろうと感じてしまうと、その世界に入っていけない(壇ノ浦の戦い直前に、義経が平家に嫁いだ妹に対し手紙を送り、命が助かるよう手続きしておく下り等)。

 たった1冊の本(小説では無いので、台詞は無い)が、放送期間が1年間にも及ぶ大河ドラマの原作になれたとは驚く。どれだけ膨らませたのかと思ってしまう(別の長編著作平家物語も絡めたというが)。

 本書を読む限りでは、義経は戦闘の天才というより、まぐれで勝ち続けたラッキーな武将で、運が尽きた時点で慌ただしくあの世へ旅立った、といった印象を受ける。
 一方、兄である頼朝は、武将というより「政治家」で、戦したのは生まれて初めて挙兵した時と、義経没後の奥州征伐の時だけで、それ以外は「征夷大将軍としての政治基盤を固める為」を理由に一向に鎌倉から動かず、親族や臣下らに戦わせている。初の挙兵直後の戦に負けて、絶体絶命の危機に陥っているので、政治的手腕はともかく、戦は下手だったのだろう、と思わざるを得ない。本書を読む限りでは人間的な魅力に乏しく、源氏の頭領の嫡男、というだけで周りによって祭り上げられていただけの印象を受ける。実際、幕府の体制が整いつつあった時点で、最早用済みと言わんばかりに急死し、北条氏による執権政権を許してしまっている。全てが北条氏による陰謀だったとしても、不思議ではない。

 義経は判官贔屓の代名詞にもなっており、奥州では死んでおらず、大陸に渡ってチンギス・ハーンになったのでは、という説も流れている。
 しかし、本書ではその可能性を否定している。父親代わりで、後ろ盾だった藤原秀衡を亡くした時点で、庇護を受けていた奥州の地でもお尋ね者状態となってしまい、自分の命運は尽きたと悟り、あっさりと自害した、と。
 これだったら、奥州から頼朝の元に駆け付けてきた義経は秀衡が送り込んだ偽物で(本物はとうの昔に死去)、それを知っていた頼朝が戦闘が上手かった偽義経を利用するだけ利用した後、あっさりと見切って死なせた、という説の方が納得がいく。本書では、それに関しては一切触れておらず、平家滅亡の為に奮闘した義経は、正真正銘の頼朝の弟、という事になっている。





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Last updated  2017.04.09 18:40:14
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