「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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NEW桃太郎 第五話
第五話 決戦、鬼ケ島の巻
鬼ケ島は周囲4キロ程の小さな島だ。サル吉たち十九人は、犬山が手配した小型船二隻に乗って、人知れずこの島に上陸した。鬼たちとの戦いはその直後から始まった。
はじめは、不意打ちがうまく成功し猿軍団十五人衆たちの働きもあり、苦戦は強いられたものの、大きな怪我をする者もなく、サル吉たちは勢いで勝っていた。
しかし、犬山が言うには、百八匹いるという鬼のうち、三十匹余りをたおした直後から戦局は一転する。
まず初めに討ち死にしたのは、サル五郎だった。仲間のサル助をかばっての、壮絶なものだった。さらにそのあと、エテ三郎、サルナリ、サル之進が次々と討ち死にしていった。
「このままでは、いずれ全滅だ。少人数ずつ、何手かに分かれよう」
提案したのは犬山だった。彼とキジ村の本当の目的は、これまで鬼が人々から奪って来たお宝だった。犬山は、このどさくさにまぎれてお宝を探すためにこう提案したのだった。
「よし、ならば、目標はあの鬼の城だ。あそこを目指してひとまず分かれよう」
サル吉の提案で一行はいくつかのグループに分かれた。
しかし、その作戦は裏目に出た。鬼の城までたどり着いたのはサル吉をはじめ、たったの五人だった。そこには、エテ八、サル太夫、サルミチ、サルイエ、サルアキ、サル助、エテロク、さらに犬山、キジ村、あの桃太郎の姿までもなかった。
目の前の城の中、鬼は残るところ五匹余り、もうだれも死ぬわけにはいかなくなった。
「・・・そうか・・・桃太郎までも死んでしまったのか・・・あいつには悪いことをした。わたしがあそこで誘ってさえいなければ命をなくさずに済んだものを・・・」
サル吉は最後の決戦を前に、死んでいった者たちを思い、少しよどんだ天を仰いだ。そして、最後の決戦に挑むべく、鬼たちの待ち受ける城へと突入していった。
一方、死んだはずの犬山とキジ村は、島に上陸した地点のちょうど裏側に位置する洞窟内にいた。ここは鬼のお宝が隠されているという場所であった。
「キジ村、あったぞ!」
頑丈そうな石造りの扉を開けると、荷車いっぱいの金銀財宝がまばゆいばかりの光を放って、そこに横たわっていた。
そこで二人は早速それを運び出し、サル吉たちに気づかれぬうちに島から運び出すことにした。これには荷車は大変便利だった。島の外周を海岸に沿って運ぶというルートだったが、予想よりはるかにスムーズに事は運んだ。
そして、お宝を船に載せると、次は自分達が乗り込んだら出発というときだった。
「待てよ。おふたりさん!」
現れたのはなんと、桃太郎だった。船の中に隠れていたのだった。
「貴様、なぜここに!」
「バーカ。あんなあぶねー所、長居は無用だってんだよ。だから、百万はもったいなかったけどトンズラこいちまおうと思ってここに来たんだが、こりゃスゲーお宝だぜ、百万どころじゃねーや。こいつは俺様がいただいた。おとなしくそこに残るんだな」
そういいながら、もっていた剣で船をつないでいた縄を切ると、お宝と桃太郎をのせた船は岸から離れだした。
キジ村は黙って見ておられず船を追いかけようとしたが、そこを犬山に止められる。
「犬山、いいのか?お前が見つけたお宝なんだぞ!」
「ああ、私はお宝そのものには何の興味もない。だからそのお宝が誰の手に渡り、どうなるかなんてどうでもいいのだ」
「ばかな、それなら何故トレジャーハンターなんかをしてるんだ?」
「わからないか?お宝ではないのだ。私はそれを探すという行為が好きなのだよ」
「わからん。ならば、あのお宝を私が奪ってもかまわないというのか?」
「ああ、すきにするがいいさ」
「・・・まったく、わからん奴だ・・・で、それならこのあとどうするんだ?」
「とりあえず、サル吉殿を待つよ、あの人ならきっと生きて帰ってくる。それからだ」
「・・・そうか、ならばわたしもそうするか・・・」
こうして、二人は船着き場でサル吉たちが帰ってくるのを待った。
しばらくして、戻って来たのは傷付いたサル吉たった一人だった。
「・・・なんだ、お前たち生きていたのか・・・よかった・・・鬼たちは制圧したが、モン次郎、エン蔵、エン十朗、サル衛門をはじめ十五人衆は全滅、桃太郎の奴も死んでしまった」
「いや、桃太郎は生きていますよ」
「なんと、それは本当か?今はどこに?」
「あいつは・・・もうここにはいません。逃げ帰りました」
「そうか・・・それで船が一隻ないのだな・・・ん?あそこに見えるのは?」
サル吉が気づいたその物体はサル吉が留守を預けてきたエテ丸配下のモン吉だった。
「お頭様!大変です!光秀が謀反を起こしました!」
「なにぃ!それで、親方様は?御無事なのか?」
「・・・それが・・・残念ながら・・・本能寺にて・・・自害なされました・・・」
「くっ、親方様っ・・・何ということだ。私の留守中に・・・おのれ光秀!生かしておくものか!」
サル吉は主を守れなかった無念さと、光秀への怒りのためにわなわなと震えていた。
「私はこれから光秀を討ちに行かねばならぬようになってしまった。そち達はどうする?」
サル吉の問いに犬山はこう答えた。
「私もお供しましょう。信長公の仇討ちに」
「私は別の用がありますのでここでお別れです。ですが、いつか近いうちにまたお会いすることもあるでしょう。その時こそ、私があなたのお力になるときでしょう」
キジ村はそう言い、乗ってきたもう一隻の船に乗り込み、桃太郎が去って行った方向へ向かった。
そして、サル吉と犬山はモン吉の乗ってきた船で信長公の仇討ちに向かうのであった。
つづく
次回、最終話
お宝の行方の巻。
に続くぜ!どんなオチが待っているか、乞うご期待!
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