ふゆゆん亭

ふゆゆん亭

私が読んだ本・11




「戦慄」上下 コーディ・マクファディン著

長島水際=訳  ヴィレッジブックス


【中古本】 戦慄〈上〉 (ヴィレッジブックス)

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【中古本】 戦慄〈下〉 (ヴィレッジブックス)

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■あらすじ■(裏表紙より抜粋)

・上 

その、はかなくも美しい少女の心は、
地獄のどこかにあった――。

ある住宅街で起こった凄惨な一家殺人事件。

ただひとり生き残った16歳の養女サラの要請で
現場に急行した辣腕FBI捜査官スモーキーは、
彼女の証言を聞き衝撃を受ける。

6歳の時からつきまとう「ストレンジャー」なる男が、
サラに手伝わせてこの凶行に及んだのだという。

自らも苛烈な体験をしたスモーキーでさえ
震撼するような事件だが、
手渡されたサラの日記には、
さらに想像を絶するストレンジャーの所業が綴られていた!

少女の心に闇を生んだ、
この男の目的と正体は?

『傷痕』の著者による衝撃サスペンス!



・下(上を読んでいない人にネタバレあり)

両親を目の前で惨殺され、
心に闇を作ってしまった美少女サラ。

スモーキーは彼女に、
自分の養女ボニーと通じるものを感じ、
事件にのめりこんでいく。

そして、サラの日記に綴られた
ストレンジャーの常軌を逸した犯行の数々をたどるうち、
ついに明らかな因縁を発見した。

子どもたちを食いものにし、
虐待する冷酷非情な人間たちにまつわる因縁を・・・・・・・。

その者たちへの復讐こそ
犯人の目的だと確信したスモーキーは、
過去の事件を洗いはじめるが、
そこには戦慄の事実が潜んでいた!

デビュー作『傷痕』で出版界を驚愕させた著者が、
満を持してはなつ注目の第2弾。





■感想■

これは珍しくブックオフで買った本で、
仙台の近くの店には新しいサスペンスもあって
少しばかり驚いて秋に買ったものだった。

いつも通りに何の情報もなく
裏表紙のあらすじを読んで選んだ。


これは不屈の精神の持ち主、
FBI捜査官スモーキーが1年前にレイプされ
夫と娘を目の前で殺され、
顔に傷を刻まれ、

その半年後に親友アニーを殺され、
その娘ボニーは死んだアニーに3日間縛り付けられたいた
恐ろしいデビュー作『傷痕』の続編で、

スモーキーのこれまでの状況を読んでいるうちに
ぞっとしていたら、

自分の頭に銃を突き付けて
スモーキーを殺人現場に呼んだ16歳のサラは
6歳の時からある男に家族を無理心中に見せかけて殺され、

その後も愛する人を次々に奪われ、
人生を捻じ曲げられ絶望の果てで生きて来たことが解り、

少女を苦しませて
人生を作り上げる事を喜びをしているストレンジャーが
ひどくおぞましくて休み休み読み進んだ。


図書館の本じゃない事は
ゆっくり読んでも気楽にしていられる所で
十数年振りにのんびり読書をした。

図書館の本は
何でも取り寄せられて便利だが、
返却期日があるので焦ってしまう。

そして最近は具合が悪いので
図書館にも行けないのだった。

だから自分の本は
のんびり気楽に読めて楽しかった♪


上は厳しくて辛かったけれど
下に行くと物語が走り出したようで
私にしてはかなり早く読めた。


この手のクライムサスペンスを読んで思うのは
選べない環境のせいで狂う人とそうでない人の違いは
多分味方がいるかいないか・・・ではないかなと
そう思う。


でも、
実際の事件を起こす人の事情は解っていないから
犯罪者の追跡調査を知りたいと思った。

何故人は自滅へと向かってしまうのか。
それを自分で変えて行けるのか。


スモーキーを支えているのは
やはり愛なんだろうけれど
それを持っていない人はどうしたら良いのだろうかと
考えてしまった。


強くてしぶとくて魅力的な主人公と登場人物達が
恐ろしい話を緩和してくれていると思った。

読み応えはたっぷりで、
新人でこんな話を書くとは驚きだ。


デビュー作の『傷痕』を読むかどうか
恐ろし過ぎてちょっと自信がない。



2011・03・05(水)





後記 2011・03・06

よく考えてみると、
レイプされ顔に傷を付けられ
夫と娘を殺されてから
たった1年しか経っていないのに
もう乗り越えて荷物を片付けるスモーキーは
余程タフなのか?

しかもその半年後に親友が殺されたのに
親しい男性も出来て楽しんでいる。

有り得ないと思うなぁ。
心の傷は日々深まるのじゃないかな?

心に刻まれた恐怖心に
苦しんだりしないのかな?

暫く泣いて
立ち直る経験じゃないと思うなぁ。

この辺は作家の都合かな?
と思ってしまった。

たった1年で?

余りのスプラッターな内容、
おぞましさに振り回されて
大切な所を読み落としたのかもしれない。




●読んだ本●


「刻印」レスリー・グラス著

翔田亜朱美=訳  講談社文庫


 【中古】文庫 刻印【10P06Apr11】【画】

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■あらすじ■

サンディエゴの砂漠で女子大生が体に不可解な焼印を押され殺された。
同じニューヨークでは、新進女優に不気味な脅迫状が。
二つの事件を繋ぐ痕跡を知った刑事エイプリルは、女優の夫である精神科医と共に、執念の犯人追跡を開始する。
アメリカで”「羊たちの沈黙」に匹敵するサイコ・サスペンス”と絶賛!



■感想■

珍しく自分の本だったので、
3月から読み始めてゆっくり読み進めていたら
11日に巨大地震があり、
図書館も地震と津波で
いつ再開するか解らない状況で
残っていた本屋も閉店していたり
遠くの本屋まで行くガソリンもなかったため、
残りの半分を毎日少しず~~つ少しず~つ
じっくり味わいながら読んだ。


エレン・エマ・チャールズ・ウー・グレブス
これだけの登場人物の視点で書かれているので
始めに感情移入するまで時間が掛かった。

作家が精神分析の専門家なので
恐怖心を掻き立てるのが上手いのだが、
反面、推理や行動面が地味でリアルだった。

主人公のウー刑事が中国系の女性で
ウーの考え方や行動面に
中国の文化が非常に濃く影響しており、
アメリカで生きる中国人の複雑な環境について
初めて思いを馳せた。


アメリカのサスペンスだから
犯人は非常にアメリカ的なのに
それを追う中国系2世米人のウー刑事は
母親のうるさい干渉を疎ましく思いつつも
自分の感情を出さないように行動し、
常に中国の文化を背負って生きていて
移住した外国人や2世がどのように生きているのか、
日本で生まれて育った私には
全く想像の付かない事だったので大変参考になった。

最後に、
エマとチャールズ夫妻のその後が少しでも書いてあれば
読後感の満足度が違ったのかなと思った。

地味で実際的で日常的なウー刑事の仕事ぶりは
逆に新鮮だった。


最近の日本のサスペンスドラマは
これまでのお決まりコースのお粗末な退屈なものか、
アメリカの真似をしたエキセントリックなものか、
職人的な追求型かになっていると思う。

「告発 国選弁護人」のような
日本の上質なサスペンスをもっと築いて欲しい所である。

器をそっくり同じように作ってみても
中に入っているものが借り物なので
残念なドラマばかりで大変つまらない。

だからウー刑事の地味な仕事振りが
とてもリアルで好感が持てたのかもしれない。

日本はアメリカよりも英国ドラマの真似の方が
元々の気質に合っているように思うのだが
いかがだろうか?


これはサイコパスのシリアルキラーVS
精神科医&中国系2世の真面目で堅実な女性刑事の
地味な対決サスペンスホラーと言う所かな。

映画にしたらいや~な汗をかきそうだ。











●読んだ本●


「背信の海」ルアン・ライス著
栗木さつき=訳 集英社文庫


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■あらすじ■

ジョンは刑事裁判の被告弁護人。
今は少女連続殺人事件犯の弁護人を務める。

男手ひとつで
ふたりの子どもを育てている彼の前に
ケイトという女性が現れる。

ケイトは失踪した妹ウィラを探していた。

ジョンを訪ねたのは、
妹が連続殺人の犠牲者の一人である疑いを
持っていたからだ。

ジョンとケイトは、
ウィラの捜索を通じて、
次第に惹かれあっていく。

そして新たな少女殺人事件が発生した…。



■感想■

大事なものを失った時に
改めてその大事さを知ることがある。

日常は考えずに流れて行く惰性があり、
その中で大事なものをしっかり把握しておくのは
とても難しいことだと思う。

私も今回の東日本大震災で
ライフライン復旧までの1週間と
普通に買い物が出来るようになるまでの
1ヶ月の間に日常の大切さを
改めて体を通して知ったのだった。


そしてこの小説のヒロインのケイトは
辛い状況の下で立ち去った妹を
もう一度取り戻すために探し回り、

あの時どうしていたらこうならなかったのか、
あの時どうしたら良かったのか
毎日毎日繰り返し苦しんで来た。

そのように身を振り絞るような苦しみの中で
掘り出される真実と言うものが、
この小説の中で大事なものとなっていると感じた。


一番大切なものは愛。

そして失われた時からの
再生と前進。

それがこの小説の主題で、
単なる推理小説では飽き足らない読者には
読み応えのある一冊となっている。


ジョンが連続殺人犯の弁護をしているため
狭い地域での人間関係が複雑なものとなり、

子ども達も辛い思いをするようになった経緯や
母親を亡くしてからの思いが繊細に綴られて

日常の思いが積み重ねられて行く様子が
とても読み心地が良かった。

ジョンの息子のテディ(14歳)と娘のマギー(11歳)が
とても生き生きしていて読むのが楽しかった。

文学作品としても十分な作品だと思った。

追い詰められて
苦しんで苦しんで見つけた宝物。

この宝物を見つけられた事は
人生で最大の宝物だと思う。

ジョンとケイトは難題に立ち向かい
人生最大の宝物を見つけた。


推理小説としては少し強引な部分があったけれど
騙されたよね。
最後の最後まで騙された。

最後に来て全てを組み替えなくちゃいけなかった。
やられたよね。


個人的な感想としては
ケイトの妹のウィラも
ジョンの子ども達も
大切にされ愛されて愛されて愛されているのが
とてもうらやましかった。

これほどに愛されている関係は
私には想像出来ない。

これほど正直に自分の内面を
さらけ出せない自分がいるからだろうか?

私の廻りに壁があるのだろうか?
そんな事も考えてしまった。

それほどこれは愛に溢れた小説で
身近に見たことのない関係なのだった。

見返りを求めない与えるだけの愛情は
人を豊かにするんだろうなと思った。

心の安定と粘り強さに
一番大事なものなんだと思う。


大震災で荒んでいた心に
愛がたっぷり染み込んで癒しとなった(*^▽^*)

この本を贈ってくれたNさん
助かりました。
ありがとうございましたm(_ _)m

20110507頃に読了










●読んだ本●

「夢みる宝石」シオドア・スタージョン著

永井淳=訳  早川書房




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■あらすじ■

家出少年のホーティがもぐりこんだのは、
普通でない人間たちが集うカーニバル。

団長のモネートルには奇妙な趣味があった。
宇宙から来た不思議な水晶の蒐集と研究だ。

水晶たちが夢をみるとき、
人や動物や植物が生まれる――
モネートルはそれを利用して、
己の野望を果たそうとしていたのだ。

そのことを知ったホーティやカーニバルの団員は、
恐ろしい運命の渦に巻きこまれていく。

幻想SFの巨匠がつむぎだす珠玉の名品。




■感想■

二十代で読んで以来、
ずっと心の友と思っていた「夢みる宝石」をネットで買い、
今年の初め頃から少しずつ読んでいた。

ホーティの描写にも惹かれ、
ホーティやサーカスの団員達の性格にも惹かれた。


スタージョンの描く世界は
とても不思議で謎めいていて
居心地が良い。

どこにいても違和感を感じていた十代二十代に
ようやく共感できる人を
見つけた気持ちになったものだった。


久々に読んでみると
若い頃に見えていなかったものが
色々見えて面白かった。

そしてやはり居心地が良くて
私も混ぜて欲しくなった。


スタージョンの感性の凄さに
満腹したヽ( ̄▽ ̄)ノ

昔大切だった1冊は
今読んでも宝物だった。

またじわじわ読んで楽しみたい。



20110512頃に読了







●読んだ本●

「サウスバンド・上下」奥田英朗著
角川文庫








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■あらすじ■

小学校6年生になった長男の僕の名前は二郎。
父の名前は一郎。
誰が聞いても変わっているという。

父が会社員だったことはない。
物心ついた頃からたいてい家にいる。
父親とはそういうものだと思っていたら、
小学生になって級友ができ、
よその家はそうではないことを知った。

父は昔、過激派とかいうものだったらしく、
今でも騒動ばかり起こして、
僕たち家族を困らせるのだが――。


――2006年本屋大賞第2位にランキングした
  大傑作長編小説!





■感想■

主人公二郎の一人称で語られる物語は
とても読み易くて面白かった。

最近の小学生はこんな目に合うのか!
とビックリしながら
ハラハラドキドキ
読み始めたら止まらなくなった上巻だった。

こんな父親の下で生きるのは
非常に不快だと、
二郎にいたく感情移入し
同情した。

反面、大雑把で大胆で
人のことなど全く頭になく
がむしゃらに走り出す父親の大胆不敵さは
良くも悪くも二郎に大きな影響を与えるので
二郎が非常に面白い人間になるだろうと思い、
友達になりたいと思った。

これは何小説と言うのだろうか。

悪い方向に走り出すストーリーに
ビクビクしながら読み進めると
親が豪胆なせいか
何とか上手く切り抜けて
二郎が成長して行くので、
己の恐怖の体験や
その後の惨めさを考えてしまった。

豪胆な親の影響があって
強さを身に付けたのだろうか。

ううむ。

上巻を読み終えて、
初めて題名に納得したのだった。

今時はこんな豪胆な変人なかなかいない。




下巻の感想を書くとネタバレになってしまうので
詳しくは書けないが、

上巻ではやっかい者なだけだった父親が本領発揮して
生存本能が俄然燃え出し肉体派となり、
とても頼もしいと言うか
何とかなるさと言うか、
やりたい放題と言うか、

やはり物事は考え方次第なんだなぁと
非常に強く思った。

何だって自分の見方で
物事の質も量も変わってしまえるのだなと
実に興味深かった。


先日義姉と電話で話をしていた時に、
「一日に7合炊いても足りないくらいに
 うちの男子はすごく食べるので、
 美味しいお米なんて買ってられないんです」

と言ったら、
次女を病気で亡くし
長女も闘病を続けいてる義姉は

「あら健康でいいじゃない。
 ご飯を沢山食べれたら
 何だって大丈夫よ。
 生きていれば何とかなるんだから」

全くその通りだと思った。

こんなにご飯ばっかり食べてお金が掛かる
と思うか、
これだけ食べれたら元気でありがたい
と思うかで
その次に来る思いは全く違う。


二郎の父のようになりたくはないが
自分に正直に素直に考えて表現して生きていれば
生きているのが楽しいだろうと思った。


下巻の方は
まさかぁ~と思いつつ読んだが、
とても爽快で笑ってしまった。

「そして父と母は伝説になった」
と笑い話にしてしまえる凄い両親だ。


親から抑圧され奪われて育ったので
二郎の親のような
奔放で自分に正直な親の元で育つと
子供がどう思うのか
全く想像がつかないのだが、
実に愉快だった。





この本を贈ってくれたLake Moraineさん
楽しい本をありがとうございますm(_ _)m

(地震と津波と原発の厳しさに低迷し
 読んでから感想書くまで
 1ヶ月半掛かってしまった(=_= ))









●読んだ本

「愛おしい骨」キャロル・オコンネル著

務台夏子=訳 創元推理文庫

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 【中古】文庫 愛おしい骨【10P13Jul11】【画】

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こちらは中古でお手軽



■あらすじ

十七歳の兄と十五歳の弟。
ふたりは森へ行き、
戻ってきたのは兄ひとりだった。

二十年ぶりに帰郷したオーレンを迎えたのは、
時が止まったかのように保たれた家。

誰かが玄関先に、
死んだ弟の骨をひとつずつ置いてゆく。

何が起きているのか。
次第に明らかになる、
町の人々の秘められた顔。

迫力のストーリーテリングと
卓越した人物造形。

『クリスマスに少女は還る』の著者渾身の大作。




■感想

骨が愛おしいなんて
愛情が深過ぎて恐い表現だと思ったが
読んでいるうちに納得が行った。

キャロル・オコンネルの描く世界に住む人々は
とても個性的で魅力的な人が沢山出て来るのだが
この小さな町コヴェントリーにも
とびきり個性的な人々が暮らしていて
読み終わった今も
その町で暮らしている気がする。

そのくらいに
人々の暮らしがしっかり描かれていて
一人一人に愛情が注がれていると感じる。

キャロル・オコンネルは人間観察や
受け取り方がとても豊かなんだろうと思う。

その人そのものが深い心の人なんだろうな。


弟の骨が一つずつ置かれて行くのは
とても不気味で謎に満ちているが
町の人達の行動や反応もまた
非常に面白くてバックボーンを知りたくなる。

だから1ページとして無駄なページはなく、
1ページとしてつまらないページがなかった。

推理小説としても最高だったが
コヴェントリーの町に暮らす人々の小説として
とても読み応えがあった。

口を利かないままの
避け合う少女と少年の愛憎を
20年も見守り続ける町の人達なんて
私の経験では考えられない。

何があったのか知りたくなるじゃないか!!

そして弟が何故死なねばならなかったのかを
調べるオーレンと共に
町の人達の生き様を知って行くのは
沢山の謎解きのようだった。


恐ろしい巨大地震後の非日常の中で
少しずつ読んだのだが、
思いやりや長年積み上げた愛情が
ジワジワと心に染み込んで
とても読み甲斐のある一冊だった。


興味が湧いた方は
是非どーぞ(*^_^*)




図書館が閉館で、
これらの本を贈ってくれたNORIKOさん
ありがとうございましたm(_ _)m

何年か経ったらまた読み返したい1冊です。


読み終わって2~3ヶ月経ってしまって
ようや~く感想が書けました。

私も少し立ち上がれたようです。





●読んだ本●

「ホーン岬まで」森忠明著 くもん出版




【送料無料】ホ-ン岬まで

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価格:1,325円(税込、送料別)




ホーン岬まで 森忠明



作・森忠明 絵・藤川秀之 形態・短編集
対象・小学上級 シリーズ名・くもんの創作児童文学3
出版元・くもん出版 
発行年月日・1990年11月30日
ISBN-87576-581-9 C8393



目次

・ホーン岬まで
・だいぼさつとうげ
・タチカワ・ブルース
・ほこりをかぶった星
・信州しなのの
・お客人
・水にうかぶ雪
・有明へ
・その胸




■感想■

ホーン岬という耳慣れない地名と
挿絵の個性的な雰囲気に惹かれて借りた一冊。

森忠明少年が小学低学年~中学生までの
折々の話が載せられている。

子供から見た厳しい現実と状況が
一人称で素直な感情と言葉で書いてあり
淡々と流れる文章とは裏腹に
心にずっしりと残る思いがあった。

それは友情と交流と喪失の話。

昭和の文章はとても美しくて
しっかりしている。

何か独特の世界に浸り
不思議なタイムトリップをしたような
しっとりした秀逸な児童書だった。










■森忠明 (ウィキペディアより)

森 忠明(もり ただあき、1948年5月11日 - )は、
日本の詩人、童話作家。東京都立川市出身、在住。
大東文化大学日本文学科中退。
弟子に園田英樹、長原啓子などがいる。


昭和40年(1965年)、「高3コース」4月号に投稿した詩が入選する(選者は寺山修司)。
昭和41年(1966年)、寺山修司に師事し、詩と脚本を学ぶ。
昭和42年(1967年)、天井桟敷文芸演出部に入部。
昭和43年(1968年)、大東文化大学中退。
昭和44年(1969年)、天井桟敷を離れ、フリーになる。
昭和48年(1973年)、73児童演劇脚本募集でNHK賞を受賞。
昭和52年(1977年)、『きみはサヨナラ族か』がNHK少年ドラマシリーズで放映される。
昭和62年(1987年)、『へびいちごをめしあがれ』で新美南吉児童文学賞受賞。
昭和63年(1988年)、『その日が来る』で赤い鳥文学賞受賞。
平成3年(1991年)、『ホーン岬まで』で野間児童文芸賞受賞。









●読んだ本●

「サレンダー」 ソーニャ・ハートネット
金原瑞人・田中亜希子=訳 河出書房新社


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価格:1,890円(税込、送料別)




■あらすじ(扉より抜粋)

ぼくは、死にかけている――
短い生涯を終えようとする少年、ガブリエル。

病床で思い出すのは、兄を殺めた呪わしい事件と、
悪魔のような少年、フィニガンとの邂逅。

街が連続放火されるなか、
ついに明かされる秘密とは?




■感想

「ぼくは死にかけている。美しい言葉。
 チェロの長くゆったりしたため息のようだ。
 ダーイイング。
 けれど、美しいのは響きだけ。」

詩のような始まりの文章で綴られる
死にかけている17歳の少年ガブリエルの毎日は
ベッドの中で寝返りさえ打てず、
思い出と後悔を辿るだけだ。

7歳の頃の兄の死と
10歳の頃のフィニガンとの出会い。

両親の抱える問題を
ガブリエルはそうと気付かず
一緒に背負い続けて来たのに
自分を責め続けていた。

生まれ育つ環境を選ぶ事は
誰も出来ない。

ガブリエルの深い哀しみと喪失と孤独と悔恨を
誰も癒す事は出来ない。

「サレンダー」はガブリエルが飼っていた犬の名前で
この物語の象徴ともなる存在だ。


そう言う訳で哀しい物語だから苦しくなり
途中から飛ばし飛ばしで拾い読みした。

私は人の不幸を
自分の事のように感じてしまうので
客観的に読めなくなる事がよくあるのだった。

母親の言葉行動一つ一つが
自分の子供時代を思い出させるのだった。


ソーニャ・ハートネットはオーストラリアの作家で
13歳の時に書いた小説で15歳でデビューし、
その後もヤングアダルト向けとも大人向けとも言えない
若者の容赦ない小説を出し、
沢山の賞を受賞しているそうだ。

確かに容赦ない内容だった。

児童書と言うジャンルに
分けるものではないと思う。

子どもが子どもとして生きられる世界になればいいのに。

みんなどうして子ども時代の事を忘れて
生きられるんだろうか?

大人になると子どもの時に感じたり
考えた事を捨ててしまうのは何故だろう?

大人だって子どもだったのに。


もっと元気な時にちゃんと読み返したい。



■Surrender=降伏



20111202頃ぱらっと読了







●読んだ本●

「サリーの帰る家」 エリザベス・オハラ著
THE HIRING FAIR

もりうちすみこ=訳 さ・え・ら書房







■あらすじ■

「雇われの市?それって、奴隷と同じじゃない!
『アンクルトムの小屋』そのものだわ!
そんなもの、行かない。母さん、いやよ!」

夢想家の少女が、父の急死で遠い農場にやとわれ働くことに。

読書でつちかった洞察力を駆使し現実にたちむかい、
思いやりのある一人前の娘に成長するまで。



■感想■

これはアイルランドが独立する前の
19世紀後半の物語だ。

家事が嫌いで逃げてばかりいた13歳のサリーが
父の死をきっかけに働きに出て逞しく賢く成長していく。

電気も車も電話もない時代に
家事や家畜の世話をしたり、

ささやかな買い物をして楽しんだり
3人の子ども達の世話をする様子が
生き生きと描かれている。


甘えることの出来ない状況で
責任を持って自分を抑えて行動せざるを得ない。

そうして一人で泣きながら頑張った時、
サリーはしっかりと足が地に着いて
今までの生活がどれほど恵まれていたのか
母や妹をどれほど愛していたのか
ハッキリと自覚して一気に成長した。


失ってからその大切さに気付いたり
愛している事に気付いたりするのはよくあるが

少女が子ども時代を捨てて
一人の女性になる覚悟をする様子が
切なくも頼もしい。

日常を日々を大切にするようにと
思い出させてくれる一冊だ。





20111222頃に読了












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