Angel

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全て | 日々の日記 | 小説
January 15, 2008
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カテゴリ: 小説
「でも...」

「雲雀の言うとおり、願いが叶うらしい。強き想いなら...。だから、やっぱり見て欲しいな!あっ、女将!祭りの当日ですが...」

ここに泊まって、舞を見るように、結局、説得されてしまった。雲雀様と辰巳様による人脈、信頼のあつさにより、決定したのだ。

「...鈴ちゃん、忙しいのにごめんね。」

由希ちゃんは、本当に申し訳なさそうに謝った。

「気にしないで!私は、由希ちゃんに見てもらえるの、嬉しいよ!」




帰り際、雲雀様は、由希ちゃんを呼び止めた。

「...私のせいですか?」

「...いいえ。私は断ることなんて出来ません。私の大切な場所がなくなるくらいなら、お嫁に行くくらいどうってことないです!雲雀様が気になさることないんですよ!だから、貴方は幸せになって下さい!」



「...由希さん。」

彼女は、優しい笑顔で笑い掛け、一礼し、辰巳様の元に走って行った。


「...辰巳様、ちょっと良いですか?」

「...由希さん、どうしたの?」

「...鈴ちゃんのこと、宜しくお願いします。この先、辛い時、私は傍にいてあげられない、だから支えて下さい!」

彼女の発言に耳を疑った。


「...どうして、そんなことを?!」

「鈴ちゃんの優しいから、心配なんです!たとえ、鈴ちゃんが誰を選んでも、辰巳様だけは支えになって欲しい。雲雀様は、きっと、ずっと守ってあげられないと思うんです。きっと傷付いたら、自分をずっと責め続けて、生きていく気がして...」

由希ちゃんは、誰よりも味方で、優しいお姉さんみたいな人。だから、こんな事を言ったんだと思う。何もかも予測していたかのように、全てを辰巳様に託していた。

「由希さんは、雲雀が好きなんだろう?どうして、橘を選んだの?鈴奈が、雲雀を選べば俺は...」

辰巳様は、まだ信じられないと言うような表情を浮かべ、悲し気だった。



強く優しい想いで護ろうとしていた。

「...分かった。俺には、まだ無理かもしれない。鈴奈を生涯、護ると約束する。だから、幸せに...」

辰巳様は、由希ちゃんの気持ちを知った上で、幸せを願った。

由希ちゃんは、自分の気持ちを終止符を打っとうと、家に帰って、自分の布団の中で、声を殺して泣いていた。

涙が一粒、落ちる度、雲雀様と過ごした記憶を思い出す。




解っていたはずなのに、いつかこんな日が来ることも...

“...雲雀様。...雲雀様が好き。苦しむこと、解ってたのに、止められない。恋なんてしなければ良かった。...忘れられるのだろうか?...雲雀様。”

心の中で、呟いた。


雲雀様も月を眺め、由希ちゃんの想いに気付いたことにより、苦しんでいた。

「...ごめんね、由希さん。」

月の光を浴びながら、誰に見せることない涙を、流し、謝っていた。


雲雀様は、胸を痛めるほど、由希ちゃんの想いに応えられないことを悔やんだ。

ただ、月だけが二人の想いを知っていた。

鈴奈は、残りの数日間を辰巳様との練習をすることで、最高の仕上がりにしていた。



「...明日で、この村ともお別れか...。...蛍、まだいるのかな?」

物思いに更けていた。

「...由希。とうとう明日なんだね!」

隆宏さんが、由希ちゃんの部屋を訪ねて寂しそうに言った。

「...そうよ。私、小さな頃は、隆宏ちゃんのお嫁さんになるのが夢だったの!そうしたら、ずっと一緒に皆と暮らせるでしょ!小さな頃に憧れた花嫁衣装をこんなに早く着ることになるなんて、驚きね...!」

「そうか。由希が赤ん坊の頃から知っていて、オムツを取り替えていたのを昨日のように思い出すよ。」

「...もう、ヤメテよ!///恥ずかしいでしょう!」

顔を紅くして言う。

「...だけど、私の後を付いてきていた君が、嫁に行くのは、兄のように思う、私には寂しいな。...君が、私のお嫁さんになりたいと思ってくれていたのは知らなかったな!本当、出来れば嫁に行かせたくないくらいだ!」

由希ちゃんの表情は少し曇っていた。

「...そんな風に言われたら辛いな。...私、雲雀様が思っていたより好きだったみたい。橘様の元に嫁ぐのに、こんなんじゃいけないよね?」

涙が溢れ、拭いきれない。


静かに抱き締めた。それから間もなくして、隆宏さんは帰っていった。



そろそろ、寝ようとして窓の方に行くと、狐の面を被った男が立っていた。こちらが見ていることに気が付くと、狐は、手招きをしていた。

なんだか、怖い気もしたけど、何だか行かなければならない気になった。招かれるまま、そっと、家を抜け出した。狐は、無言のまま、歩き続け、由希ちゃんの歩幅に合わせて歩いては、時々、彼女の方を見る。

“直感的に、知っている人のような気がして、ならない。着物の着方やこの背丈、立ち姿はもしかすると...。いえ、そんなわけがないわ。あの方は、体調を崩されたと隆宏ちゃんに伺っているし...。”

彼女は、狐の隣でそんなことを考えていた。


鈴奈の家の近くを通り掛かる頃、まだ、練習を続けていた鈴奈は目撃したのだった。

「...よし、明日も早いから寝よー!ん?!あれって、由希ちゃん??」

隣にいる人が怪しいから心配になり、悩んだ挙げ句、辰巳様に相談しようと、部屋の前まで来たが進めずにいた。

「...もう休まれているかもしれない。どうしよう!?」

パニクっていた。

「...鈴奈??どうしたの?」

あまりに不審過ぎたのか、辰巳様が現れた。



「...辰巳様?!良かった!あの由希ちゃんが狐の面を被った人と一緒で心配なんです!だから、一緒に様子を見に行って欲しくて...!!」

すごく一生懸命に訴える鈴奈に対して、狐の面でピンと来たのか、暫くして答えた。


「...良いよ。でも、多分心配するようなことは起こらないよ!狐の正体があいつなら。」

正体がだいたいわかっていると言う口調だった。だけど、教えてはくれない。私はもしもの為に凪刀を持参して、二人の行った方向を追い掛けると、いた。二人は、明日の舞台になる川の方に向かっているみたいだった。



「...辰巳様。あっちって...」

「...舞台だね。」

いつものように冷静に言葉を返す。

「...何で?!」

少し声が大きくなりかけて、尾行しているのバレてしまうと注意された。


二人がたどり着いた場所は、まだ蛍が飛び交う川の傍の草村。

それを見て納得したのか、辰巳様は言った。

「...鈴奈、帰ろう!由希さんなら大丈夫さ。あの狐は、危害を与えないよ!」

「...でも」

「...明日も早いから帰るよ!」

手を握り、強引に引っ張って帰っていく。


ここから先は、二人の邪魔をしては、いけないから...



あの後、何があったかは知らない。



狐は、彼女の前で舞を踊った。彼女は、その姿でやはりと納得した。そのあまりに優しい心遣いに、涙し、見護っていた。

舞の最中、眠った筈の蛍達が狐の素晴らしい舞に惚れ惚れしたのか、彼を照らしていた。この舞は、彼なりの祝言なのだと感じた。



終わって、また、会話がない。

彼女は、聞こえるか聞こえないくらいの声で呟いた。

「...ありがとう。」

「??」

彼は不思議そうに振り返ったが、また、すぐに歩き出した。




彼女が家に入るのを見届け、帰ろうとした。すると、抑えていた疲れが一気に溢れ、足元がふらつき、転びそうなのをしっかり受け止める人物がいた。


「...無茶され過ぎですよ!」

そう言い放つ執事の息子と支えていたのは、隆宏さんだった。

「...お疲れ様でした。さぁ、早く帰りましょう。」

背負われて、帰ることになった狐は、格好悪いと罰が悪そうに溜め息をついた。しかし、二人は、優しさに感動していた。



祭りの当日の朝

幼なじみの由希ちゃんの結婚式にたくさんの人が集まった。場所は、辰巳様の家の神社。

花嫁衣装(白無垢)に身を包んだ由希ちゃんは、いつもより大人ぽっくて、まるで知らない人みたいに近寄りがたかった。


「...鈴奈、何してるの?由希さんと話さなくていいのか?」

躊躇う私に、話し掛けて来たのは、神社の正装をした辰巳様。とても素敵で思わず、見取れてしまうほどの格好良さだった。

「...鈴奈、聞いてる?!!」

「あっ、はい。由希ちゃんがあまりに綺麗過ぎて、なんて声を掛けたら良いのか、分からなくて...」

少し寂しそうに言う私に、辰巳様は

「...君らしいない。いつものように話し掛けば良いんだよ!ほら、行ってきな!俺は、まだやることがあるから!」

背中を軽く押した。由希ちゃんのいる控え室に入っていた。押した辰巳様は、行ってしまった。

「...誰?あら、鈴ちゃん。どうしたの?」

いつものように由希ちゃんは話し掛けてくれた。

「...由希ちゃん!!」

いつもと変わらない彼女に甘えるような声を出し、彼女の所に行った。

「...鈴ちゃんたら、変わらないわね。」

彼女は優しく微笑んだ。

「...由希ちゃん、結婚おめでとう!」


「...ありがとう!遠くに行っても手紙書くから、元気でね!」

由希ちゃんは、そう返した。泣きそうになって、頑張って泣かないようにした。


式が始まった。参列者の中に雲雀様の姿が見当たらない。


終わって、外に出るとなぜか狐の面を被った人達が並んでいた。


「...あれって、まるで狐の嫁入りみたい。」

私が呟くと、辰巳様が言った。

「ふっ...。どこまでもキザな奴。すぐに判るさ!」

キョトンとした私に言った。確かに狐の嫁入り行列なのだが、舞が入っている。その舞方は、雲雀様だった。彼からの二人へのお祝いだった。


終わると、由希ちゃんはこっそり、逢いに行ったのだった。


「...雲雀様、ありがとうございます。私、今日のこと、一生忘れません。...雲雀様、幸せになって下さいね!」

「...由希さん。」

由希ちゃんは、優しくて、精一杯な笑顔で言った。決して、想いを告げることがなく、笑って、ただ好きな人の幸せを願った。雲雀様は、由希ちゃんの優しさに護られていることを知った。



「...いよいよだ。準備は良いか?鈴奈。」

「...はい。」

辰巳様による華麗な舞が舞台で繰り広げられた。


ここで、二人が演じる舞のストーリーを解説!


ーストーリーの解説


この村で、水の神様が祀られていた。作物の実りや村が栄えるようにと願いを込めて、秋の収穫期に村人達は、感謝し、崇める。

神様にとっては、退屈なことだった。求めるものは全て持っているつもりだったが、あの娘(こ)に出逢い、未だ、満たされることのない心を抱えて、様々な感情を知ることになる。


ある晩、河辺に美しく、切なく、悲しい笛の音色が流れた。その音色に心惹かれ、神様は姿をこっそりと拝見。

しかし、そこにいたのは、どこにでもいる村娘。特別、目立つタイプではない、取り分け綺麗な訳でもない。

だけど、この音色に心捕らわれるほど、聴き惚れていたが、突然、音がパッタリと途切れてしまったのだ。

彼女に目をやると、辛そうに怒りのまま、笛を地面に叩き付けてしまいそうな雰囲気だった。しかし、その笛によほどの思い入れがあるのか、笛を大事そうに抱え、泣き崩れていた。、



神様は、そんな彼女に声を掛けるべきか迷っていた。





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Last updated  February 28, 2008 04:03:24 PM
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