Angel

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全て | 日々の日記 | 小説
December 25, 2008
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カテゴリ: 小説
         ~ 私だけの騎士様 ~ 後編



 会場に着いて、ニッコリ笑いながら、皆に手を振る。これ自体は区ではないのだが、ルイの姿が見えない。そして、いろんな国の王子やら伯爵やら、男爵、子爵、侯爵、公爵など、色々来ていてその人達への挨拶に回ったりと本当に腹が立つ。

 逢う人、逢う人、接点が欲しくて近付いて来たりと下心が丸見えで嫌になってしまった。




 座席に戻ると、セシアが手招きをしているのが見えたので、舞台の袖の方に行くと

「姫様。これをどうぞ。この仮面をお付けになって、ルイ様と踊って下さい。キール殿に頼んで、そこにいてもらえるようにしてもらいました。王子様もご了承のことです。王様には話しておりませんので、くれぐれもお気を付けて、行って来て下さいませ。」

「良いの?」

「はい。で、場所ですが...」

耳元で、こっそり言われた場所に、ドレスの裾を持ち、上手く人込みを避けながら、行く。








キョロキョロと辺りを見回しているとそれらしき人物が、女性からの誘いを断っているのを見た。今日は黒調の衣装で我が国の紋章と騎士の紋章があった。

「...貴方は、ル...」

指を口に当てて、言わせてくれない。

「こちらの姫君と約束がありますので、ごめんなさい。」

そう言って、手を取り、その場所から離れた。




 「...先程は失礼いたしました。麗しの姫君。今宵はどうか、私と踊っていただけませんか?」

「...はい。」

曲が始まると同時に、両手を取り、ホールの中央にやってきた。他の参列者にぶつかることなく、上手く舞い踊った。






 曲が終わると、そのまま、庭に連れ出され、月の下でクルクルと何度もワルツを踊る。

「思ったより上手なのですね?...貴方は、今宵だけしか逢って下さらないのですか?」

「姫君が望むのなら、何度だって逢いに来ましょう。」



「今宵は、その名ではありません。さぁ、もう帰りましょう。」

「...ッヤ。...帰りたくない。貴方と一緒にまだ、いたい...」

抱きついて、離れたくないと言った。

「そゆう訳には、いきません。」

さらに強く抱き付いて、顔を近付けて、口付けようとすると彼は観念したかのように、キスをした。初めてのキス。仮面を付けていた、お互いの顔がハッキリと判るわけじゃないけど、確かに愛しい人だと思いたかった。








「もっと、キスして欲しい。」

再び、顔を近付けて、今度は自分から口付けると彼も諦めたように口付けを交わし、何度も角度を変えて、口付けて、時々、甘い声が漏れ、初めて舌を絡ませるような激しいキスをした。

「...可愛い人だ。放したくない...。」

「離さないで...」

「...それは、出来ない約束でよ。だけど、今宵、貴女と言う女神に出逢えたことを幸運に想っています。だから、ずっと忘れません。」

魔法が解ける時間が一刻一刻と近付いて行くなか、彼は優しく抱き締めて呟いた。

「...愛してます。姫君...」

「...そんな風に言わないでよ。離れられなくなっちゃう。」

触れるだけの優しいキスをして、別れた。







 それから数日後、姫様の友人で、踊り娘としてある城に仕えるアリアが、蒼褪めた顔でやってきた。

「...ティファ様。お願いです。助けて下さい。」

泣きながら言うので、どうしたのかと思い、詳しい話を聞くと、彼女の奉公先の姫が、隣国の王子に婚約を迫ったが、その王子は、彼女ではなく、ティファ姫を想っている。それを知った彼女の父がその王子の国と戦争を勃発させたらしい。その戦争で、姫の側近である騎士も行くことになった。その騎士はアリアが長年の間、想いを寄せた相手だ。その彼を助けて欲しいということらしい。
その騎士は、その国の姫が好きなので、一方通行。アリアの扱いも奴隷のような扱いで気に食わないから、かなり前からこの国に来るように勧めていたが、彼女はその騎士がいるからという理由で残っていた。



 「アリア。もう止めなさい。貴女が傷付くのをもう見たくないわ。」

「あの人が生きていて欲しいの。」

アリアが可哀想で、でも、その気持ちが解るから迷った。そこに城の兵から朗報だった。

「姫様。大変です。この国の領地をめぐって、ウィーリ王子の国の兵が攻めて来ようとしております。」

この国も危機に陥った。

「お父様に頼んでくるわ。アリアは、ここにいるのよ。」

姫様は、すぐさま王の元に走って行った。アリアのお願いを頼もうとするとルイとシャール王子がいた。







 「...ティファ。戦争が起こる。覚悟して起きなさい。」

「それじゃあ、皆...」

「王様。姫と二人で少し話しても良いでしょうか?」

嫌そうな顔をしつつも許可した。



 「姫様。私も王子も戦争に行くことになるでしょう。貴女は最後まで、希望を捨てずに、皆を護り下さい。それと約束して頂けませんか?もし、私が無事に帰ることが出来たのなら、私のお願いを聞いてくれませんか?」

「その願いとは?」

「今は、言えません。でも、もし貴女が望まないのなら、それでも構わない。」

「...私が願いを叶えることが出来るのなら、良いわ。必ず、戻って来て...。」

抱きついた。優しく頭を撫でてくれた。そして、彼は王の元に...




 「王様。お願いがあります。この国を勝利に導いた暁には、姫様と結婚させて下さい。姫様には、これが終わってから話すと約束しました。姫様の笑顔を護る為なら、忠誠を誓いましょう。」

ぐうの音も出ないのか渋々。

「分かった。そなたがその約束を果たす時は、姫をお前の嫁にくれてやろう。あとは、あの子次第だ。くれぐれも無事に帰って来るが良い。」

こうして、交渉が成立したのだ。





 戦の前日。私は、お兄様とルイに逢いに行った。

「...お兄様。ルイ。絶対に無事に帰って来なかったから許さないんだから!」

「ティファ。解っているよ!ルイと俺がいれば簡単に負けることない。」

「そうですよ。だから、姫様は安心してお待ち下さい!姫様の優しさはアリア様も解っているはずです!ですから、私たちを信じて下さい。」

お兄様に抱きついて、別れを惜しみ、耳元でお願いした。

「...後ろ向いてて...」

「分かった。」

お兄様はそう言って、後ろを向き。ルイに話しかけた。

「信じてるから...。だから...」

自分から口付けると驚いていた。

「...帰って来なかったら!絶対に許さないんだから!」

「姫様との約束の為に頑張ります。王子、ありがとうございます。では、お休みなさい。姫君。」

この言い方が、あの時の舞踏会と同じだと思った。だけど、帰ってくると信じているから聞かなかった。

 次の日の朝、兵を率いて戦が始まった。







 城下街は、以前のような活気を失くし、光を失くしたようだった。今のところ、敵軍は攻めてきてはいないが、皆が不安になっていた。その話を街の民から手紙を通じて知っている。だが、手立てがないので、ひたすら皆が無事であるようにと願い、民達に元気を与える為に、アリアが踊りを披露すると言ったので、我が国の者も一緒にと言って、練習をして、一緒に披露した。

民に少しだけ、笑顔は戻ったが、ティファ姫、アリア達にまだ笑顔は戻らなかった。そして、ただ祈るだけの不安の日々が数か月続いた。







 ー数ヶ月後

季節は秋から、雪の降る冬へと移り変わった。

「...王様!ご報告でございます。」

「うむ。なんじゃ。」

「今、城に伝書鳩が飛んできて、戦が終わったそうです!で、我が国の勝利です!」

息を切らした兵はそう言いながら、証書を渡した。

「...誠にそのようじゃ。...ん?何じゃと?!」

王様の様子が可笑しかった。

「お父様!戦が終わった手本当ですか?」

王様は、証書を落として、蒼褪めていた。

「どうしたんですか?」

「...ルイが...ルイが命を落としたかもしれない...」

それを聞いた瞬間、嘘だと言って欲しかったが、そんな訳もなく、ショックのあまりに倒れた。





 それから数日、兵を連れて帰還したシャール兄様は本当にすまなかったとティファ姫に謝罪するが、彼を責めることは出来ない。街は、やっと平和が訪れたと歓喜に溢れ、そして、それぞれの家族達が再会の喜んでいた。しかし、姫には痛々しい笑顔しかなかった。

その数日後、勝利の宴とクリスマスパーティーが催されようとしていた。




 「ティファ様。...我、国が迷惑をお掛けし、誠に申し訳ありませんでした。」

「どうして、貴方が謝るの?ルピス・ティース。」

「しかし、アリアが姫様が気になっていると仰っていたので...。謝罪を申し上げるのは礼儀と思っております。どうか、我が国との交流を続けてください。」

「嫌よ!アリアの身柄はこちらに渡してもらうわ。貴方方がどうなろうと知っちゃことないわ。アリア、一人いなくなったところで変わらないでしょ?私の痛みは貴方に解らないわ。」

苛立ちを彼にぶつけるとそこにアリアがやって来て、悲しそうな眼をして、言った。

「姫様。お怒りをお静め下さい。ルイ様は、まだ生きていると思います。ティファ様を置いて、簡単に死なれるような方ではないと思います。私はそう信じています。我が国の姫様が、ティファ姫様の手を煩わせてしまったことを詫びさせていただきます。どうか、ルピス様をこれ以上責めないで下さい。大切な人達が喧嘩する姿を見たくありません。」

彼女が膝をつき、頭を下げ、懸命に謝罪する。

「アリア。止めて!そんなことしなくて良い。アリア、私も民も皆、貴女の踊りを見て、不安や悲しみが少し和らいだの。だから、貴女に我が国に来て、皆の為に踊ってくれないかしら?毎日じゃなくて良いの。民が生きがいに出来る様な物を作りたいの!だから、お願い!」

彼女は顔を上げ、戸惑った。

「...姫様の仰ることは嬉しいですが、私にそのような価値はあるのでしょうか?大罪を犯した者の娘の私が...」

「貴方の両親は、立派な人だと思うわ。だって、あの荒れ果てた国を良くしようとして、反逆者として捕らえられてしまったけど、貴女の両親を筆頭に革命を起こしたい者は少なくないでしょ?誰かを責めるよりも、貴女は皆の為に、希望になる様に踊った。その姿に勇気付けられた。どんなに罵られたって、貴女は強く優しい人だからこそ、この国にいて欲しいの。私の数少ない友人でもあるんだから...」

そう言って、抱き締め合う。彼女はこの国に来てくれると約束した。






 先に会場に行くように言った。私は、まだルイが生きていると信じたいけど、確証がない不安に駆られて、涙が溢れていた。



 「あっ、貴方様は...」

先に会場に向かったアリアは驚きの声を上げた。




 雪が降り始めて来たので、中に入ろうと思った時だった。フワッと肩に何かを掛けられた。それは真っ白な上着。そして、声が響いた。

「...ティファ・フィスティー姫様。ただいま、ルイ・テレス。帰還をご報告いたします。」

振り返り、跪く彼に抱き付いて、口付けた。

「...ルイのバカ!心配したんだから...」

涙が溢れ、彼は優しく拭い、謝罪した。

「ご心配を掛けて、すみません。...そのまま、私の約束の言葉、聞いてくれますか?」

首に手を絡めたまま、頷いた。

「姫様を誰よりも愛しています。私と結婚してくれませんか?」

驚きの言葉に涙が溢れた。

「それが言いたかったこと?」

「はい。...私なりのけじめです。」

「良いよ。もう、いなくなったりしないでね。」

「我、忠誠心に誓います。」

甘い口付けを交わした。そして、この朗報は王の元にも届いて、暫くして、二人で一緒に会場に行き、皆の無事帰還の祝言と姫様からの婚約発表で会場は大歓喜となった。



 誰が何と言っても、私の1番大切な騎士様。もう、この手を離さないで愛しき人。





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Last updated  February 21, 2009 04:38:52 PM
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