JEWEL

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浅葱色の若人達 3

捏造設定あり、苦手な方はご注意ください。

“人殺し”
“早く辞めさせろ”

案の定、ネット上には歳三へのバッシングで溢れていた。

「何という事をしてくれたんだ!」
「・・申し訳ありません。」
「君は暫く自宅待機するように。」
「はい。」

歳三が溜息を吐きながら自分の私物を整理していると、そこへ原田がやって来た。

「大丈夫だ、あんたはすぐに戻れるさ。」
「あぁ。」
「人の噂は何とやら、だぜ。あんたが悪くないと、きっと周囲もわかってくれるさ。」
「そうしろ。あんたは毎日働き過ぎなんだから、ゆっくり休めよ。」
「わかった。」

私物を段ボール箱に詰め、歳三が職場から帰宅すると、そこへアパートの管理人が彼の元へと駆け寄って来た。

「土方さん、これさっき女の人があなたに渡してくれって・・」
「ありがとうございます。」

管理人から歳三が受け取ったものは、A4 の折り畳まれた一枚のコピー用紙だった。

“息子を返せ”

歳三がその紙を開くと、そこから赤インクのボールペンと思しきものでその言葉だけが書かれていた。

それを見た瞬間、歳三はこれを書いたのが誰なのかわかった。

あの中学生の母親だ。

やりきれない気持ちでエレベーターに乗って四階の部屋の前に着いた歳三は、家の鍵を取り出そうとした時、ドアノブに誰かの姿が映っている事に気づいた。

「息子を返せ、人殺し~!」

とっさの事で、反応するのが遅れた。

気が付くと、自分の腹に深々と果物ナイフが刺さっている事に気づいた。
何処からか女の甲高い悲鳴が聞こえた。
目が覚めると、そこは病院のベッドの上だった。

「土方君、気が付いたんだね。」
「大鳥さん・・」
「まだ動かない方がいい。君の右脇腹の傷はあと数センチずれていたら危なかったんだから。」
「そうか・・」
「いきなりですまないんだけれど、君の処分が決まったよ。」
「は?」
「君には捜査一課から外れて貰う。」
「それは、上層部の決定なのか?」
「うん、大方そうなるね。」
「じゃぁ、俺は・・」
「君は来月、警察学校の教官に・・」
「悪いが、ガキのお守りなんざごめんだぜ。」
「勿論、タダにとは言わないよ。」

大鳥はそう言うと、口端を歪めて笑った。
そんな時は、彼が何か良からぬ事を考えている時だと、歳三は長年の付き合いでわかった。

「土方君。」
「駄目だ。」
「まだ何も言っていないよ?」
「そう言っても却下だ、あんたの申し出は!」
「え~」

拗ねたようにそう言って唇を尖らせている男が、自分より年上だとは思えない歳三であった。

「ねぇ、だってさぁ、僕色々と君の黒歴史を消してあげたそうじゃない?」
「まぁ、そうだが・・」
「だから~、そろそろ僕の“お願い”、聞いてくれてもいいよねぇ~?」
「う・・」

さり気なく自分に圧を掛けて来る上司に、歳三は黙り込む事しか出来なかった。

「土方君なら~、僕の“お願い”・・」
「わかった、わかったから!」
「じゃぁ、早く退院してね!」
「あぁ・・」

二ヶ月後、歳三は退院した。

「土方君、こっちこっち~!」

そう言って嬉しそうに病院のロビーで手を振っていた大鳥は、何処か嬉しそうだった。

「さ、乗って!」
「あぁ・・」
「楽しみだなぁ~、スイーツビュッフェ!」

大鳥が運転する車で歳三が彼と共に向かったのは、高級ホテルのスイーツビュッフェだった。
そこには、当然といえば当然だが、大半が女性客で、男二人連れの彼らはかなり目立った。

「あ、インスタに上げようっと。」
「あんた、インスタやってるのかよ?」
「インスタやるのは性別関係ないよ~」

そう言いながら鞄の中から自撮り棒を取り出した大鳥は、スイーツを手に“盛れている写真”を撮っていた。

「ほ~ら、土方君も食べて!」
「俺は、いい・・」

(沢庵が食いてぇ・・)

大鳥にマドレーヌを口に突っ込まれている歳三の目は、まるで死んだ魚のような目をしていた。

「俺、トイレ・・」
「行ってらっしゃ~い!」

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