GAIA

GAIA

全て | 報徳記&二宮翁夜話 | 二宮尊徳先生故地&観音巡礼 | イマジン | ネイチャー | マザー・テレサとマハトマ・ガンジーの世界 | 宮澤賢治の世界 | 五日市剛・今野華都子さんの世界 | 和歌・俳句&道歌選 | パワーか、フォースか | 木谷ポルソッタ倶楽部ほか | 尊徳先生の世界 | 鈴木藤三郎 | 井口丑二 | クロムウェル カーライル著&天路歴程 | 広井勇&八田與一 | イギリス史、ニューイングランド史 | 遠州の報徳運動 | 日本社会の病巣 | 世界人類に真正の文明の実現せんことを | 三國隆志先生の世界 | 満州棄民・シベリア抑留 | 技師鳥居信平著述集 | 資料で読む 技師鳥居信平著述集  | 徳島県技師鳥居信平 | ドラッカー | 結跏趺坐 | 鎌倉殿の13人 | ウクライナ | 徳川家康
2022年05月14日
XML
先日、妻がずっとしまわれっぱなしだったからと、古い文庫本の束を縛って、本と雑誌のごみの日に出そうとした。見ると佐々井典比古先生の『補注報徳記』上下がある。
これは『補注報徳記』上下を救出して Hさんにもらってくれる?とメールすると、
「前から「報徳記」は読みたいと思っていました。ぜひ送ってください」と連絡があり送った。
そこで郵送した

するとHさんから「届きました!ありがとうございます。愛読します」
とメールがあった。

「よかったです。
私が20代後半に・・・この『補注報徳記』上下を読んで感激したのが二宮尊徳との最初の出会いです。
こうして退職後も人生を豊かにしてくれることに感謝です。
決断するとき、間違わずに済む何かが報徳思想にはある 」(『遠州報徳の師父と鈴木登三郎』p.104)
と返信した。

*日経新聞 2009・2・4

200企業―成長と持続の条件 38

「出世城」「昭華銀露」などの銘柄で知られる浜松酒造(浜松市)は1730年代に創業した菜種油の販売業を源流とする。「油屋」の屋号で東海道・浜松宿に近い街道筋に店を構え商売は繁盛した。
 しかし幕末の1850(嘉永3)年、不幸が襲った。その後10代目当主になる弥太郎は17歳のこの年、両親と祖母の3人を亡くし、家業が陰り始める。
 試練のなかで若い当主が出会ったのが、二宮尊徳の報徳思想だった。遠州(静岡県西部)地方では安居院義道という尊徳の弟子の一人が農村復興運動を通じて報徳の教えを広めていた。10代目28歳のとき、家業復興のため教えを請おうと安居院の門をたたいた。
 大きな目標を達成するため小さなことをコツコツ積み上げる「勤労」、分をわきまえ適量、適度を旨とする「分度」、譲る心や社会への利益還元を説いた「推譲」-。報徳思想に10代目は目を開かされ、「節約に努め、薄利での商売に徹した」(14代目の中村雄次・浜松酒造会長)。
 薄利の低価格販売が良心的と評判になり客が増加。傾きかけた「家運は興隆し」と過去帳に記されている。1871(明治4)年には酒造業に転じて現在の浜松酒造の基礎を築いた。明治に入り油屋改め中村姓になり、以来、中村家では報徳精神がバックボーンになってきた。
 11代目が早く亡くなり、13歳で家業を継いだ子の陸平氏はは後見役となった祖父の10代目から報徳精神を刷り込まれた。1915年(大正4)年に地元・天神町村の村長に就任すると、村でも報徳の教えを実践。節約、業務合理化で村政を立て直した。1921(大正10)年に天神町は浜松市と合併。陸平氏は昭和の初めに浜松市長も務めた。
 1884(明治17)年に報徳思想を受け継ぎ実践する地域組織の一つとして天神報徳社が発足、10代目が初代社長(理事長に相当)に就任した。その後もこのポストには12代目の陸平氏や、長男で浜松商工会議所の会頭を務めた13代目・達一郎氏が推され、現在は達一郎氏の雄次会長が就いている。雄次氏は全国統括組織、大日本報徳社(静岡県掛川市)の副社長も務める。

 当時、冷凍食品の利益率は日本酒の3倍ほどあったが、プロンは利益率を抑えた値付けにした。このため最初の5年は赤字が続き「銀行からも相手にされなくなった」(雄次氏)。
 それでも雄次氏は「我々のやり方は間違っていない」と根付けを変えなかった。すると顧客が増え、地元有志の応援を受け増資にもこぎつけ、苦境を乗り切った。現在の年間売上高は1億7~8千万円で推移している浜松酒造に対し、40億円を超える。
「決断するとき、間違わずに済む何かが報徳思想にはある」と2003年に父・雄次氏から浜松酒造社長のバトンを受けた保雄氏は話す。酒造を開放し、コンサートなど貸し出す施設も設置。日本酒メーカーながら地ビールも生産する。「お酒をつくり文化を伝える」という利益至上主義と一線を画す経営方針にぶれはない。「尊徳の遺伝子」は次の世代に継承されようとしている。
(静岡支局長 水野祐司)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2022年05月14日 13時09分51秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: