ジジくら♪ノヴァくら

Part4


ノヴァの牧草と一緒に発注して、学校に寄付するのですが、いつも本当に丁重に私を扱ってくれます。
私は、大抵の場合、ウサギ小屋を見せて欲しいと申し出て中に入れてもらいます。

先生は、うさぎに出来る事、出来ない事、生徒と話し合った事、色々な事を目を輝かせて話しくれます。

「この学校で飼育係は、特権なんですよ。だって自由にうさぎに触れるのは飼育係しかいないから。」
「クローバーの種を学校に頼んで購入してもらって、生徒とね、撒いたんですよ。」
「プランターでも、栽培してこの辺の周りをクローバーのプランターを置きたいって言ってたんですよ。」
「流石に生徒に糞の始末はさせられないので、私とか他の先生が定期的にふるいをかけて糞を取り除いていますが、中にはそういう事をきちんと見ている生徒もいます。たまに、自分もやると言ってくれる子もいるんですよ」
毎回、少しずつでも、この学校では確実に動物と触れ合って慈しむ事をしてくれて、それは、成長しています。

「休日も当番の大人が餌を欠かす事は、無いです。
 保護者が協力して、餌を入れてくれるんです。」

私が牧草を寄付しに行くのは、いつも突然、アポイントもなくの土曜日ですが
置かれている水はいつも澄んでいて、コケやゴミが水に入っている事は、ありません。
うさぎ達は、私に気軽に寄ってくれる事はないけども、その表情は、悠々として寛いでいます。

この学校が今の飼育になったのは、最初からではありませんでした。
飼育担当の先生の努力があってこその現状なのです。
以前のうさぎ飼育は、それこそ繁殖するに任せる、
(ちょっとキツイ表現では、)無関心な飼育でよく見られる学校の現状でした。
学校は、選挙の時、投票所になり、その時、うさぎを目にする事も何度もありました。
うさぎ小屋には、常に子うさぎがいて、それは、それで可愛いのですが、
うさぎの中には、斜頚の子、片目がつぶれた子、目やにが固まっている子も見られました。
中には、エンセだろうなという子もいて、少なくてもこの子達は、無条件に”可愛い”と抱っこをしてあげたい状態ではありませんでした。
私が箱うさぎで学校うさぎの現状を知り、”何か出来る事はないか”と考え、
その学校に牧草を寄付しようと思った時期に、それと時をあまり置く事無く、学校の子うさぎ達が消えました。
あまりに増えた為、他の学校にあげたり、生徒や近隣に里親募集をして渡したという事でした。
飼育担当の先生がうさぎの事を考え始めてくれていたのです。
ここの学校うさぎは、この時期を境に環境を改善していってもらえました。
ボランティアで協力してくれる獣医さんがいて、飼育方法や面積による飼育数、
食べられる野草のチェック、病気のうさぎの治療や指導などもしてくれるとの事でした。
去勢をして、これ以上増えないようにもしてあります。

「ここは、うさぎ小屋が人目につく所にあるのでやはり人の目が気になります」
「近親交配を放置してしまった為、奇形の子が増えてしまって・・・」
「でも、やってみると大変で、工夫と失敗の連続です」
最初、私がここの飼育担当の先生とお話した時の言葉です。
今は、その時の先生が別の学校に行ってしまったという事で、
”変わり始めた学校の”今度の飼育担当の先生は、更に熱心に考えてくれます。
この先生とは、うさぎ小屋でうさぎを眺めながら、
今の教育の現状や社会情勢の影響、命の大切さをどう子供に伝えていけるのかまで話します。
先生も時間をあまり裂けないと思うので、本当に突き詰めた話が出来ないまでも、
「この先生なら、大丈夫。」と、先生という職業の本来の形を見るような気がしました。

思えば、私が出会った先生達は、ほぼ全て本当に先生でした。
きっと熱心に教育に取り組んでいたのだと思います。
多くの先生が制約の中で教育とは何かを一生懸命考えているのだと思います。
今も昔も先生と話して感じる事は、教師は勉強だけを教えているのではないのだという事。
今は、社会や世間に甘えて、おかしな事を言う親が増えたと私は感じてしまいます。
もっと、人間を育てているのだという事を考えて子供と向き合って欲しいと思います。

話は逸れましたが、
誰かが見てくれる、誰かが気にかけてくれる。
それだけでも学校のうさぎや動物の飼育は変わっていくと思います。
無関心であれば命は、それだけ粗末にされてしまう場合があるのです。
この学校は、自分達で考え行動してくれているので、
私が何か介入しなくてはいけない事も指導しなくてはいけない事もは全くありませんでした。
この学校が、本当に良いケース、幸運なケースだと思うのですが、
「いつでも見てますよ。いつでも協力できますよ」
という姿勢を示す事が学校でのうさぎや他の動物が幸せになる大きな一歩になるかもしれません。
もし、気になる学校があったら、足を運び、話を聞いて欲しいと思うのです。

「現在は、私(先生)が移動になって、いなくなっても、その意思を伝えていけるような方法はないかと考えています。
飼育書なんかも作ったりするつもりなんです。」
未来を見て先生は、語ってくれました。

動物を飼育している全ての学校が命と真剣に向き合ってくれる事を願って、
この学校の意思が伝わってくれる事を願い、取り上げさせて頂きました。
ここの学校の取り組みを書かせて下さいと申し出た時、
心よく、ご理解してくださった先生には感謝しています。
学校名は、伏せさせて頂いていますが御了承ください。

こういう事を書く時、学校名を伏せなければいけない今の世の中が
もっと良くなるのはどうしたらいいんだろう・・・と二人言葉を交わしてお別れした、先生の表情は忘れないようにしたいと思います。

(2007.02.19)

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