ジョナサンズ・ウェイク

ジョナサンズ・ウェイク

スローターハウス5(K・ヴォネガット)


「雨天炎天」/ 村上春樹


2006年のスタートブックはこれ! 新年早々、異星人に誘拐されたり、第二次世界大戦でドイツ軍の捕虜になったりと、時間と空間を巡り巡る奇妙なトリップを堪能することができた。「大量殺戮を語る理性的な言葉など何ひとつない」。戦争が、人の「正常な感覚」を、どんどん奪っていく。罵られ、そしりを受けても、自分をうらみながら戦友が死んでいっても、幸せな結婚をしても、それが一体何なのかわからなくなっていく。毎日更新される洪水のようにあふれる情報のなかで麻痺したぼくら。主人公のビリー・ピリグリムは、今のぼくたちなのかもしれない。


スローターハウス5、または子供十字軍、死との義務的ダンス。
カート・ヴォネガット・ジュニア。ドイツ系アメリカ人四世であり、いまケープ・コッドにおいて(タバコの吸いすぎを気にしつつも)安逸な生活をいとなむこの者、遠い昔、武装を解かれたアメリカ軍歩兵斥候、すなわち捕虜として、ドイツ国はドレスデン市「エルベス河畔のフローレンス」の焼夷弾爆撃を体験し生きながらえて、この物語を語る。これは、空飛ぶ円盤の故郷トラファマドール星に伝わる、電報文的分裂症的物語形式を模して綴られた小説である。ピース。(冒頭より)


作者が自ら失敗作だと話す、この傑作は、こう始まる――

聞きたまえ――
ビリー・ピルグリムは時間の中に解き放たれた。

60年代アメリカ小説論

そして、こう終わる――

プーティーウィッ?

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