ちょっと本を作っています

ちょっと本を作っています

第十四話 ヒットチャートに載っかった

第十四話 ヒットチャートに載っかった




そういえばテレビ番組も作っていた

衛星放送WOWOWのスキー教室の番組です。

こちらもタイアップです。

制作費をWOWOWで出してもらって、出来上がった映像をビデオ化です。

WOWOWは番組制作費を軽減でき、私の会社は安く商品が出来ます。


初年度はヨーロッパで撮影して、翌年はカナダで撮影しました。

ビデオとしてはそれほどヒットしなかったものの信用力は付きました。

何しろ衛星放送のテレビ番組まで作っているのです。

そんな時です。昨日の日記に書いた暖冬がやって来たのは。


ビデオは嵩張ります。

吹き抜けの大きな格納庫のような倉庫に山積みです。

はしごを架けても登れないほどの返品の山です。

翌年まで持ちこたえられるだけの資金はありません。

一方で倉庫代はうなぎ上りに増え続けて行きました。



何にも知らずに作ってしまった

「ディスコのダンスって決まったステップがあるんだっけ?」

「マハラジャってディスコ、行ったことがありますか?」

「ラップって知っています?」

「DJって分かりますよね?」

「じゃあ、ヒップホップって聞いたことがありますか?」


何も知りません。

ディスコなんて行ったこともありません。

「オレは知らないよ。でも面白いって聞いたんだ。作ろうよ」

ようやくビートたけしのダンス甲子園が始まった頃です。

スタッフを掻き集め、出演者を決めて一気に撮影開始です。


「ディスコのステップAtoZ」「ISDステップカタログ」

次々とビデオを作りました。

これがバカ当りです。


静岡でダンス甲子園の予選会があったそうです。

「おまえらなー、このビデオでも見て少しは勉強してこいよ」

参加者の下手さ加減に頭に来たビートたけしが叫んだそうです。



「どうなっているんでしょうか?」って聞かれても

静岡の本屋さんから電話が入って来ました。

「ダンスビデオ各20本至急出荷して下さい」

一時間もしないうちに、「すみません。各50本にしてください」。


翌日になって、「追加でまた各50本お願いします」。

定価3800円のビデオです。

高額商品です。

中学生ぐらいの子供たちが押し寄せ、その本屋さん大騒ぎだそうです。


「何がどうなっているんでしょうか?」

聞かれても答えようがありません。

その本屋さん以外からも注文殺到です。

スキーのビデオをどんどん潰してダンスビデオに吹き替えました。

このビデオにもマニュアルブックを付けていました。

わずか64頁の小冊子です。これがディスコのバイブルになりました。



よし次はブレイククダンスだ

オリコンのヒットチャートのビデオ部門上位独占です。

レコード会社やビデオ会社の名前の上に、ある出版社名が並んでいます。

もちろん私の会社です。

そのとき初めてヒットチャートの存在を知りました。


映画「ブレイクダンス」の出演者が日本に来ていると聞きました。

このときには私の映像製作会社も立ち上げていました。

「やろうよ、それ」と例によって調子に乗ってしまう私です。

こちらも発売直後からオリコンのヒットチャートを独占しました。


売上げはどんどん伸びていきます。

売上げだけは……。

出発点はスキービデオの大量返品です。

銀行借入れも増えていきました。



第十五話 思えば、いろいろやったもんだ


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