03. Royal Dublin GC




2007-07-RoyalDublin-02

<1番ホール>


ロイヤルダブリンの朝は街道沿いのバー兼B&Bのベッドでトラックの轟音に起こされた


車を走らせて夕方になり寝所を探したが、なかなかみつからず、車の中で夜を明かすことを覚悟しはじめた時にようやく見つかった場所だった


スプリングが壊れたベッド、トイレとシャワーは共同、稼げないプロゴルファーがツアーを求めて町から町を転々としているようだ







ロイヤルダブリンゴルフクラブは海の中州に広がるゴルフコースで、創設は1885年と今回訪れたコースの中では最も古いコース



コースがある中州は数百年前までは海だった場所で、徐々に砂がたまり、そこにゴルフ場が作られたので、表土を削るほどダフると、その下からは砂が顔を出す


83年にはセベが、84年にはランガーがここで行われたトーナメントに勝ち、そして85年にはプレーオフの末にセベがランガーを下してその年の賞金王に輝いた名勝負もこのコースで開催された


先週も全英オープンの予選が行われ、多くの綺麗なディボットが残っているのはそのためだと、このコースのメンバーであり、一緒にラウンドしたオメラ兄弟が教えてくれた




今回は、バリーバニオン、ラヒンチ共に海外からリンクスを求めてやってきた人たちとのラウンドだったが、スターターと交渉し、メンバーとのティーオフが実現した


そしてもうひとつ、やりたかったことはキャディを雇わずに、自分の目でコースを判断しバッグも自分の力で運ぶこと


もっとも担ぎではなく手引きカート(この地ではトロリーと呼ぶらしい)だが、、、



ここには全英オープンが開催されるコースと同じように、ゴース(ハリエニシダ)があり、低木もいくらか植わっている   その点で前の二つのコースとは違っていた



コースは6300Yと思っていたが、表示はメートルで、ヤードに直せば白ティからで6900Y超と十分な長さだ






1番ホールのティショット、他のメンバーも見ている中で緊張し、フックしラフに入ったが幸いにもボールは見つかり、ボールをつなぐもダボのスタート


リンクスのフェアウエイはランが出るので、低い球を打てば、ボールが勝手に転がってくれる


あとはフェアウエイの傾斜を把握してそのラインに寄せてやることが重要だ




2番のパー5はボギー、3番のパー4はこの日初めてのパーだった

ドライバーが軒並みフックしてラフに入ったが、ボールを失くすことはなく進んできた



『羽毛のマットレス』というニックネームがついたパー3で突然大粒の雨が降り始めた

あわててレインジャケットをパンツをはいていると兄弟が傘を差してくれた


ありがたい


このホールではティーショットを曲げて、ロストとしてしまった

仕方がない、、、


暫定球はピンそばに落ちていたので、それを沈めてボギーであがった






この頃になると、兄弟は魚の卸売りをしており、兄は数年前に東京に旅行をした折に、築地の魚市場にも訪れたことがあると知った


弟はゴルフを始めて間もないらしく、スイングはぎこちなかったが、それでも兄弟そろってのラウンドを楽しんでいる様子が微笑ましい


『せっかく今日は晴れの中でラウンドができると思ったのに残念だったな。 でもアイルランドの天気はこうなんだ』と兄が包み込むような笑顔で話した


『バリーバニオンでもラヒンチでも、もっとひどい天気の中でプレーをしたきたから、少しの雨風は気にならないよ。 それにゴルフは母なる自然の中でプレーするのものだから、我々ゴルファーにできることはそれを受け入れることだよね』


『まったくそのとおりだ。 ほんと、ゴルフってのは思い通りにいかないものなんだよな』

心が通ったと思えた瞬間だった



5番はダボ、6番はボギー、7番のショートホールでは長いパットが入ってリンクスにきて初めてのバーディが取れた



フロント9を終えて、10オーバー、まあボギーぺースだ




2007-07-RoyalDublin-03

<<セベとランガーが死闘の幕を引いた18番ホールのグリーン>>




カートを引きながら歩いていて思い出したのは日本のノーザンカントリークラブ錦ヶ原コースだった


河川敷の広大な敷地に43ホールを有し、しかも敷居の高くないカジュアルなゴルフが行われている


ロイヤルダブリンのような歴史と格式は求めるべくもないが、そこに流れている時間は同じようなものだと感じた




雨は断続的に降り、レインジャケットを着たり、脱いだりが面倒だ


風はボールを運ぶのに十分な強さがあったが、嵐の中のラウンドを思い返せばそよ風だ



バック9はパーでスタートし、その後、大方はボギー、コースを一番よく知っているはずの兄が攻略方を教えながらも、途中からは『お前が先に打て』という


実際、兄も調子が悪く、ボールもかなり失くしていた


『俺はよそ者で、お前がローカルなんだから、お前が先に見本を見せてくれなくちゃいけないじゃないか』


『いや、お前はローカルみたいにプレーしている。 俺たちの見本になるように打ってくれ』



バック9もボギーペースだった



最終の18番、セベが40フィートのパットを決めてランガーを倒し、1985年の賞金王に輝いたホールは、『473Yのパー4』、ティーから300Yほど先で直角に右にまがり、ホールの右側にはずっとバーン(用水路)が流れ、その右側にはシロツメクサが咲き乱れるOBゾーンが広がる


この頃にはドライバーも落ち着き、このホールではバーナーで最高の感触でボールが飛んだ


残りはそれでも190Yほどあり、9Iで安全に刻んだ


実はパー4ではなくパー5と思い込んでいたのだ


もっともパー4と知っていても、コース右側にずっとバーンが走っているので刻んだだろう


3打目はグリーンまで50Yほど、そしてカップはそこから20Yは入っていた


SWで放ったショットはショートして10メートルほどのパットが残ったが、しっかり打てて、カップの脇で止まった


パーで上がったと思って喜んでいたが、スコアを付けるときにボギーと知った


この話を兄弟にしたら大いに笑ってくれた





一方オメラ兄弟の調子はいまひとつだったので

『いきなり、見知らぬヤツが入ったので、調子が狂ったんだな』と声をかけると

『そんなことないよ、お前がローカル以上にローカルだっただけだよ!』と言ってくれた




そして『これからクラブハウスでビールを飲んでいかないか?』



嬉しい誘いだった。 求めていたのは、まさにクラブと共に生きている地元の人のクラブライフをこの目で見ることだった


ハウスではさらに多くのメンバーに紹介され、日本のこと、この旅でのラウンドや、西部の素晴らしい景色のことを話した




初老の紳士に『このアイルランドの天気には参っただろう?』と聞かれたが

『ゴルフは母なる自然の元で行うスポーツです。 雨が降っても、マウンドで思いも寄らないキックでボールがラフに潜り込んでも、それを受け入れるというのがゴルフというスポーツの一部なのだから、そんなことに文句を言っても仕方がないし、それを含めてもゴルフというスポーツが好きです』

と答えると、居合わせた年老いたメンバーが深い笑みを返してくれた



2007-07-RoyalDublin-01

<<ロイヤルダブリンGCのクラブハウス>>



2007-07-RoyalDublin-04

<<パー5と思って暢気に刻んだ18番をグリーン方向から>>


Hole Yard Par Score Putt ニックネーム
1
393 4 6 2 North Bull
2
473 5 6 2 Babaington's
3
407 4 6 2 Alps
4
173 3 4 1 Feather Bed
5
448 4 6 1 Ireland's Eye
6
573 5 6 1 Valley
7
188 3 2 1 Ardilaun
8
389 4 6 2 Ben Howth
9
163 3 3 2 Davidoson's
OUT
3207 35 45 14 -
10
419 4 4 1 Marne
11
532 5 6 2 Colt's
12
184 3 4 2 Campbell's
13
429 4 6 2 Daedanelles
14
547 5 5 2 Moran's
15
435 4 5 2 Hogan's
16
284 4 5 2 Dolly
17
418 4 6 2 Coastguard's
18
473 4 5 2 Garden
IN
3721 37 46 17 -
Total
6928 72 91 31 -





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