16. Spyglass Hill GC



17マイルドライブという風光明媚な地域をめぐる道路に
入ると、全てのドライバーが停止を求められる。 地域に
住んでいる人は顔パスだが、junhiroのような侵入者は
何の目的でここに来たのかを告げる必要がある



「こんにちは。 今日は良い天気ですね。 ところでここへは
17マイルのドライブで来たんですか?」


「いいえ、今日はスパイグラスでラウンドするために来たんだ。
今日はすごく興奮しているんだよ。 だってスパイグラスで
ラウンドできるんだよ」


「そうでしたか。 世界で最も素晴らしいコースのひとつで、
素晴らしい一日になるといいですね。 では、お気をつけて」



この小さな半島にはぺブルビーチ、スパイグラスヒル、スパニッシュ
ベイ、ポピーヒルズ、パシフィックグローブ、デルモンテ、
そしてプライベートクラブのモントレーペニンシュラデューンズ
ゴルフクラブと世界のゴルフ場のランキングで常にトップ3を
争うサイプレスポイントが存在するゴルファーの楽園だ





今回初めてラウンドするスパイグラスはぺブルビーチリゾートが
所有する4つのコースのうち2番目に人気があり、そして最も
難しいといわれる



パートナーはハンスというソルトレイクシティから
来た都市計画開発のエキスパートと彼が毎年ぺブルビーチに
訪れる時に彼のバッグを担ぐキャディのコーリーだった


コーリーは昨日はキャディとしてハンスのバッグを担ぎ、
ペブルビーチを回ったそうだが、ハンスの友人が腰を
痛めて今日のラウンドをキャンセルしたために、キャディ
としてではなくプレイヤーとして急きょ同伴することに
なったのだという



キャディを雇おうかと迷っていたのでコーリーが同組に
なったのは何ともラッキーだ





さあ、ティオフ 

ずっと下る軽い左ドッグレッグのパー5だ。 ティショットは
左への引っかけで、2打目はアイアンで深いラフからFWへ打つ

が、転がって今度は右の深いラフへ。 ここから欲張った
3打目はダフって、これまだ左足下がりのピンまで130Y
ほど残った


4打目はうまく打てたと思ったが、最後に失速しピン横の
バンカーへ。 バンカーショットはソールが跳ねられて
グリーン反対側のラフまで飛んでしまった


ラフからはザックリがあってようやくエッジにボールが届き、
そこから寄せてトリ

やれやれ、先が思いやられる





2ホール目は短いが打ち上げのパー4。 5Wでのティショットは
打ち損ないで、赤ティの先にある茂みを直撃し、そこを何とか
通り抜けFWへと転がり出していた。 急な登りで200Y超も
残っていたので、無理をせずにグリーン手前80Yほどで
レイアップ

そこからの急な打ち上げを良い感じで打てたと思ったが
少し足りず、エッジからは寄せきれずにダボ。 参った




2010-08-SpyglassHill-03

<<3番ホールから望む、4番ホールの全景>>




2番ホールを終わるとコースを見渡す高台に出る

3番ホールは見下ろすようなショートホールで、その
向こうには海が広がる 

右に目を向ければ4番ホールと砂地を覆う希少な植物たちが
おりなす不思議な色合いが広がっていた。 一息つけたな、
そんな気持ちがした景色だった



2010-08-SpyglassHill-04

<<パー3の3番ホール>>




4番ホール以降はスコアはともかく、落ち着いてラウンドが
できたように思う

2010-08-SpyglassHill-05

<<4番ホールのグリーンは奥行き50Yと恐ろしく縦長で
横は10Yほどしかない面白い形をしている。 設計した
ジョーンズはグリーンの形状とピンポジションで多くの
プレイの仕方が出来る事を望んだそうで、彼が一番愛したのが
この4番ホールのグリーンだそうだ>>



スパイグラスヒルはロバートトレントジョーンズシニアに
よって設計され、1966年にオープンしたコースだ

コースの特徴は、景観とのマッチと、地形をうまく生かした
アップダウン、そして50年の時を経て熟成されたコースの
落ち着いた佇まいだろうか


2010-08-SpyglassHill-07

<<6番ホール。 どのホールにも適度なアップダウンがある
グリーン方向から見れば、このとおりずっと打ち上げている
ことがわかる>>



エッジが立ち、深いバンカーがグリーンを囲んで正確な
ショットを要求する

バンカーは花びらのような形をしたものが多く、アリスター
マッケンジーが好んで取り入れたものと同じように美しい




2010-08-SpyglassHill-10

<<11番のガードバンカーは特に美しさが際立っていた>>


2010-08-SpyglassHill-11

<<美しいものには棘があるとは良く言ったものだ。 上の写真の
美しいバンカーに捕まれば、大人の背を超える高さを
乗り越えてグリーンにボールを運ばなければならない>>




2010-08-SpyglassHill-08

<<9番ホールは、やはり打ち上げでFBは美しいが深く
立派なペナルティの役を果たしている>>




同伴のハンスはソルトレイクシティでの都市計画に従事し、
ぺブルビーチで毎年開催されるキャロウェイのトーナメントに
参加するうちにコーリーと出会ったそうだ。 そして毎年その
トーナメントに参加する際に彼にバッグを担いでもらっている
らしい。 彼にとって年に一度のぺブルビーチはご褒美の
ようなものらしいが、なぜか今年は今回と11月のその
トーナメントの2回にぺブルビーチを訪れることになったとの事

年に1回ではなく、2回来たくなる気持ちはよくわかる





2010-08-SpyglassHill-09

<<同じく9番ホールのガードバンカーは入れたらこの通り
厳しいグリーンへのアプローチショットが待っている>>





コースでは鹿の親子があちこちで草を食み、リスが駆け回り、
キツツキがエサを探して木を叩く音がこだまし、潮の匂いと
波の音が聞こえる。 そしてコースに面するように美しい
だけでなく、品の良い邸宅がならび、時に人がテラスで
ゴルファーを見送っていた

2010-08-SpyglassHill-18

<<なんだよ、やっとゴルファーが行ってくれたと思ったら
また次の奴がきやがった。 そんな目で鹿がこちらを見ている>>




2010-08-SpyglassHill-06

<<グリーンの奥に見えている家は、貸別荘のようなもので
夜になるとこの家専用のパッティンググリーンがライト
アップされるのだそうだ>>



コーリーによればぺブルビーチが持つ4つのコースのうち、
このスパイグラスにだけメンバーシップがあるという。 

その昔この一帯を開発した際に、ゲートの内側に住む人々に
メンバーシップがオファーされたのだという。 メンバーたちで
混み合うことはないが、ある一定の割合でティタイムが確保されて
いるのだという

しかしそのメンバーシップも2015年には期限を迎えるという





30前後に見えるコーリーはこの地で6年ほどキャディを
していて、普段はスパニッシュベイでバッグを担いでいる 


それでもぺブルビーチやスパイグラスも何度も担いだり
ラウンドする機会はあるそうで、的確にアドバイスをくれた


彼と奥さんはこの土地の素晴らしい景観を毎日楽しみながら
暮らしているが、その代償として高い生活費、特に居住費を
覚悟しなければならないという


2010-08-SpyglassHill-16

<<レフティのコーリーは大地を切り裂くようなドライバー
ショットを放つ。 16番でも素晴らしいドライブだったが、
FWのIPポイントにあるこの木の根元にボールが鎮座した。 

レフティゆえに何とか切り抜けたがナイスショットが
必ずしも報われないのはゴルフの常だ>>







フロント9を終えてすぐにバック9に入るが、さあ10番
ホールと思いカートを進めると、前の組がまだ残っていた


待つこと15分くらい、ようやくjunhiroの組がティショットを
打てるようになった。 フロント9は2時間ほどで回れたが、
バック9はスローペースになるのだろうか



後にマーシャルがやってきて、8:30にスタートした
グループがスロープレーで全体に影響を与えていたそうだ

そこで彼はその組が13番を終えると14番をプレーさせず、
そのまま15番へホールへ連れていき、全体の進行状況を
チェックしているのだと話してくれた


マーシャルがすべき仕事を威厳をもって行っていると知り、
なんだか嬉しくなった



ちなみにjunhiroの前の2組の夫婦でラウンドしていたが、
アジア系のカップルはカートが常にボールの後ろにあり、
グリーンにカートを停める時もグリーンの奥ではなく手前に
停めるのでいつも待ち時間が発生した。 ほんの少しの
気遣いでお互いに気持ちよくプレーできるのだが、、、





2010-08-SpyglassHill-12

<<12番は美しい打ちおろしのパー3で、ハンス・コーリー
共に2発ずつ池に打ち込んだ。 かくいうjunhiroもグリーン
左に巻いた球がコロコロと池に落ちた。 水切りショットは
諦めペナルティを払った>>






2010-08-SpyglassHill-13

<<後ろの木を見てもらえれば傾いているのはjunhiroの
写真ではなくグリーンだということがわかるだろう>>





最後までコースの厳しい上げ下げに苦しめられたが
スパイグラスは素晴らしいコースだった

ぺブルビーチのような息をのむ景観美には欠けるかも
しれないが、コースが面白さ、周り景観と深く調和した
様のこのコースがペブルビーチリゾートの中でも人気が
高い理由がわかった気がした


次にこの地を訪れる機会に恵まれた時、ぺブルビーチと
スパイグラスヒルのどちらにしようかと、計画もないのに
悩み始めている



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