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2008.03.07
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カテゴリ: lovesick
私の瞳を覗きこむ悠斗を見つめ返しながら思いました。悠斗、私のことはもう、、終わった、、の、、?いいえ、、たとえ、、悠斗の本心がどこにあっても、、、謙吾にああ言った以上、悠斗が、絶対に離さないと約束してくれていた私の手を離すことになるのは、もう間違いのないことでした。、、全部全部私のせい。あんなに精一杯愛してくれていたのに、あんなに私の全てを受け入れる準備をしてくれていたのに、私が、ちゃんとその腕に飛び込めなかったから。私は間に合わなかったから。今、こんなにこんなに、悠斗のこと、愛していても。

私は哀しくて仕方なくて、でも、泣いてしまうわけにもいかず、悠斗から目を逸らしました。

謙吾が、電話を終え、
「ああ、俺、もう行かなくちゃ」
と、私を優しく見やり、
「今日は、、、驚かせてごめん。いきなりだったけど、思いつきでしたんじゃないよ。もう一度楓を抱きしめるなら、今度はもう二度と離したくないんだ。楓、俺、本気だから。真剣に考えてみて」
と、頭を撫ぜて言いました。
私は指輪に目をやりました。私、、謙吾にプロポーズされたんだよね。まさかこんなことが、、しかも、、今日、なんて、、、全く思いもよらないことでした。一体、、なんて返事すればいいの・・・・?今は何も考えられない。。

「悠斗、楓のこと、送って行ってやってくれる?」
と言いました。悠斗は、
「なんだよ、そんな簡単に、俺に頼んでいいのか?」
謙吾は、悠斗を見つめ、
「さっきの言葉、信用していいんだろ?」
と言いました。悠斗は、しばらくの沈黙の後、ため息をついて、
「ああ。ちゃんと送るよ。最初からそのつもりだったから」
と答えました。微笑んで、
「よろしく頼むよ」
と悠斗に言ってから、私に、
「楓、土曜日の約束は有効だよな?また連絡するから。」

「謙吾、宗太郎には、今日はこのこと、、」
「ああ、何も言わないよ、今日は。っていうか、そんな時間もない」
と、微笑んで、
「じゃあな」
と立ち去る謙吾。


「悠斗、ごめん、僕・・・」
と恐る恐る言いました。悠斗は、笑って、
「好司、今日は楓のこと、ありがとう。謙吾のことなら、お前は何も悪くないよ。これでよかったんだ。」
とさばさばした様子でいい、
「もう、みんな帰ったのか?」
とたずねました。好司くんは、
「ああ、だから、呼びにきたんだ。宗太郎さんたちも心配そうだよ」
悠斗は、しばらく目を閉じて、大きく息をついてから、好司くんに頷いて、
「楓、行こう。宗太郎と彩の前では、、分かってるよな?」
と言いました。私は頷きました。そして同じように、目を閉じて息を整えました。目を開けると、悠斗は、いつもどおりの優しい顔で微笑んで、
「大丈夫?」
私も、にっこり微笑んで頷きました。
「なかなかの役者だよ、楓も。」
と、励まされ、悠斗について、中に入ろうとすると、すぐそこのところまで、新郎新婦が来ていました。あからさまに心配そうな顔。悠斗は何気ないそぶりで、宗太郎に、
「謙吾は?」
「今、帰ったよ。大丈夫だったか?楓」
と聞く宗太郎。
「ああ、なんてことなかったよ。ちゃんと久しぶりの挨拶してたよ」
代わりに答える悠斗の言葉に、宗太郎と彩はほっとした様子で、
「よかった。」
私は、2人に大丈夫だったよ、と、微笑んでから、そっと悠斗の後ろに立ち、甘えるように悠斗の腕を掴みました。宗太郎と彩の2人には見破られてしまいそうで不安だったから。悠斗は、そっとその手に自分の手を重ねてくれました。彩はその様子に安心したように、
「悠斗、本当に今日は司会ありがとうね。それにピアノ!あんなに上手だなんて知らなかった~。素敵だったわ」
「ほんとだな、謙吾の登場、もだけど、悠斗のピアノも相当サプライズだったよ。サンキューな。めちゃ盛り上がったし。」
とお礼を言う二人。
「お役に立てたなら嬉しいよ。旅行、楽しんできて。もう行こうか、明日早いんだろ?」

みんなと別れ、黙って車に向かう悠斗の後ろ姿についていきながら、私は思いました。悠斗は、これから、私に別れを告げようとしてるんだ。聞きたくないよ、悠斗。今、この瞬間だって、とても哀しいけれど、でも、悠斗にさよならされる、その決定的な瞬間を迎えるくらいなら、このまま、時が止まればいい。ずっと悠斗の後ろを歩きつづけているだけだっていいから。

車に乗り、しばらくたってから、悠斗が目指している場所に気づき、私は、それだけで、涙が出そうになりました。

悠斗のバカ。。。

そんなの哀しすぎるじゃない。

別れの場所に、あの展望台を選ぶなんて。。。


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最終更新日  2008.03.07 00:04:29
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