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2009.08.23
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「俺の隙ってなんだよ?俺は、1点の曇りもなく、心の底からミリを愛してる。」

「・・・何?」
「気づいていませんか?ミリさんが、あなたの仕事のことで、傷ついたり、寂しがったりしていること」
・・・キスシーン、そして早朝から深夜に及ぶ仕事。
最初の頃、ほどではなくても、やっぱり、ミリは、傷つき寂しがっている。
分かってるよ。そんなこと。
「あんたに言われなくてももちろん気づいてる。だからこそ、ちゃんとフォローもしてる」
「かもしれませんね。あなたなりに大切にしているでしょう。ただ、おそらくは十分ではない。しかも、あなたには、、、」

新谷は詳しくは応えようとせずに言う。
「僕は少なくとも、今日のような理由で、ミリさんを傷つけることは絶対にない。」

・・一体何があったんだ?
あのメールのことでないなら、一体。
すっげ~気になるけど、こいつに聞くのは癪だ。

「あなたがこれからも、彼女を傷つけるなら、僕も、もう、遠慮はしません。次はためらわずに抱きしめますよ。彼女が、あなたを愛していても。」
「お前・・」
「何度もミリさんと時を過ごし、あなたのことで悲しむ姿を見るうちに、淡い思いでとどめようという気持ちは僕の中で消えました。はっきり言わせてもらいます。僕はミリさんのことが、好きです。愛しているといってもいい。自分が片想いしている女性が、その恋人の不実で隙だらけになっている。それをただそばで見ているのも、もうそろそろ限界だということです。」
「不実、、だと?」
一体、何の話だ・・?
まるで俺が浮気でもしているみたいに。

俺は手短に言う。
「何のこと言ってるかしらね~けど、ミリのこと、好きなら勝手に好きでいればいい。お前以外にだって、そんなヤツはいっぱいいるからな。ただ、ひとつだけ言っておく。俺はミリを愛してるし、手放すつもりもない。いつまで待ってたってムダだ」
新谷は、余裕のある冷静な微笑で、俺の言葉を受け、
「僕はこれからもずっと、彼女のこと、見守らせてもらいますよ。これは私的感情だけでなく、高崎先生からも言いつかっています。」
「どういう意味だ?」

話の飛躍に驚きながらも、俺はうなずく。ミリを産んですぐに亡くなったらしいお母さん。ミリの父さんの専門分野の病で、医者と患者の関係から、恋愛に発展し、結婚したんだと、ミリから聞いていた。だけど、病気のこと自体は詳しくは知らない。
「ああ、お母さんがなくなった病名については聞いてるよ。・・それほど詳しくは知らないが。」
「遺伝する可能性があることは?」
「遺伝?」
遺伝。。?その言葉に、俺は足元が崩れていきそうなキモチになる。
「・・・まさか、ミリ、、」
新谷は、それでも冷静な表情のまま、
「ご安心下さい。今のところ何もその兆候はありません」
俺はほっと息をつく。と、同時に、怒りが増す。

・・・だったら焦らせんなよ。

新谷は俺の表情を的確に見て取り、付け加える。
「ただ油断はできない。もしもの時、のことを、高崎先生はいつも考えていらっしゃる。だから、僕はミリさんのそばを離れるわけにはいかないんです。というわけで、あなたはさぞ面白くないでしょうが、ミリさんの心も体も含めて、僕はずっと見守らせていただくつもりです。それに、高崎先生は、あなたのこと、女性関係の面では全く信用していないようですからね」

痛いトコつきやがる。確かに、ミリの父さんには、いつまでも、そこ、疑われてるよ。これからの俺をみていってもらうしかないって、あきらめてるけど。

ミリが、もう一度、ソファで身動きをした。どうやら目が覚めたみたいだ。

言いたいことを言い終えたのか、それともミリの前で言い争うつもりはないのか、新谷は、ちらりとミリに目をやると、
「じゃあ、ミリさんのこと、あとはよろしくお願いします。・・・今日のところは、これで」
と、背中を向ける。
俺だって、ミリの前でこんなヤツと、ケンカするつもりはない。
ヤツの告白を認める気も、俺と同じ土俵にあげるつもりだってないんだ。
だから、この場を取り繕うには、気に食わなくても、せめて、礼をいわなくちゃいけない。
そう思って、口を開こうとした俺だったが、
「あ、、センセ?ありがと~。すいませんでした」
と後ろから、声が。
振り返る間もなく、俺の横を素通りして、新谷の背中を追いかけるミリ。

・・・なんで、俺より、新谷を優先なんだよっ。おもしろくねえっ。

「大丈夫ですか?寝ててください」
と心配顔で応じる新谷に、
「もう楽になりましたから、すいません。今日はほんとに」
なんていいながら、ミリが玄関までついていくのを見ながらも、
俺は、もちろんもう新谷を見送る気になんてなれなかった。


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最終更新日  2009.08.23 00:59:34
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