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2010.04.07
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カテゴリ: box
「そいつ、医者だろ?ミリちゃん、・・・体、・・・どっか悪くてさ。だから、、・・診てもらう約束してたのかも」

俺の不用意な言葉に、慶介が目を細めて俺を見た。その目つきの真剣さに、ひやりとする。だって・・。

・・・我ながら、アホスギル。なんてこと言っちゃってんだ。もうミリちゃんの病気のコト言っちゃったようなもんじゃないか。あんなに口止めされたのに。オレだって、その理由に納得したはずだったのに。慶介には言わないって、楓との約束も破って。慶介には言わせないっていう、楓とミリちゃんの間の約束も破って。自分で自分が嫌になる。ああ、でも、もう仕方ない。口から出てしまった言葉は戻しようがないんだ。・・・いいや。バレタラバレタでいいじゃないか。難しいこと考えずに、本当のことの中で2人は迷うべきなんだ。って開き直って思ったりもして。うん。まあ、とにかく、あれこれ考えつつも、ちゃんと覚悟を決めたんだ。
ミリちゃんの病気のことを知った慶介の衝撃も、楓やミリちゃんに詫びなくてはいけないってことも。
そして、何より、慶介とミリちゃんが絶対元に戻れるように、なんでもしてやるんだって。

・・・それなのに。

そこまで、思ったのに、慶介のヤツ、ただ、笑って、
「何言ってんだよ、悠斗。あんな時間にあんな場所で、いったいなんの診察だよ。ばかばかしい。」
って、首振ってるし。



言っちゃいけないこと言っちゃったって、緊張していたカラダとココロから力が抜ける。

・・・なんだよ、慶介。・・鈍いなほんと。こんなギリギリまで言ってんのにっ。

ほっとしたようながっかりしたような気持ちでいる俺に、慶介は言う。
「はは、そんなへこまなくても。オレのために、いろんな可能性考えてくれるのはうれしいよ。でもさ、ミリ、病気なんかじゃないって言ってたんだし、それはないよ」

・・・あるんだよっ。あるんだよっ、ケースケ。

あんだけ仄めかしても気づいてもらえなかったこと。
絶対ないって断言されてること。
ばれてもいいやって思ってた気持ちは急速に萎えていく。
バレテモ、よくても、バラシテモ、は、よくないよな。。やっぱり。。

慶介は言う。
「・・・でもさ、俺、なんでか、気になってるのは確かなんだよな、、」



「なんだよ?」
促す俺に、慶介は、言う。
「なあ、悠斗。俺正直に言うぞ?今の気持ち」
「・・・もちろん。言えよ」
「なんかさ、俺、あきらめるしかないって確かに思いながらも、・・・ミリを取り戻したいとか、ミリとやり直したいって気持ち、ないとは言わないよ。でも、それよりも、思ってることがあるんだ。思ってるっていうよりも、自然に心に浮かんでくる言葉があんだ」

「・・・ミリ、元気かなって」

・・・元気かなって。。。元気じゃ、ないんだよっ。

そう、叫べない俺に、慶介は言う。
「ミリ、元気にしてっかなって、そればっかり思うんだ。なんでだろな?元気はミリの専売特許みたいなもんなのに。いつもいつも、コロコロ笑って、元気にあちこち跳ね回ってて。一緒にいたときは、飲みすぎと睡眠不足以外は、カラダのことなんて気になったことなかったのに。。」
ミリちゃんをココロに描きながら話す慶介の表情は、相変わらず、愛しい想いであふれていて。
「それなのに、今は、元気かどうか、ばっかり気になんだ。不思議だよな。今更、、今となっては・・・俺なんかが、もう、心配する必要ないのに。まして、ほら、新谷はお前も言うように、医者なんだから、もう、ミリの体に何かあったって、全然、心配する必要もないのに」
自嘲気味に笑う慶介。

・・・慶介。お前、分かってるんだよ。ちゃんと。頭の中では、気づいてないけど、ココロのどっかでは、きっと、気づいてるんだよ。ミリちゃんの、様子が、、そう、カラダの様子がおかしいこと。だから、そんな風にミリちゃんのこと気になんだよ。だから・・。

「なあ、慶介。そんなに心配なら、ちゃんと電話してみろよっ」
ただ、バカみたいに同じこと繰り返すしかない俺に、慶介は笑って、
「まだ言ってんのかよ。ちゃんと人の話聞いてんのか?」
慶介は、吹っ切るように背伸びをして言う。
「あ~あ、だけど、新谷だったとはな。よりによって。・・俺さ、ずいぶん前から、アイツの悪口ばっかり言ってたからさ、ミリ、、ヤダっただろうな。好きなヤツの悪口なんて聞きたくないもんな。悪かったなって、思ってんだ。いつか、チャンスがあったら謝らなくちゃな・・」
そんなことまで言うケースケ。
「人がよすぎるぞ・・?」
「・・かな?」
そう言って笑う慶介の、切ない笑顔を見ていたら、俺は、やっぱり黙っていられなくなった。
「なあ、慶介、頼むから、もう1回だけ電話かけてみろよ」
「また?しつこいなぁ。」
笑う慶介に俺は食い下がる。
「頼むから。ミリちゃんと、もう一度話してくれよ。それで、聞けよ。元気なのか?って」
畳の上にある、慶介の携帯を持ち上げて、慶介に差し出す。慶介は手を伸ばそうともせず、断固とした口調で言う。
「そんなこと聞くためだけに電話なんてできるかよ。大体、電話はかけないって言ってるだろ?」
「慶介、ミリちゃん、きっと、電話待ってるって」
「何言ってんだよ。そんなはず、ないって」
「・・・頼むから」
慶介は、苦笑しながら、
「頼むってなんだよ?なんでそんな必死なんだよ」
互いに携帯を押し付けあいながら、そんな押し問答を続けていたら、突然。

ケースケの携帯が光を放ちながら、振動を始めた。

着信だ。


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こちら ぽっバカップルにご注意ください大笑い





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最終更新日  2010.04.07 02:17:42
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