かずやんの旅日誌

かずやんの旅日誌

桜島周遊ツーリング

桜島周遊ツーリング
我が心の故郷、桜島。学生の頃からあの山をバイクで走る事が夢だった。
免許を取って、早1年。今ついに夢のかなう時がやって来た。




 出航3分前、ギリギリでフェリーに飛び乗った私と親父。早速デッキに上がり 潮風 を全身に感じる。

桜島黄昏

「この香り、やっぱり船は最高だな」と親父。「だったら船の免許でも取れよー」と私が話すと、

「アホ!それとは別物じゃい」と が入る。

朝からハイテンションな2人が、今回向かうのは鹿児島の中心に位置し、俗に 「鹿児島のへそ」 と呼ばれる 桜島 である。

この島は世界でも珍しい市街に隣接した活火山であり、現在でも度々、 小噴火 を繰り返している。

しかしその荒々しさ、猛々しさが筆者の心を掴んで離さない。そんな事からも、筆者は一度、この島をバイクで気ままに走りたいと考えていた。

約15分後、桜島港に到着。天気は ピーカンの快晴!

いよっしゃ!いざ火の島桜島へ 上陸!


料金所でフェリーの料金を支払い、走り出した2台。ここで私は友人の言葉を思い出していた。

友人「桜島の景色を堪能するなら 湯之平展望台 って所が絶対にオススメ!行かんかったら シバくぞ !」

さて、そこまで言い張るなら一度行って見ようじゃないか。県道26を一路北進。途中看板を目印に右折し、

そのままグングン高度を上げていく。やはりここは山道なのだと、思わせるタイトなコーナーをクリアして行くと、

両手に 松林 が広がってきた。そのまま走り登りきった所で展望台に到着した。

すばらしい絶景!眼下に広がる 錦江湾 、その海越しにきらめく 鹿児島市街

そしてより雄大にそびえる桜島。友人があれだけ言い張るだけの事はある。

桜島 近景

私 「いや、絶景とはこの事だな。」

親父「50年生きてて初めて来てみた」

…またこの親父は調子のズレる事を。何かツーリングに行く度聞いているような気がするが…。


湯之平展望台 からの絶景を眺めていると、より桜島に 近く、高い 場所に道路を見つけた。

親父「あそこはいけるか~。」

私 「バイクなら行けるんじゃないか?」

という事で道は分からないが、行ってみる事にした。

 しばらく走ると白色に コンクリート舗装 している道が道路脇に出てきた。

親父「ここかな?」

私 「さあ?」 

親父「試しに行ってみるか。」 「俺の勘は良く当たるからな。」

…やけに自信ありげな親父、本当に大丈夫か?

親父を信じて脇道に入りしばらく進むと、コンクリート舗装からアスファルト舗装に変わり、傾斜がきつくなってきた。

お、これは親父の勘があたったか?

そのまま進むと舗装が消えダートになった。

私 「進めそう?」 

親父「これは…オフロードバイクでも無理だな」

溶岩に大きな砂利、おまけにキャタピラの深い轍。

親父「コケたくないからここらへんで止まろう」

 バイクを倒さないように慎重に停め、その絶景を改めて眺める。

親父「すごいな…ここまで見渡せる所があるんだ…」

あまりの絶景で言葉も出ない。

地図で確認すると、ここは 引ノ平 と言う所らしい。

親父「さっきの湯之平は木立が邪魔で、そこまで見渡せなかったけどここは下草ばかりだから十分見渡せるな。」

私 「それに急斜面だし。」

二人「うぉぉおおお!なんか テンションが上がってきたー! (謎)」

素晴らしい絶景にテンションが上がりっ放しの2人。二人揃って叫びだす始末。まあ、誰も居ないので気にしない気にしない。

ハジケ避難眺望

テンションの上がりすぎた2人、予想以上に時間が経っており、急いで 引之平 を後にした。

展望台を後にし、お次は桜島の東側にある、 埋没鳥居 に向かうことにした。

左目に海を捉えながら、桜島をグルッと半周、途中大型トラックと衝突しそうになりながら到着した。

驚愕!鳥居が2/3ぐらい埋まっている。

「これだけの火山灰が噴出したってちょっと信じられないな…」 「ここら一帯は全滅だったそうだ」と

親父が案内板を見ながら話した。


大正3年1月9日全島の井戸が沸騰し、海には死魚が浮かび、地震が頻発していました。
3日後の12日の午前10:05轟音とともに噴火。噴煙は高度7000mまで達し、島全体が灰に包まれました。
さらにこの時流出した溶岩は1k立方メートルに及び、この溶岩により大隈半島と陸続きになり今の姿になりました。
この噴火による犠牲者は35人、行方不明者は23人にのぼりました。
この噴火で犠牲になられた方々のご冥福をお祈りします。


埋没鳥居

 鳥居を後にして、すぐに 腹の虫が鳴ってきた 。時間はすでに正午を回っている。

しばらく進むと、” 道の駅垂水 ”の看板が見えた。親父がウインカーを出したので、ここで昼飯かと思いきや、

トイレ休憩だと。こっちは腹が減っているのでついつい食べ物に目が行く。

ふとレストランに目をやると、 長蛇の列 。さすがにこれは待てないので、となりの売店で さつま揚げ 、105円を購入、

つっきゃげ

昼飯までのつなぎとした。この道の駅には名物として、 ギネス にも認定されたながーーーい 足湯 があるのだ。



私「湯加減はどうだい?」

親父「うーん… 実にぬるい!

 …私は入らないでおこう。

(今現在、湯温は良く、気持ちよく浸かることができます) 


足湯から親父を引きずり出し、一路、R220号線を北上する。すると、ふと通り過ぎた建物に ラーメン の、
のぼりを見つけた。

空腹の絶頂だった2人は、すぐさま引き返した。

到着したラーメン屋「 もりやす 」。外観は 古民家 のようないい雰囲気で迷わず、のれんをくぐった。

中に入ると、とても広々としたつくりでトンコツスープのいい香りがただよっている。

「これは期待できるかもしれないぞ」と早速席につき、2人とも チャーシュー麺 を頼んだ。

すると、そう待たない内にラーメンが目の前に運ばれてきた。とんこつスープの香ばしい香り、思わずよだれがこぼれ落ちそうである。
チャーシューメン

早速箸を取りがっつく2人。
うーむ、濃厚なスープと麺がしっかりからんでうまい!野菜もいい味を出している。

満足した2人、最近出っ張り気味の腹を気にしつつ、もりやすを後にした。

らーめんもりやす

もりやすを後にして、走り出すと、 満腹のせいか、少し眠気がさしてきた。

これはいかんとメットのシールドを開けたり色々試してみるがかなり眠い・・・。

しかしその眠気も吹き飛ぶ程の 強烈な臭い が突然鼻をついた。

私 「 ぐはぁ! なんじゃー!この臭いは!?」

すると道路脇の看板に 黒酢 の文字が。

私 「これか!そういえばここは福山だったな。」

そう全国でも有名な 福山の黒酢 、ここ鹿児島の福山町で造られているのだ。

親父「時間もあるし寄ってみよう」

国道から看板を辿り脇道に入っていく。すると、膨大な数の壺が見えてきた。

亀つぼ

親父「すごい。これは千、いや万はあるぞ」

私 「でも、臭いがきつい…」

私 「健康食品なんだけどここにいるだけで病気になりそうだ。」

臭いのせいで黒酢を飲む気にもならず、早々に退散した。

黒酢とスラ

福山を後にし、次は 日本一の巨木 蒲生の大楠 に向かう事にする。

錦江湾を片目に捉えながら国道220から国道10へと移りひた走る。渋滞気味の国分市を抜け、やっとの事で到着した。

日曜なのに人影もまばら。少し寂しいが、そんな寂しさも 大楠が吹き飛ばしてくれた

大楠

私 「 でか!

親父「さすがは日本一!」

蒲生の大楠の樹齢は 1500年 、幹周りが 24.2m 、高さが 30m もある。まさに 日本一の大楠 だ。

巨大な大楠を見上げながら周りをグルッと1周してみた。

張り出す枝祠

私 「でっかいなー。なんか登ってみたいなー」

親父「やめとけ!そんな事したらツーレポに載る前に 明日の朝刊に載っちまうぞ 。」「・・・・・」

冗談をうまく返され、悔しいが言葉が出ない私であった。

大楠 を一通り見た2人は隣にある 神社 に行ってみる事にした。

大楠とは違いこちらは控えめに境内にある。しかし社は 鮮やかな 朱色 で荘厳な造りである。

社

親父「綺麗だなー。」

親父「何かお願い事でもしておくか。」

賽銭箱に100円投げ、筆者はこれからも健康でツーリングができますようにと祈った。

私 「親父は何をお願いした?」

親父「世界平和!」

無視した。

絵馬

大楠の次に向かうは 薩摩焼発祥の地 、美山である。薩摩焼は今年で 発祥407年 になる鹿児島の伝統である。

その中でも一番有名な” 沈 寿官 ”の窯元の前にバイクを停めた。

親父「俺は何度も来ているからパス」
  「待ってるからお前だけ行って来い」

…本当に調子が狂うなこの親父は。

しょうがないので1人で入る。

窯元

中は綺麗に整備された 日本庭園風 の作りでいい雰囲気だ。

散策


しばらく歩いていくと、 登り窯 が見えてきた。

登り窯登り窯 中

火は入っておらず、中まで覗く事ができた。登り窯から下っていくと、展示館などがある開けた場所に出た。

庭園

そこには秋の訪れを知らせるようにもみじが美しく色づいていた。

そこにあった展示館に入り、撮影okか聞くと快く許可してくれた。

(後ろにいた家族から非常識と言われたが)
家族連れは気にせず写真を撮り続ける。すると電話がかかってきた。親父からだ。

「遅いぞー!さっさと戻って来い」

「後5分で戻るから。」と言いつつ気にせず

写真を撮り続ける。10分後、店員さんにお礼を言い、窯元を後にした。

焼物

バイクに戻ると親父が不機嫌な顔で待っていた。


美山を後にし、しばらく走っていると、 雨がパラついてきた 。雨はそこまできつくはないので気にせず走り続ける。  

帰路に着きながら今回の旅を思い起こした。夢であった 桜島 を思う存分走ることが出来たし、天気にも恵まれ、

最高のツーリングとなった。さらに自分の ライテクの未熟 さも痛感する事となった。

そうこう考えているうちに雨も止み、雲の切れ間から、 夕日 が赤く差し、雨にぬれた2台を鮮やかに照らし出した。

その 夕日 に導かれるよう走り、サーフィンの名所、江口浜に到着した。

沈みゆく夕日、それを感慨深く眺める2人と2台。

太陽がみなもに落ち、赤く染まった海面が次第に黒く、その色を変えていく。

親父「今日も1日、よく走ったなー」

私 「さて、次はどこに行こうか?」

さまざまな旅を求め、私達はこれからも走り続ける。


落日



後書き



このツーレポは、私が初めて執筆したものです。(ちなみに、この時体重が85キロありました…)

そもそも私がツーレポを書こうと思ったキッカケはジパングツーリングで連載されていた

秋元庄三郎先生の“バイク旅のススメ”でした。秋元先生の書き上げる美しい日本語で綴る、旅情・侘び寂・笑いにほれ込んでしまい、

私もこんな文章が書きたいと、レポ作成を決意しました。

しかし、いざ作ってみるとなかなか難しく、伝えたい事はこうなのに、うまく文章で表せない!。

日本人でありながら、日本語をまともに使うことができない自分が情けなくなりました。まあ、今も似たようなモンですが。

もっとたくさんの本を読み、多くの方と出会い、語り合って自分自身を高めていきたいと考えております。

これからも、日々精進に努める所存にございます。

最後に、ここまで読んでくださった皆様。誠にありがとうございます。

これからも良いレポを皆様にお届けしていきますので、これからもどうかよろしくお願い致します。



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