何種類かの特殊な細胞を除けば、全ての細胞は細胞膜、染色体、リボソーム、細胞質(原形質)といった共通の構成要素を持っている。外界から内部を隔てる構造が細胞膜である。細胞膜は脂質二重層から構成されている。その内部には生体物質を含む水溶液があり代謝の場を提供している。生体物質としては構造や代謝に機能するタンパク質を含み、遺伝情報を担う DNA を持つ。他にはエネルギー源や情報源として脂質や糖質が含まれる。これらの生体物質は集合してより高次の構造をとっている。DNA は主に染色体として存在する。翻訳の場として rRNA とタンパク質からなるリボソームがある。 また、細胞には細胞分裂、遺伝子発現、代謝などの能力が備わっている。細胞分裂は細胞が増殖を行なう手段であり、遺伝と進化の基本現象となる。遺伝子発現は DNA が持つ遺伝情報がタンパク質などの機能物質へと変換される過程である。代謝は原材料となる物質を摂取し、それを細胞の構成要素の構築やエネルギー生産に利用したり、その副産物を放出したりする現象であり、生物の恒常性を維持する基本的な機構である。 このことを言い換えれば、細胞は生命現象を示す、つまり細胞そのものが生きていると言うことである。細胞が生命の単位とも言われるのは、そのためである。