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2024.01.14
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カテゴリ: 作家



悠介は、長野県安曇野の隣、池田町に産まれ、長野高校に進学した。大学は東京のM大学である。その間、小平由樹枝と良いお付き合いをした。大学2年になりとあるコンパで飲み過ぎて矢代美恵子と深い関係となる。小平由樹枝を愛していたが、愛想をつかされ振られてしまった。その後、美恵子とは変則的な付き合いを行い、1年先輩の美恵子は就職して大学もアパートも去った。悠介は大学4年になり就職活動も終わり、希望の会社に就職も決まった。そして友人高橋の結婚披露宴も無事終了。その後新婦の友人の唐橋由美子と親しくなったが、あまりに積極的な彼女に右往左往する悠介であった。別れたいが別れさせてくれないので困っている。一方、美枝子は玉の輿と言える結婚する事になった。3月末、悠介は就職の為、神田川辺のアパートから引っ越しする。実習中に由美子が自殺未遂をしたと言う連絡を受けて真っ青になった。大内人事課長と由美子の父親に会い、慰謝料も支払い由美子の心の問題を除けば問題は解決した。悠介は希望の鹿沼工場に配属され社会人生活が始まった。悠介は女性問題からタイのシラチャへの出張が決まった。



写真はネットより借用

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料理は、トンカツや鶏の唐揚げ、枝豆やしめ鯖、野菜サラダなど、日本と同じような物ばかりである。悠介はタイ料理を食べた事がなかったので、食べられるか心配していた。しかし、こんな日本料理が食べられるならば、何ら問題はないと安心した。

「所で、寺本君、君がシラチャ行きを希望したのかい? 5人体制で暫くはこのまま行くと考えていたし本社にもそう報告して来た。しかし本社の命令で6名となった。こちらが要望をしていないのに、何故、人数を増やしたのか解せないのだよ。」
「あのー、希望したのではありません。シラチャで工事をしている事さえ知らなかったのですから。」
そう言ってから、新入社員教育で海外の動向と言う説明があったのを思い出した。

「君が希望したのではないとすると、どんな事情があったのかなー?」

悠介は、本当の事を話さねばならないのか悩んだ。新入社員を現地へ押し込んでくれた、総務部、人事部の部長さん方の顔が浮かんだ。事情は現地には伏せてあったようである。別の工場へ転出させても良かったのに、海外へ赴任とは抜擢も良い所であった。「実は・・・。」
「ん? 実は何だ?」
「実は、女性問題がありました。」
「女性問題? 入社早々、もう女性問題か?」
本当の事を話さねば、納得して貰えそうにないので、悠介は説明を始めた。総務部の隣の人事部の女性から上司経由交際を求められたが、まだ実習中であるので、交際は出来ないと断った。それで、その女性を傷つけるのは問題があると言う事で、離れる為に出張を命じられた旨、説明した。

「ふ~ん、そう言う事か。君はモテるんだな。羨ましいよ。」
「そんな、モテるなんて事はありません。」
「いやいや、良いじゃないか、モテるのは。」
「所長、そう言えば、ここに赴任してきた5名は全て関西です。それで、鹿沼工場からも人を出したいと言う噂も聞こえてましたよ。」
大森が言った。

そのような事情があるとは悠介は知らなかった。もし鹿沼工場からシラチャへ派遣するとなると、希望者は大勢いたはずである。そんな中で、悠介が指名されたのは、大変、幸運であると思った。そして頑張らねばならないとも思った。

会食は楽しく終わった。悠介は皆良い人のようなので安心した。皆さんの名前を覚えねばならないので、宿に帰ってからメモ帳に皆さんの名前を書いた。明日挨拶する時に、名前を言ってからお早うございます、と言おうと思った。会食が終わる頃、加山建設本部長から、「今夜は寺本くんの歓迎会のようだけど、着任当日なので、顔合わせとしよう、正式な歓迎会は別途考えましょう。その時は2次会へも行くので、楽しみにして下さい。綺麗なお姉さんの居る所にお連れしますよ。」と言われた。悠介も勿論綺麗なお姉さんは好きだけど、どんな所なのか楽しみとなった。

翌朝、7時に朝食の為に食堂に行くと、昨日会食を共にした、5名の方々が既に食事をしていた。
「お早うございます。」悠介は挨拶をした。5名全員がいるので、一々名前を言う機会を失ってしまった。心の中で、本部長が加山さん。総務課長が、山下さん、技術課長が本吉さん。技術課員が丸山さんと心の中で復唱した。総務課員の大森さんは既に覚えていて問題はない。
「どうだい、良く眠れましたか?」

「はい、ぐっすり眠れました。」
悠介は緊張しながらも、5名の方々と同じテーブルで朝食を採った。

建設現場の工場へは、2台の車で出勤した。加山工場長と、総務、技術の両課長が同じ車であった。そして平社員の丸山と大森、そして悠介が同じ車で出勤した。悠介は偉い人と一緒の車でなくて良かったと思った。そして1日中、同じメンバーで出勤、仕事、退勤だと苦痛ではないかなー。と心配した。おまけに帰って来てから、食事まで一緒だったら、寝る以外は同じ時間と言う事になる。悠介はどちらかと言うと、独りが好きだった。大学時代も、同級生と群れる事はなかった。バイトして部屋に帰り一人で過ごした。共同生活的な日常は初めてであった。

「お早うございます。」
事務所に入って大きな声で挨拶した。日本人以外はもう出社しているようだ。
「コップンカー。」
3名の女性が声を揃えて挨拶した。
タイ語のようである。全く分からないので、返事のしようがない。

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Last updated  2024.01.14 15:40:47
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