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変化する駅のデザイン
伊原 薫 ( 鉄道ライター )
広いホームで利便性高める
先月、JR渋谷駅の大がかりな改良工事が行われ、話題になりました。外回りの線路を移住し、これまで二つに分かれていた内回りと外回りのホームを一体化したのです。
このように駅をデザインすることで、人の流れや利便性を高めることができます。例えば、 5 ㍍の幅のホームが二つあるのと、 10 ㍍の幅のホームが一つの場合、広さは同じようでも、 10 ㍍の方が明らかにいいのです。
ホーム上の人の流れのピークは、電車が駅に到着して、人が降りた瞬間が一番多くなります。逆向きの電車が同時に来ることは、あまりありません。そう考えると、二つに分かれているより、一つにまとまっていた方が、人の混雑は緩和できます。
また、流れのピークの処理だけでなく、階段の数やエスカレーター、エレベーターなども、広げれば設置しやすくなります。
駅は少なくとも三つの機能があります。一つ目は、乗客に切符を販売する「出札」。二つ目は乗客の切符を確認する「改札」。三つ目は、列車に乗り降りするための「
「乗降場 ( プラットホーム ) 」です。ここに、乗客の利便性を考慮した施設、トイレや売店、待合室などが追加されます。
しかし現在、都市部の駅にはほとんど待合室はありません。その代わりに駅周辺の商業施設や喫茶店、コーヒースタンドなどが利用されているのです。また、地方でも、列車を待つ場所から、ちょっと休憩する場所、時間をつぶす場所に変化していきます。
各地で駅のデザインを変えることで、利便性を高め、イメージアップが図られています。
たとえば、JR大阪環状線では 2012 年に「改造プロジェクト」をスタート。モデル駅に設定された森ノ宮駅では、駅舎の外壁や床が森のイメージになったほか、外回りホームに「城見エリア」を設置。単なる通過点から、利用者がとどまれる空間へと、進化しています。
また、駅は乗り換えの場所でもあります。そのため、動線となるべく短くすることが、利便性を高めることになります。
そんな駅の一つが、富山地方鉄道の岩瀬浜駅。 2006 年に古い駅舎が解体され、ホームの屋根と簡易な待合室だけになりました。不便になったように思えますが、駅舎をなくしたことで、路線バスがホームのすぐ横まで進入できるように。バスのダイヤも列車に合わせているため、利用者は数歩歩くだけで乗り継ぐことができます。
富山では、JR富山駅の高架により、路面電車が駅の真下を通るようにもなりました。このため、新幹線の改札口を出て真っすぐ進むと、市内中心部へ向かう路面電車の乗り場へたどりつくことができるのです。同じように、広島駅でも、路面戦車を駅近くまで引き込む改良工事が進められています。
乗り換えやすく便利に
人の流れをスムーズにする
デジタル化で多くの情報を
最近はデジタル化が進んでいます。列車の中の広告もそうですが、駅の表示などもデジタルサインが非常に増えています。
横浜駅ではプロジェクションマッピングの技術を試験的に導入。液晶よりも、投影することで、大きく、見やすくしようとしました。大阪では、現在の大阪駅の北側にできる「うめきた」エリアの地下ホームに、戸袋部分も動く世界初のホームドアが設置されます。ここに、時刻表などをスクリーンで表示する他、さまざまな情報提供にも利用できるとしています。
便利に、利用しやすく、時代とともに、駅の機能は大きく変化してきました。
各地の駅ビルは、地域の中心として発展。さらに、近年になると駅ナカが充実してきました。JR東日本は 2005 年に品川と大宮で商業施設キュートをスタート。当時は、わざわざ入場券を買ってまで、駅ナカとして発展してきています。
何か形が変化した時に、どうして変わったのだろうと考えていくと、理解しやすいもの。駅のデザインの変化にも注目してもらいたいと思っています。=談
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