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文字は人なり
最近、筆跡心理学という言葉を耳にした。人が書いた文字から深層心理を読み解くもので、ヨーロッパでは 100 年以上の歴史がある。「文字は人なり」と言うが「文字も人なり」のようだ
▼日蓮大聖人の御書の大半を占めるのは、門下に送られた手紙である。供養に対する返事では、書き出しの部分で、供物の内容と数が詳細に書かれている。それだけではない。直筆を見ると、文字の大きさに驚くことがある
▼例えば、「千日尼御返事」。冒頭には「鵝目一貫五百文・のりわかめ・ほしい、しなじなの物、給び候い了わんぬ」(新 1748 ・全 1318 )とある。その最初の「鵝目一貫」の 4 文字は、他の文字のサイズで、縦 30 センチの紙の一行分を占めている。(『日蓮の心』第三文明社)
▼当時、紙は貴重品だった。その中で、大聖人は門下の真心を大切にされた。供物への感謝を大きく、力強く書かれた筆致からは、門下に対する大慈大悲を感じずにはいられない。この麗しい師弟の絆があったからこそ、門下たちはいかなる困難も乗り越えられたのだろう
▼言葉のやり取りが便利な時代ゆえに、手紙であれ、メールであれ、一字一句に真心を込めたい。自動で作られたものに負けない〝心ある言葉〟を。
【名字の言】聖教新聞 2023.10.28
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