『 ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン 』
2005 米
監督 ジム・シェリダン
出演 カーティス・“50 cent”・ジャクソン
ヒップ・ホップ界のカリスマ・ラッパー 、 50Cent
の半生。
マーカスは父親を知らず、麻薬の売人をする美しい母親と暮すが、12歳の時、母親が殺される。
祖父母の家に引き取られるが、家族が多く、新しいスニーカーも買えない生活に嫌気がさし、マーカスは家業を継ぐ、つまり麻薬の売人となる。
麻薬売買を仕切る幹部からは可愛がられるが、繰り返される抗争の中、逮捕され刑務所へ。
出所したマーカスは、麻薬売買から足を洗い、幼い頃からの夢だったラッパーになろうとするが ・・・・
映画自体にも、50Centをモデルに描かれたマーカスという人間にも、麻薬を売ったり人を殺したりすることへの罪悪感や釈明めいたものは
全くありません。
殺される母親も、引き取る祖父母や従兄弟たちも、幼馴染でやがて結婚する女性も、刑務所で知り合いやがてマネージャーとなる友人も、
愛情のある律儀な人に描かれていますが、殺人やドラッグに対する迷いはほとんどありません。
映画制作には50Cent 自身が深く関わっているらしいので、実際にそういう感覚がないのでしょう。
少なくとも50Cent にはなくて、他の人たちもそうだ、と信じているんでしょう。
本当のところどうなのかは分かりません。
というわけで、たくさん血は流れるにもかかわらず、映画に悲壮感や緊張感はほとんどありません。
タイトル通り、金持ちになる、そのためにドラッグを売る、という非常にシンプルな生き方を映画は否定も肯定もしていないわけです。
メインテーマとなる曲の歌詞も、
ブツを量って俺は夢を買う
俺は贅沢中毒、お前はドラッグ中毒
贅沢したい、だからブツを売る
邪魔をするなら痛い目に遭わせる
といった具合。
50Cent 自身は結局は足を洗ってギャングスタ・ラッパーとして再生しますが、それだって元ボスを殺してのことですから。
その意味で非常に自分勝手な、母親への愛情や父親探しといったものも描かれてはいます。
それがあまりにあっけらかんとしているので逆に、人間って面白い、と妙な感慨を覚えます。
ある種の超現実的夢物語といっていいかも知れません。
といって私は批判しているのではなく、映画として、なかなか面白かったです。
登場人物など分かり難いところもありましたが、ストーリーはスピーディでドライ。
何といっても音楽には、惹かれるものがありました。
ヒップホップを特別好きではありませんが、こうして聴くと不思議な心地よさがあります。
どんなに耳を凝らしても英語で何と言っているのか分からなくて、歌詞の意味を完全に無視しての心地よさなので、本来の楽しみ方ではないでしょうけど。
まぁ、多くの日本人はそうなんではないかしらね。
訳で大まかな意味を分かっても、それって理解していることにはならないでしょうね。
先月は 『 2Pac 』
、そしてこれの二つを観たわけだけど、日本でヒップホップとかラップとか言われて
いるものが、本場ものとはどれほどかけ離れているかだけはよく分かりました。
音楽的に真似はできても、ベースにある精神性は真似られないわけで。
日本には日本なりの、ということでいいのかも知れませんが。

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