コロナウィルスに対してのクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の対応に関して、神戸大学の岩田先生が問題があると警告したビデオ(Youtube)が大きく取り上げられている。
昨日、2月20日にも外人記者クラブで岩田先生とのビデオによる会見が有り、その一部がテレビでも放送された。
私はこのテレビ放送を見るまであまりこの件に関して知らなかった。ただ、ダイヤモンド・プリンセスでのコロナウィルスに対する対応は、問題があるのではないかとうすうす思っていた。それは日に日に感染者が増えていっていたからである。そして、船の中で対応するのは、乗客、乗員を外に出して対応するよりも対応が大変だろうと考えていたからだ。
昨日のテレビの放送を見て、やはりダイヤモンド・プリンセスではコロナウィルスに対する対応を誤っていたのだと認識した。こんな対応をされていたのでは、乗客はたまらない。私が乗客だったらどうしただろうと、気になって仕方がなかった。
コロナウィルスはどこにいるかわからないので、いるかも知れないところと、いないとはっきりできるところを明確に区分しないといけない。これがダイヤモンド・プリンセスではできていなかったと岩田先生は指摘している。この問題はその後岩田先生も言われているが、改善されたということで、岩田先生がYoutubeで指摘されたのが効果を発揮したのだと思う。Youtubeのなかった時代だったら、こういう訴えも明らかにできない。インターネットの恩恵だ。
昨日あたりから、乗客で陰性と判断された方たちが下船されているが、この方々の取扱はまだ問題があるようだ。陰性だからといってコロナウィルスを持ち運んでいるかどうかは定かではない。だから、電車などの交通機関を使用して家に帰ってもらうなどというのも問題だし、帰宅してすぐに職場に復帰などというのもってのほかだと思う。乗客の方々も家でしばらくおとなしくしていたいという発言をされているので、いい方向だと思うが。
岩田先生も言われていたが、船内でレッドゾーン(危険区域)とグリーンゾーン(安全区域)を明確に分けて対応するのは大変難しいと言われている。むしろ、船を接岸して、その近くをグリーンゾーンとして取り扱い、船の中はレッドゾーンとして対応するのがやりやすいと。これができていなかったのだから、船内で対応されている方は大変だと岩田先生も言われていた。
本日、これに関連するTwitterを見てびっくりした。この岩田先生のビデオを日本の政府の対応を批判したものと考えて、「消せ」と叫んでいる方がたくさんいたからである。日本の恥を海外に晒すものだということのようだ。しかし、クルーズ船での対応は未熟そのもので、恥そのものなのだ。それを消せと一方的に言っているのは解せない。それでは中国で最初にコロナウィルスの危険性を唱えた医師の行為をけなし、削除した中国地方政府の行為と同じことになる。せっかくの注意を無駄にしてはいけない。日本語のものは岩田先生が登録されているので、自分自身で消せるのだろうが、英文や中国語のものは他の人がそれをコピーして、英語や中国語の訳をつけてYoutubeに登録しているので、それは岩田先生は消せない。しかしそのことも理解しないで、英語版も中国語版も消せという話も出ている。日本の恥だと思っているのだろうが、そうではない。医師がきちんと忠告をしているのであって、偽の情報を流しているのとはわけが違う。
日本でも外国でも言えることだが、こういう事態に対しては、どうしても政治が介入したがる。しかし、それ以前に科学的にそしてシステマティックに対応していかないと、きちんと問題は解決されない。それをしないから余計な命が犠牲になってしまう。ましてや、岩田先生の発言を問題視して、「消せ消せ」というなどやってはいけない。むしろ我々の命を守ってくれるありがたい忠告だと考えないと。
日本政府も岩田先生が言われるように過去のサースウィルスやエボラ熱などの対応をきちんと学習して、それを上回る対応をするべきだ。今からでも遅くない。岩田先生もダイヤモンド・プリンセスでの対応は以前よりは良くなっており、問題視する状況ではなくなっているようだと言われていた。岩田先生の発言があったからだろう。今後の日本政府のコロナウィルスに対する対応にも大きくいい影響を与えてくれると信じている。
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