10時30分頃両親と面談 小児科I医師・M医師・K医師
現在起こっている事と想定される事
夜間より血圧の低下と意識レベルの低下を認めた。明らかに血便を示唆する所見はないが、血液検査上Hbの値が昨日の7→4まで低下していることや、腹部の膨満があることより消化管出血が想定される。
そのようなことに付随して、
・血圧を保てない
・腎機能の低下:本日になって尿がほとんどでていない状態
が起きている。
血圧に対しては昇圧剤の投与と輸血の投与を行っている。現在Hbの値は8.8まで回復はしてきている。しかし、血圧をしっかり評価し管理するためにAラインを入れる事も考えている。その際鎮静をする場合と、せずにする方法もあり、どちらも利点と欠点があるが、当方としてはできうる事を行い、眠って負担が少ない状態でやる事も必要かと考えている。
腎機能障害の際に最も注意すべき事由としてKのバランスが崩れる事が挙げられる。それにより不整脈や心停止などが起こりうる。対処法としては点滴によるものと、透析により電解質バランスを保つ方法がある。
当院の血液浄化部とも相談したが、出血のリスクや体重が17kgと小児に対して行うのは技術的に難しいとのことであった。また○○(他院)の透析部とも相談したが、血圧を保てない状態で透析をすることは非常に危険が伴うこと、原病や肝不全のこともあり、適応に関しては議論になるところではある。まずは血圧の保持が最優先とのコメントであった。
今後腎不全が進行した場合、腎機能の回復が難しい事が予想されます。透析が難しい場合の管理に関しては今後ご相談の上検討していきたいと考えています。
・人工呼吸管理となった場合について
呼吸を保つ補助は出来るが、腹部が張っているので予想以上の圧が必要になることもあり、気胸などが起こりえる。出血しやすい状況の為、気管内出血のリスクもある。人工呼吸管理する場合には、鎮静剤を使って完全に眠った状態下で行う必要がある。
以上両親にお話した。
本人の顔を見てもらいまた相談していく方針となった。
○○(他院)からの返事を待って11時頃再度お話
・○○からの見解
技術的にも状況としても透析に関して難しいとのコメントであった。
・今後の方針
血圧の管理・電解質の管理を行いながら現状を見ていく。今後このまま見ていくと電解質のバランスを崩して生命に関わると予想され、現状の速さで症状が進むと、近日中に容態が悪化する事も予想される。
急な変化が起こった場合、外から心臓マッサージや人工呼吸器の装着などの機械的な刺激を行うこともあるが、一時的に回復するものの根本的な治療にはならず、出来るだけ自然な形で見ていきたいと考えています。
ご両親もその方針で納得された。
兄の面会や親戚の方々への連絡、また夜間付き添いなどに関しても進めながら経過を見ていくこととした。
10時40分 悪寒の訴えあり掛け物・電気毛布使用にて対応。末梢冷感著明。末梢の脈は微弱。徐々にSpO2の感知も悪くなり温罨法開始 SpO2:90%前後で経過
11時頃 兄に対して簡単に説明
今治療を頑張っていること、様子としてはおなかが張って普通は溜まらないような水が溜まってしまったり、皮膚が茶色~黒っぽくなったり、呼吸が時折苦しくなってしまうため酸素マスク(今までより大きい酸素マスク)をつけていること、おしっこの管を入れていること、点滴も手や足からも頑張っていることをお話した。
兄は家族から聞いていることもあり、分かったと繰り返すも、イメージを絵を描いてつかもうとしつつ、『応援は出来ないけど、ひでちゃんとお話したい。ゲームしたい。本読みたい。』と話した。
母と相談の上、兄も病室で本児と面会。手を握ったり呼びかけたりしていた。本児も時折頷いたり出来ており、兄の来室に気付いていたと思われる。
11時30分 やや浅速呼吸気味になり、RR30~40回台 air入りは良いが痰がらみあり口内に溜まったものを適宜吸引し血性のもの回収される
11時50分よりコアテック1ml/h開始となる。開始後HR70台で低下なし
12時頃より入眠し始める。徐々にHR60-50台とベースが下がる SpO2:85%前後
12時15分よりヒューマリン2.6単位をdrip開始
12時33分 HR:0 SpO2:70%台 呼びかけに反応なし 心音聴取・頚動脈触知出来ず 口内吸引し3回深呼吸みられるがDr.より聴診・対光反射確認
12時35分 死亡確認
hide)『○○○○ひで○』『ありがとう』『掛ける』『寒い』
家族)『あ、モニターはずれたかな』『がんばったね』『こんなに辛い思いさせちゃってごめんね。もう痛いこともつらいこともないからね。』『よく頑張ったね。いい顔してるね。笑ってるよ。』『一緒にお家に帰ろうね』
10時半頃よりご家族全員が面会され、本人とお話しながら穏やかに過ごされる。
死亡確認後、家族と患児だけで最期の時を過ごされる。
以上が医師や看護師が記録した亡くなった日の診療録です。
一部省略した部分もありますが、この日を思い出し、時折涙が溢れながら入力しました。
記録としてブログにも残しておきたくupしました。
2007年8月25日診療録 Apr 21, 2008 コメント(2)
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