「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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こ い こ う じ
オトコゴコロ- Latter half -
オトコゴコロ
- Latter half -
―割れた地面に雨が残るよ 揺れる思いを 唄にして―
東の対屋が見えてくると同時に
簀子縁に寝転がっている瑠璃さんの姿も、目に入ってきた。
相変わらずの『姫君らしからぬ振る舞い』に、思わず苦笑してしまう。
「今日は、高彬は……。」
自分の名前が聞こえたような気がしたから
「えっ?呼んだ?」
「へっ!?」
庭先から返事をしたら、瑠璃さんは吃驚したようにガバッと起き上がった。
ぼくが突然に、しかも庭から姿を現したから相当驚いているようだ。
「あ、あれ…来てたんだ…。」
「う、うん。融のところに用事があったもんだからね。」
融のところに来たって事は、嘘ではないけれど
本当は、瑠璃さんに逢いたかったから…。
顔が火照ってくるのを瑠璃さんに悟られないよう、少し俯き気味で答えながら
階を上り、瑠璃さんのすぐ隣に腰を下ろした。
いつの間にか小さく感じるようになってしまった華奢な肩に…
袖口から覗く、白くしなやかな指先に…
思わず触れて抱き寄せたい衝動に駆られ、ドキドキしてしまう。
「…庭を通ってここまで来るなんて、珍しいわね。」
「うん…。ちょっと、考え事してたのもあったからね…。」
『心此処にあらず』だったぼくは、咄嗟にそう答えてしまい
慌てて「そんな大した事じゃないから…。」と付け加えた。
まさかあんな悩み、瑠璃さんに話す訳にはいかないし…。
「ねえ、何かあっ…。」
「瑠璃さんも、一緒に庭に下りて池まで行ってみない? 杜若とかだと、ここからは見えないでしょ。」
瞬時に、瑠璃さんが何を言い出すのかを察したぼくは
瑠璃さんの言葉を遮るように言った。
このままだと、瑠璃さんの性格上
あらいざらい問いただされる事は分かりきっている。
「ねっ。」
それに、池のほとり一面に咲いていた杜若の花群は見事だったし
瑠璃さんと一緒に、あの景色を見に行くのもいいかな…。
ぼくは、瑠璃さんに笑顔を向けてダメ押しの一言を言う。
「…うん、そうね。」
瑠璃さんがあっさりと承諾してくれた事に(少し不思議に思いつつ)
ぼくは胸を撫で下ろした。
ぼくが来た道を辿っていくように、二人で庭の中を歩いて行くと
夏の花々の中に、紫陽花がつぶらな花びらを綻ばせ始めていた。
それを見つけた瑠璃さんが
「もう、紫陽花が咲き始めてるのね。」
「あと少ししたら、見頃になりそうだね。」
「もうそろそろ梅雨になるのか…。どうりでここ最近、雨がよく降る訳だわね。」
と、呟いたその矢先…
ポツ・・・ポツン・・・
「えっ?雨…?」
肌に雨粒を感じたかと思ったら、その粒はすぐに大きくなり
二人のところに降り注がれた。
「やだ、戻らなきゃ。」
そう言って慌てて駆け出そうとした瑠璃さんの手を…
手を、咄嗟に取ってしまっていた。
「急ごう、瑠璃さん。」
「う…うん…。」
掌から直に伝わってくる温もりで
先程見た、瑠璃さんのしなやかな指先を思い出し
再びぼくの中を『衝動』が駆け巡っていく。
もう、雨が降っている事なんて忘れてしまっている。
手はしっかりと繋いだまま、二人して階のほうへ駆け出した。
最初は驚いて遠慮がちだった瑠璃さんの指が
ぎゅっとぼくの手を握り返してくれる。
その手の感触に、ぼくの鼓動が跳ね上がっていく。
そんなに遠くまで来ていた訳ではなかったので、階まではすぐに辿り着いてしまった。
急いで雨を凌げるところに逃げ込む。
「……。」
「………。」
サー・・・ サー・・・ サァー・・・
沈黙している二人の間を雨の音だけが静かに響いていく。
「…あっ、ごめん…。ありがと…。」
瑠璃さんが、そう言って繋がれた手を引っこめようとした。
ぼくはその手をまだ離したくなくて…
強く握り締めて、自分のところに引き寄せた。
「ぼくが結婚して、一生添い遂げたいと思っているのは
今迄も、これからも、瑠璃さん、ただひとりだけだからね。」
衝動的にとった自身の行動に、少し驚きつつも…
ぼくを真っ直ぐに見詰める焦香色の瞳に
一言一言を区切るように、本心を告げ
「これだけは、何があっても変わらないから…。」
同時に、自分の中での決意を更に堅いものにする。
そして、瑠璃さんをこのまま抱き寄せようとしたその時
「瑠璃さまー。瑠璃さまぁ~。」
絶妙なタイミングで
瑠璃さんを探している小萩の声が簀子縁にまで響き渡ってきた。
ぼくと瑠璃さんの体が、反射的にパッと離れる。
「…なんなのよ…小萩…。」
「あっ、やはり高彬さまも御一緒でしたか。」
忠義者の小萩は、ぼくも一緒だということが分かると
その場にすっと控えて
「右大臣家からお使いが参られまして、いそぎ高彬さまに口頭でお伝えしたい事があるとのことです。」
と伝える。
「ウチからのお使い?」
「はい。こちらで取り次ぐと申しているのですが、高飛車な物言いで…。」
「あぁ…。きっと母上のお使いだと思うけど…何かあったのかな?」
母上のお使いで、高飛車な物言いって事は…やっぱり守弥かな…。
ぼくは、苦笑しながら
小萩に「わかった、すぐ行くよ。」と返事をする。
「瑠璃さん、ごめん…。今日はこれで失礼するよ。」
そう言いながら、ぼくが瑠璃さんのほうに向き直ると
思いっきり瑠璃さんと目が合ってしまい…
今までの事を思い出して、思わず頬が熱くなってくる。
「う…うん。また…ね。」
瑠璃さんの頬が、ほんのり赤く見えるような気がするのは
ぼくの都合の良い解釈?
渡殿に向かって歩き出したぼくは
瑠璃さんの柔らかい手の感触を
ぼくの手をぎゅっと握り返してくれたしなやかな指を
ぼくを真っ直ぐ見詰める焦香色の瞳を
思い出していた。
突然降りだした雨は、未だ上がることはなく…。
地面の水溜りに降り続く雨粒は、ぼくの揺れるオトコゴコロを唄っているかのようだった。
(おしまい)
色
の部分は原由子さんの『あじさいのうた』から部分引用
◇あとがき◇
「オトメゴコロ」がそのまま高彬目線のお話になっただけのモノです(汗)
↑を書き終えた後、なんだかこの話の高彬バージョンを無性に!書きたくなってしまって…
なんか書き始めたら、例の宴でのエピソードをどうしても削りたくなくなってしまい、気付いたら…
すごく長くなってしまっていて、結局プロローグ編と分けることになってしまいましたっ(滝汗)
3部とも、原由子さんの『あじさいのうた』の歌詞のワンフレーズをイメージして書いております。
○年前、当時…中学生だったあたしが、たまたまラジオで聴いた歌なのですが『だんだん好きになって そしてだんだん恋になる~♪』のフレーズの可愛い感じが印象的で、以来ずっと好きな歌になりました。
ちなみに『あじさいのうた』の歌詞は、こちら↓でご覧になることが出来ます。
あじさいのうた/原由子 - 歌詞GET
元々は、ジャパネスクファンサイト
『らぶらぶ万歳サークル』
の競作作品に投稿するために書いたはずの「オトメゴコロ」
まさかコレが3部作にまでなってしまったとはっ(汗)
大尼君が倒れてしまい、この後『まずいことになった 進退極まった』事にまで発展しまうなんて…
あたしが言うのもなんだけど…せっかくの『決意』がフイになってしまった高彬、不憫です…(涙)
― 黒駒 ―
2009.08.05
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