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2018.11.07
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カテゴリ: 観劇




そう、これは助さんと格さんの話。
水戸黄門を演ずる伴美奈子の名演技を期待するも出番はなく、みごと黄門様になった姿を見られただけだ。
思えば、小劇場というものはいったいいつからあるのであろうか?企業でいうところの中小企業、いや零細企業というか。個人事業主のような人が、ままよと仲間を集めて旗揚げし奮闘し、人気を博して規模を大きくしていく。思えば、劇団扉座の前身の善人会議も同様であった。群雄割拠する小劇場・小劇団ブームの最中、第三世代の最後尾からやってきてはあまたの小劇場をすっとばし、一躍前線に躍り出た。上京するのが遅かった私は、善人会議の本当の初期を知らず、巷で十二分に有名になり、横内謙介ここにあり!と輝き、そして、さらに大きく羽ばたこうとしていた時期であった。そして、同時期に輝いた小劇団が数多くあった。私が一番好きなのは自転車キンクリートであった。『MIDNIGHT UPRIGHT うしみつ時のピアノ』は”じてきん”の最高傑作だと当時感じていた。もちろん、紀伊國屋ホールでの上演だ。そういえば、私が見た唯一のつかこうへいが「熱海殺人事件~ザ・ロンゲスト・スプリング~」だったと思う。もちろん、紀伊國屋ホールだ。登場とともに歌う長与千草に魅了された。圧倒的なスター!!!!! そう、客を呼べる圧倒的なスターがいれば、芝居も小屋も活気づく。伴美奈子はそんな主演スターに成れた芝居巧者な女優ではなかったのか?東京壱組の余貴美子や劇団M.O.P.のキムラ緑子のように看板女優として君臨できる器ではなかったのか。善人会議には芝居ができる美人女優がいた。いっぱいいた。その諸先輩の女優たちの後塵を拝し頭角を現すのは困難かと思われたが、新陳代謝というか入れ替わりたちかわり役者が入ってはやめていくこの劇団ではあっというまに主要キャストであった。だが、劇団よりも売れてしまった横内謙介は引く手あまたで多忙を極め、確たる団体を作ることは出来なかったのではないだろうか。当時脚光を浴びた岡森諦をはじめ、成り上がった者の勢いと勘違いは後輩たちをふるえおののかせ団体を作ることは出来なかったのではないだろうか。それゆえ、新人が中堅になるまえに劇団をやめる者が後をたたず。主要キャストはベテランが占めて、ラッキーボーイが一翼を担うくらい。そのラッキーボーイたちもその後の舞台で見ることはない。ロートルとなったベテランと入団3年目くらいまでの新人でつくる舞台。それが、劇団扉座の舞台の構成員のような気がする。横内はそれではヤバイと思ったのか、確たる団体を作ろうとしたのか、あえて”劇団”となづけた扉座に改組した。新劇の老舗の文学座はいうに及ばず、俳優座や青年座などは主宰がかわろうと脈々と続いているけれど、小劇場ブームをささえた第三舞台も夢の遊眠社も状況劇場も天井桟敷もなく、東京壱組も劇団M.O.P.もない。劇作家40周年をむかえた横内謙介の劇団扉座は続くのだろうか。
私にとっては善人会議の舞台が素晴らしかった。マキノノゾミが演出した本多劇場の「曲がり角の悲劇」、そして、「新羅生門」。茅野イサムがすごかった。素晴らしかった。並外れた身体能力で3メートルはあろうかと思われる門から飛び降り、鬼であった。若き日の30歳を前にしての彼らには”海を見たことのない”者の海を見たいという欲望のような夢、野望にあふれ、これから開けるであろう未来の成功への序章に躍っていた。若さがあるからこそ感じ、体現できる境地である。今、齢50を超え、老後という時代を考えざるをえない状況で、はたして愛を語り、未来に希望を待つ作品が作れるのか。私が見始めた頃、すでに人気でひっぱりだこになっていた六角精児はあまり劇団芝居に出なかった。それゆえ、初めて見た六角の芝居は想定外で図体のでかい凡庸な感じがした。あのなんともたとえようない演技スタイルが六角であり、今回、助さんを演ずるも助さんでなく六角であった。それは誰を演じようとも木村拓哉が木村拓哉であるように。(かっこよく例えすぎか)総じて、水戸黄門の物語ではなく、助さん格さんの物語でもなく、扉座の物語であった。
ちなみに、イチオシは茅野イサムであったが、次は有馬自由である。紀伊國屋サザンシアター「アゲイン -怪人二十面相の優しい夜-」で観劇に来たと思われる有馬自由にロビーにて握手を求め、快く、握手してもらったことがある。嬉しかった。
未来に夢と希望しかなかった若者が、未来に老後がチラついてきた今、中小企業のおやじが事業継承に悩むような事態が待ち受けている。劇団四季は大規模となり、有名スターを輩出しては新人を発掘し、新陳代謝を繰り返し代表であった浅利慶太なくしても老舗新劇劇団同様、後世に続く団体となりえた。扉座はどうなっていくのか。
演者は若手をかき集め大舞台でもなんとかできる体制をとってはいる。しかし、それを支えるのはスタッフだ。長年、やってきたのであろう、今回、演出が素晴らしいといったが、音響や照明、舞台監督の手腕がすごかったと思える。段取りを決めた立ち回りで見事、刃の合う音や空を切る音、まだ序盤ゆえわずかなずれはあるもののほぼパーフェクトの音入れは最高であった。塀板の落としも見事でいうことはない。そして、雪星が舞う対決シーン、みごとである。音響賞や音楽賞、舞台美術賞がとれる出来栄えである。しかし、私が見たいのは、スタッフが賞をとる舞台ではなく、主演男優賞や主演女優賞や作品賞をとる舞台である。私は、昔、一時期、オペラの助演をやっていたことがある。一番数多く舞台にのったのが『椿姫』である。そして、一番、数多く見たオペラも『椿姫』である。今まで一番感動した『椿姫』の舞台はイタリアの名演出家の新演出で新国立劇場で見た『椿姫』でなく、荒川区(?)の市民オペラの区民ホールで見た『椿姫』であった。間近で見た知り合いも出演した区民ホールのオペラに感涙した。劇団扉座にも芝居で魅せる舞台を見せてほしい。





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最終更新日  2018.11.08 06:45:26
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