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2020年02月25日
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テーマ: 本日の1冊(3691)
「自転車日記」夏目漱石 青空文庫

鳥打帽を衝(つい)て猛然とハンドルを握ったまではあっぱれ武者ぶりたのもしかったがいよいよ鞍に跨(またが)って顧盻(こけい)勇を示す一段になるとおあつらえ通りに参らない、いざという間際でずどんと落ること妙なり、自転車は逆立も何もせず至極落ちつきはらったものだが乗客だけはまさに鞍壺にたまらずずんでん堂とこける、かつて講釈師に聞た通りを目のあたり自ら実行するとは、

ずどんと落ちる、ずんでん堂とこける、近代からこの方、多くの人が辿った道を、この文豪が辿っているのがおかしい。

ただし、舞台がロンドン、時は1902年というのが少し普通とは違う。地名がたくさん出てくるので、ロンドン旅の折には、漱石の転び場所を特定する愉しみも出てくる(実現出来ないだろうけど)。

漱石の運転技術はなかなか上達せず、漱石の落車に引きずられてたまたま後ろをついてきた人の自転車も落車する。そうすると、

彼の落ち人大に逆鱗の体で、チンチンチャイナマンと余を罵った、

「チャイナマン」は中国人だからわからんでもないが、ホントに「チンチン」と言ったのか?今となっては確かめようもない。

「吾輩は猫である」より2年前の執筆(1903)らしい。この時より、現代的なユーモア小説の文体は既に完成に近づいていたのかと感心する。

また、この背景には気うつ病(鬱病?)になってロンドン留学を退散する近代人漱石の自虐気味な自己分析が垣間見れないこともない。面白い一文でした。





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最終更新日  2020年02月25日 08時06分05秒
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