そこで、こういう果てしない欲望の連鎖と奪い合いの地獄から何とか脱出する方法はないのか、と考えます。アメリカ経済がまだ絶頂期の1950年代既に、「人間はなぜ、戦争をするのか。やめようとしないのか」「人間はサルから進化したものか」という疑問からスタートして、人間の心の荒廃に危機意識を抱き、警告を発し、『人類の歴史の光の部分』にスポットを当てようと試みたのがAHマズローに始まる「人間性の心理学」でした。この心理学はかつての古典的な心理学、ダーウィンの進化論の影響を受け、神を否定したフロイドに始まる古典的な心理学やロシアのパブロフの条件反射にヒントを得てアメリカでスタートした自然科学、生物学、動物学をベースにした行動主義の心理学に比べれば、マイナーな存在でしたが、古典的、科学的心理学が人間の心の「暗い部分=影」やどうしようもない『環境の影響』を重視していたのに対して、人間の「光の部分」にスポットをあてた画期的な心理学だったのです。
画期的と言いましたが、実は、私たちの見解では、人間性心理学は東洋やギリシャ、中東など西欧にはなかった世界の聖人たち即ち、老子,孔子、ソクラテス、イエス(キリスト)釈迦などには、共通の考え方、教えがあったのです。(後述、マズローの継承者を自認するWダイヤ-の心理学)
マズローは、膨大な資料の研究によって、古今の幸せな生涯を送った人々あるいは(無名でも)みんなから慕われ尊敬されている人々(自己実現者)には共通の要素があることを発見して仮説(欲求段階説)を発表し、その後の経営学(Dマグレガ-やPドラッカー)などに大きな影響を与えました。そもそも人間の欲望は基本的に生きてくための欲求(基本的生理的欲求)がベースにありそれが満たされると次の次元の欲求(安全の欲求)それが満たされるとさらに高次元の欲求(帰属、自我)の欲求と高まり、究極のそして人類固有の欲求(自己実現の欲求)に到達するというものです。詳しいことは拙著「勇気と希望の心理学」(牧歌舎刊)参照。
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