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2004.11.08
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カテゴリ: ねこばなし

10歳を超え、ようやく普通の猫らしく(?)なったロンである。
「あお~ん!」と雄叫びをあげるのも一日1回くらいになったし、
ダダダッ!っと訳もわからず部屋中を駈け回るのも一日2回くらいになった。
母を飛び蹴りするのも、油断すると背中に飛び乗ってくるのも
月に一度くらいまで減った。


今でこそ猫道を突き進むくるんであるが、
小さい頃から猫が特別好きだったわけではない。ロンを迎えた経緯にしてもロンには大きな声では言えないが、
とても不純な理由であった。


平成5年4月、愛猫タロを亡くし、ちょっとした鬱&パニック状態に
陥っていた私はとにかく「猫」が必要だった。
里親募集の掲示板にすぐに飛びつき、翌日には対面した。


仕事帰り、車で30分かけて指定された空き地に向かった。
(なぜそんな所だったのか今では不明。)

「この仔です」

ん?確か掲示板には茶トラオス2匹…と書いてあったはず…?
キャリーバックから出てきた仔猫は一匹しかいない。

「あの~、2匹いるはずでは…?」

聞いてみる。

「お渡ししたいのはこの仔です!」

連れてきた母娘はきっぱり言い放った。
やり取りの間も「キィー!キィー!」と仔猫は威嚇しまくっていた。

「抱っこしてもいいですか?」

抱き上げようと手を伸ばすと同時に

「気をつけて下さい!危ないですから!!」

時既に遅し、喉元から胸にかけて見事な引っかき傷を頂いた。

「・・・」(母娘は顔が引きつっていた)

その週は以前より外泊の予定があったので
1週間後の引取りで良いかとたずねると、
「今日連れていかれるのじゃないんですか…?」
おいおい、そんなあっさりでいいのか!?
とにかく、1週間後に必ず引取ると約束をしてその場を去った。
「ほんとですね!」
何度も念を押された。


約束の1週間後、その時は母娘と息子さんらしき青年も一緒だった。
ロンは息子さんが面倒をみていたらしく、その青年が一番別れを惜しんでいるようだった。
なんだかほっとした。



こうして晴れてくるんの養子になったロンであるが、
その日からくるんの生活はえらいことになった。
トイレのしつけもきちんとできていたし、
頂いてきたカリカリもばくばく食べ、元気一杯!
しかし、ノミはいるは耳ダニはいるはで連日の医者通いが始まった。

それよりもっと大変だったのはひじょーに暴れん坊だった!
タロが大きくなってやっと登れるようになった高いところにも、
初日からダダダダッ!ダンッ!タッタッター!ジャーンプ!

おまけに人間によじ登ってくる!
高いところが大好きなので、頭のてっぺんまで一気に駆け上がる。
手を添えなくてもうまくバランスをとってちょこんと乗ってた。
きっと生家でもあの青年の頭の上に乗っていたのだろう。
しばらくは頭にロンを乗せて料理したり化粧したりしていた。


とにかく悲鳴を上げたくなるようなやんちゃぶりだったので、猫とのまったり時間…などというのには程遠い生活がしばらく続いた。


そんな時間が2ヶ月ほど過ぎた初夏の日。
体重も増え、力も付いてきたので
仔猫としては普通にじゃれているつもりでも
人間の皮膚には相当堪えるようになってきた。

ガジガジと噛むようにもなったのでこれはまずいと思い、
ダメだということを教え込もうとした。
ガブッときたら「ダメッ!」といいながらぐっと噛まれた手を押しこむ。
そうすると嫌がって次第に加減がわかるようになる。
母猫に教えられなかった仔は加減がわからないので
人間が教えなければならない。
タロもこうして教えた。

しかし、ロンは「う~~…」と威嚇してきた。
毛を逆立てて今にも飛びかかってきそうな勢いだった。
「怖い!」
仔猫相手に本気で危険を感じた。
目があった!やられる!
そう思った瞬間、ロンの目が怯えているのを感じた。
「あぁ、この仔も寂しいんだ」

その時まで私にとってロンはまだ「猫」だった事に気付いた。
「タロと違う!タロはこんな事しない!タロは…!」
…ごめんね。ほんとにごめんね。
「ウゥ~」 と小さく唸っていたロンの背中を撫でた。
瞬間、ロンの目が穏やかになった。



そして 超母ちゃんっこ になった怪獣が出来あがった。
しかしなぜか過去一度も母以外の人間に危害を加えたことはない。


ロン041107





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最終更新日  2004.11.08 20:31:58
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