ボクらのカリカチュア

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2008/09/02
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カテゴリ: クロノス
-メルが男達と悶着を起こす少し前


一台の荷馬車が倉庫街の門前に現れた。
集荷、配送業務も受けているこの倉庫には、こうして日に何度か馬車の出入りが見られる。

守衛の男は欠伸を飲み込みつつ、事務的に御者の手形と身分証、それに倉庫の利用証書を確認した。

ここを出入りする馬車の御者には二通りあって、イートン倉庫に直接雇われた者と、業務を委託され地方からやってくる者とがいる。
どちらも郵送業を営むと云う点では共通しているが、イートンに雇われて働いている御者の多くは元冒険者だった人間が多い。
倉庫の警備にあたる者は勿論、シェルパとしての同行者派遣も行っているイートンの部下は、そうした気性の荒い者ばかりだった。

そうした者の中には事務的なルーチンに就くことが難しいと判断される気質の人間も多数いる。
政府の旗の元で行われる交易や郵送等と違い、特に紙の上での仕事が杜撰な事は日常的なのだ。


中身の検査は倉庫に搬入されるその時に行われる為、ここでは簡単に数や見た目の不審を確認するだけに止まる。

守衛:「はあ。眠てえ」

御者:「しっかりしてくれよ。何かあってどやされるのはお前だけじゃ無えんだからよ」

守衛:「何かって、何がだよ」

御者:「この前も、ここに盗みへ入った男がいたろ?まあそいつは今頃海でペリィモの餌になってるかもしれんが、」

守衛:「ここへ盗みに入るなんて馬鹿だよなあ。よりにもよってイートンの倉庫に盗みに入るなんて、モグリか余程の自信家だな」

御者:「何でもあの男は、イートンに恨みがあったって話じゃないか」

守衛:「俺も他人の素行をとやかく言える質じゃねえが、イートンの旦那はまた別格だからな。受けた恨みも、そこいらの倉庫1つじゃ収まらないかもな」

御者:「実際、いつ荷物に混じって爆弾が送られてきてもおかしくねえ。だから、」

守衛:「だからこうして眠い目を擦って荷物のチェックをしてるんじゃねえか」

御者:「書類にミューカスを“のたくらせてる”だけだろ?」



こんな様子であるから、大抵の荷物は無検閲で倉庫街の門をくぐる事になる。


一応の手続きを済ませた馬車は、荷台の荷物をごとごとと揺らせながら敷地の中へと入っていった。
馬車は暫く徐行し、仕分け作業を行っている小屋の前で停止する。

小屋の中から現れた数人の男達が荷台に乗り込み、荷物の積み卸しを始める。
不審物の点検や、荷によってはここで中身が改められる段取りになっていた。



馬車から降りて一服していた御者が歩み寄りながら言う。

御者:「ああ。そいつはヴァンの倉庫から流れてきた荷物だな。確かそれは、D区画の一般倉庫行きだったか」

作業服の男:「なら梱包はこのままでいいな。・・・よし、そうしたら残りの荷物は全部そっちに運んでくれ」

冒険者が利用する倉庫は大抵が「一般倉庫」であり、貴重品を預かる倉庫と比べて警備も倉の作り自体も劣っていた。
倉庫の鍵は利用者が持ち、持ち主はいつでも中身を出し入れすることが可能となっている。
また、他の街の系列倉庫や倉庫ギルドに加入している業者からの荷物は、一度登録された物品故に細かな確認作業が省かれていた。


御者は作業服の男から預かったマスターキーを使い、指定の倉庫へ荷物を入れていく。

御者:「はあはあ。D-08、これで最後、か」

それは先ほど話に上った、ヴァンの倉庫から流れてきたという荷物だった。預け主の冒険者は、旅の拠点をこの街に移すつもりだろうか。
そんなことをわざわざ気にする御者も守衛も、ここにはいなかった。

人の背丈程もあるその荷は重量もかさんでいたので、荷台の上で小さな台車に乗せられた。スロープを使って地面に下ろし、倉庫の所定の場所へと搬入される。

作業を終えた御者は大儀そうに閂を降ろし、扉と錠前に施錠した。

御者:「ふーっ。これで帰って寝られるな。しっかし、やたらと思い荷物だったな。腰が逝くかと思ったぜ」

御者は馬車に乗り込むと早速ピシャリと鞭を鳴らした。
荷馬車の車輪が地面を叩く音が遠ざかっていく。


その音が完全に聞こえなくなった頃。倉庫の中に安置された一つの箱が、ゴトゴトと独りでに動き出した。
御者が最後に積み下ろした、あの箱荷である。

箱の中から聞こえる声:「誰が腰が逝くほど重いですって?ってちょ、これ、開きなさいよっ。いくらなんでも、きつく縛りすぎでしょう・・・がっ!」

バツンッ

箱を厳重に縛り上げていたロープが音を立てて跳ねる。

ばたんばたたん

箱の側面がゆっくりと展開するように四方へ倒れ、中から一人の女が姿を現した。
手にはワンドを持ち、肌の露出度が高いローブを纏っている。


女マジB

箱の中から現れた女:「えほっえほ・・・凄い埃ね。っと、いけない。今の音、外に漏れてないかしら」

慌てて倉庫の扉へ近づき、傍耳を立てて外の様子を伺った。
どうやら箱を中から蹴破って出てきたらしいこのマジシャン。
名前をブリジット・バルドーと云い、昨今地方都市の新聞でも取り上げられている『怪盗鰤女』その人だった。
彼女が盗みに入った現場には、犯人を特定する痕跡は一切残されていない。が、何故か雌の鰤が一匹、必ず残されていることからそう呼ばれている。

ブリジット:「どうやら大丈夫そうね。それじゃ、お仕事開始といきますか」

ブリジットは倉庫の中をウロウロしながら何やら呟き始める。

ブリジット:「よし。小手毬、琴平」

呼びかけに応じ彼女の前に召還された二匹の豚は、彼女の使役する使い魔兼ペットである。

ブリジット:「おまえたちはそこで外の気配を伺ってて。誰かが近づいたらすぐに教えるんだよ」

小手毬・琴平:「「ブー」」

小手毬、琴平と呼ばれた豚は返事して扉の前に仲良く並んだ。

倉庫に納められた荷物を物色し、手元の書類と照合し始めるブリジット。
書類には「納品一覧」と書かれている。日付は今日のもので、倉庫の名前は彼女の今いる「D-08」となっている。
彼女は他にも倉庫街の詳細な地図や、いくつかの倉庫の中身が記された書類を持っていた。用意の周到さ、計画の綿密さが伺える。

彼女の持つ地図によれば倉庫街は碁盤の目状に倉庫が建ち並び、その敷地の外周はほぼ正方形。
四つに分けられた区画、敷地と外部はそれぞれが高い壁によって隔てられており、空から見ると丁度田の字に見えるようだ。

ブリジット:「つまり今いる倉庫が、その田の字でいう右下の四角の部分」



AB
□□
□■←ココ
CD



誰にともなく独白は続く。

ブリジット:「この倉庫は左手の壁に隣接して建っているわ。そして壁の向こう、『C-08倉庫』もまた壁に隣接している。つまり、」

ワンドの先を壁に向けた彼女は「ふっふっふ」と笑いを漏らす。

ブリジット:「そう!この壁を破れば隣の倉庫への直接侵入が可能なのよ!」

大声を上げる彼女に向かい、豚が足下でブヒブヒと鳴いた。

ブリジット:「何よ小手毬。うん?「あんまり騒ぐと人が来る」?そんな事わかってるわよ!」

そう言って豚の尻を思い切り蹴飛ばす。

ブリジット:「犯罪って言うのはね。完璧であればある程、犯行の痕跡は残らないものなの。行為が行われた事を他人に悟られちゃいけないのよ。だからどん~なに凄い名案、例えば100%バレない殺人のトリックを思いついても、それを行使する為には誰にだって自慢できないの。わかる?」

入口の脇で琴平がブヒブヒと首を縦に振る。どこからが首なのかは判然としないが。小手毬は隅の方で痛みに震えている。

ブリジット:「つまりよ。私がどんなに凄い手口で盗みをしても、誰も犯人が私って気づいてくれないの!そりゃまーバレたら捕まるんだから、自分で言えないのは当然よね。結婚もしてない内に、あんな豚小屋入りたくないもの」

琴平:「ぶぶひっ(ボソリ」※じゃあ結婚したあとなら良いのかよ・・・

ブリジット:「でもそんなんじゃつまらないじゃない!折角の功績。大業を成しても誰にも評価してもらえないだなんてっ・・・これほど勤労意欲を殺がれることって他にある?いいえないわ!」

小手毬:「ぶーひーひ、」(だからあまり騒ぐと人が、

ブリジット:「だからせめて、こうしてわざとらしく騒いでるのよ!もしかしたら誰か聞いてくれているかも知れないでしょ?まあ聞かれたらそいつは生かしちゃおけないけど。あとハンデね!これ大事。自ら隙を作って捕まえるチャンスを与えてるわけ、いわばフェアプレーの精神よ。こそこそするのは性に合わないし、何より卑怯じゃない」

彼女は自信のもつ独特の理論に基づいて行動している。警備が厳重で、捕まったときのリスクも高いイートンの倉庫をターゲットに選んだ理由の一つも、彼女の言う「フェアプレー精神」が故なのである。
犯行現場に鰤を残すことは、彼女の自己顕示欲の現われと、他の窃盗事件と自らの犯行がごっちゃにされない為の個性付けであった。

小手毬:「ぶっぶひー」※だったら正面から堂々と入ればいいじゃないか

ブリジット:「だめよ!なんかスマートじゃないもの!怪盗は怪盗らしい手口で盗みを働くから怪盗なの。だからかっこいいのよ。それに犯行現場でわざわざ目撃されるバカがいますか!」

再び小手毬の尻を蹴り上げるブリジット。だがしかし、小手毬は機敏な動きでそれをかわす。が、逃げた先にはすかさずワンドが振り下ろされた。ワンドでしたたかに尻を叩かれた小手毬はその場に「ぶう」と蹲った。

ブリジット:「そろそろ空が明るくなる頃ね。さっさと終わらせましょうか」

そう言って、何やら壁を探り始めるブリジット。

ブリジット:「よし、このあたりでいいわ。それでは軽めに、エアープレッシャー!」

魔力の白刃が目の前の壁を切り刻む。
正式な詠唱を行っていないため本来の威力の半分も発揮されてはいないが、
「断魔力材は使われていないようね。安普請のおかげで助かるわ。良い感じに崩れてくれそう。全力でやったらこの倉庫が吹き飛んじゃうからね」
だそうだ。

ブリジット:「エアープレッシャー!」

二度目の衝撃を受けた壁は、その一部が崩れてブリジットの足元に転がった。

ブリジット:「あとは手作業ね。あまり音を立てると流石に警備も気づきそうだし」

ワンドを近くにあった木箱に置いたブリジットは、軍手をはめて壁の除去作業に取りかかった。

ブリジット:「ふっふっふ、お宝ゲットは目前ね。三年もこんな暗いところに放って置かれるなんてかわいそうに・・・待っていなさい、すぐにここから連れ出してあげる」

「小手毬!そんなとこで寝てないで、こっち来て手伝ってっ」と言う彼女の息は既に上がっていた。


暫くすると、人一人が通れる程の孔が壁に空いた。

ブリジット:「ゼェぜぇ。いよぉし・・・」

息を整えたブリジットは腰に手を当てて高らかに宣言した。

ブリジット:「タムハーちゃん、召し取ったり!」











なんてメンドくせえ。そして9割9部9厘。このペースだとクロノスのサービスが終了するのが早そうです。
どうでもいいですね^^

備忘メモ:9,542文字





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Last updated  2008/09/03 07:32:33 PM
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魔女っ子怪盗^^  
twisy  さん
使い魔がドラコではなく、コブタちゃんなのがミソですね^^ (2008/09/03 08:56:56 PM)

(@'ω'@)ん?  
白魔童  さん
それ仲間なのか??仲間になんだろぉ???
肌の露出は?サービス満点なんだろナァ?ハアハアw

い、いかん...思わず興奮してもうた( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
(2008/09/03 09:49:06 PM)

Re:メルの旅 壮途篇3『鰤女、襲来』(09/02)  
うっかり八兵衛 さん
なんか、ブリジットの泥棒魂と さいこサンのプレースタイルが ダブるw
(2008/09/03 11:33:16 PM)

Re:魔女っ子怪盗^^(09/02)  
twisyさん
-----
豚のケツってなんか思いっきり蹴ってみたいじゃないですか('-'* (2008/09/04 09:01:09 AM)

Re:(@'ω'@)ん?(09/02)  
白魔童さん
-----
ヘルプ画面のマジシャンガールってエロかったですよね?あれを想像してくださっ(他人任せ (2008/09/04 09:03:34 AM)

Re[1]:メルの旅 壮途篇3『鰤女、襲来』(09/02)  
うっかり八兵衛さん
-----
「これ俺ー!俺がやったのー!凄いでしょー!」っていうところは私そっくりですね('A`)
っつかその名前バレバレw名前無くてもバレバレw (2008/09/04 09:05:08 AM)

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