空想世界と少しの現実

空想世界と少しの現実

年下君と年上女

バスローブを身に纏った彼女が、俺の右隣にゆっくりとした動作で腰掛ける。ほんのりラベンダーの香りが、彼女の体から立ち昇る。 「先使わせてもらってごめんね。紅緒君もシャワーどうぞ」 静かな声で囁くように話す。それってさ、彼女の中では覚悟が決まっているって考えていいのかな。急に怖気づく俺、情けねぇっ!!(>д<;)

紅緒君? ドギマギしている俺とは対照的に、落ち着き払った染姫さん。 「先、ベッドに入っているね」 顔を覗き込むようにして優しい微笑を浮かべた。「はい・・・」頷いて一言だけ返事をし、ベットから立ち上がった。

バスルームは狭いけれど、ビジネスホテルにしては上質のシャンプー、リンス、そしてボディソープが揃えてあった。ラベンダーの香りが心地良い。さっぱりとした爽快感を感じながら、洗面台に揃えてあったアメニティーの中から、化粧水と乳液の封を切って、顔に馴染ませる。風呂の中でかみそりで丁寧に髭を剃った後、肌の弱い俺は入浴後必ずしている習慣だ。

それに好きな人をこれから抱くんだもの、少しでも、抱き締められて良かったって思って欲しい。必死だな、彼女を振り向かせたくて。白雅さんには申し訳ないと想うけど、貴方は彼女を深く傷つけたんだ。染姫さんが俺を求めるならば、彼女の気持ちに応えたい。これから先に起こるであろう、全てのいざこざから、彼女を強い覚悟で守り抜くと、鏡の中の自分の顔を見つめて、深く決意をする。

薄茶色のバスローブに身を包む。タオル地の触感が心地良くて、これから先に起こる、秘め事に対する動揺を和らげてくれる。初めての時よりも、何十倍もの緊張感を感じているなんて、やっぱ小心だよな。脱衣所からベットルームに向かう、少しの距離の中を歩きながら苦笑する。

部屋に置かれた冷蔵庫の中から、2本エビアンを取り出し、一本の蓋を開ける。立ったまま、ベットの中の染姫さんに声を掛けた。




「飲みませんか?風呂上りに飲むと格別ですよ!」
「ん・・・」 ベットの布団が少し動いて彼女が顔を出す。寝ていたのかな、少しぼんやりとした表情が、無防備で可愛らしい。「はい、エビアン。蓋開けてありますんで気をつけて」 「ありがとう・・・そういえば何も飲んでいなかったよ」 受け取りながら礼を言う。エビアンを口に含みゆっくりと味わう様子を一瞬盗み見て、もう一本のエビアンの蓋を開けて自身も味わう。

ベットサイドに置かれた、小さなサイドテーブルの上には、彼女の着ていた白のバスローブが丁寧に畳まれて置いてあった。それってさ、今の彼女は裸身ってことっ!!妄想逞しく、口に含んだミネラルウォーターを噴出しそうになるっ!!やっべーっ!!また緊張してきたっ!!立ったまま所在無げにしている姿に可笑しくなったのか、右手の拳で口元を押さえ彼女はクスクスとからかうように笑う。
「座ったら?そこにずっと立っているつもり?」 完全大人の余裕の染姫さんと、ドギマギしっぱなしの年下の俺。なんとも対照的。小さく溜息をついて飲みかけのエビアンの蓋を閉めて、部屋中央の小さなテーブルに置いてから、染姫さんのベットに腰を下ろした。

実は、促されなかったら、ベットに腰掛けることすら出来なかった。(>д<;) 抱き締めるって決めたんじゃなかったのかよっ!!心の中で1人突っ込みを入れる。どっどうしようっ!!こっから先っ!!このままベットに潜り込んでいいものか、悪いものかっ!!心は天秤のように大きく揺れているっ!!彼女に背を向けて座っている俺の背中に声が掛けられた。
「迷っているの?・・・紅緒君」 「いっいえっ!!心は決まっている筈なんですけど、どう踏み出していいんだか・・・」返事をしながら、おーいおいっ!!Σ(`oдО´;)煮え切らねぇ男だなっ!!心底情けなくなる!
「そう・・・じゃ、止めよっか!」 小さな呟きをした後に聞こえるのは、上掛け布団とBOXシーツのすれる音。 えっ!!ベットから出るつもりっ!!ヾ(;´Д`●)ノぁゎゎ ドキッとして慌てて振り返ると、彼女はちゃんとベットの中にいた!

「うっそー!ベットから出るフリに引っかかった!紅緒君!(。-∀-) ニヒ♪此処まで来て、何もせず帰ってもいいならそのままでどうぞ!」 上掛け布団の中から、いたずらっぽい瞳だけを覗かせて俺を見つめて小さく笑う!ヵ゙クゥ━il||li(っω`-。)il||li━リああっ!!完全手玉に取られてるよっ!俺ってばっ!!

「もうっ!!からかわないで下さいよっ!!」 急いでバスローブを脱ぎ捨てベットに身体を滑り込ませる!

甘い夜

視界の中に彼女の無防備な姿がちらりと見えて、ベット上部の調光で部屋の電気をごく僅かな灯りに絞った。腕を伸ばすと彼女は自ら胸の中に顔をうずめる。愛しくて恋焦がれた、染姫さんの柔らかい身体に覆い被さり強く抱き締めながら、心臓はどくどくと激しく高鳴る!
「ここまで来るのに長かったね。もう私の心は紅緒君のものだよ・・・」 嬉しくて思わず涙が浮かびそうになった!感情の高まりを抑えるように、柔らかい唇を優しく塞ぐ。

細い腕が首の後ろに回される。小さな手で優しく梳くように髪を撫でてくれる。仕草一つ一つが愛しむかのような優しい触れ方。「俺も心を込めて貴女を愛するから、受け入れてもらえますか・・・」キスを止めて左耳に甘く囁くと、軽く瞼を閉じたまま小さく頷いた。


今、腕の中の貴女は全て俺のもの。白い首筋も、ブロンドの混ざった綺麗な柔らかい髪も、艶やかな唇から漏れる甘い吐息も。彼女の柔らかな頬を両手で包み込んで、ゆっくりとくちづけを交わす。戯れに近い優しいキスを何度も交わしていくと、途中でうっすらと瞼を開けて 「ねぇ、優しいキスって好きだよ・・・君と何度も重ねたい・・・」 小さな声で囁く。「キスだけですか?俺はもっと他の事もしたいですよ」 「他の事ってなぁに・・・」 ちょっと意地悪な言葉を投げかけたつもりだったのに、すぐに切り返されて言葉に詰まる!「他の事ってっ!!ほら、あの・・・ねぇ・・・」 「もう!冗談よ!大人だもん!キスより先の事なんて解ってるもの。慣れない意地悪なんて言うものじゃないね、紅緒君!」 今度は彼女の手が、俺の頬を包み込んで舌を絡ませた深いキスをする。やばっ!!ヾ(;´Д`●)ノぁゎゎもう身体が反応してるしっ!!(>д<;) もうこの時点で既に骨抜きじゃんっ!!

誘われているなら応えなきゃ。唇を放されて額に小さくキスをして、細い首筋に丁寧に唇を這わせていく。心地良さそうな吐息を時折吐き出されると、素直な反応に嬉しくなって、更に強く強く唇を押し付ける。綺麗にうっすらと浮かぶ、鎖骨に舌を這わせると深い溜息。「染姫さんの弱い所・・・見つけちゃいました・・・」高鳴りを強引に抑えて静かに囁く。まるで、秘密の場所を見つけたかのようなささやかな喜び。腕の中の表情は頬を少し赤らめて、瞼は閉じたまま口元だけで微笑を浮かべる。

柔らかくて滑らかな肌を、右手の中指の腹で、身体のラインをなぞるように愛撫すると、くすぐったそうな表情。少しずつ高まりに導かれているのかな、俺の決して上手とはいえない愛し方だけど、貴女に対する想いを、指先にも唇にも溢れるほど込めるから、もっと甘い表情を見せて欲しい。ふくよかで柔らかな胸元に顔を埋めると、ぎゅーっと抱き締めてくれる。
「男性って胸が好きだよね。紅緒君もそう?」 「男なら誰しも、女性の胸に顔を埋めたいって憧れを持ちますよ!それが特に好きな女性なら尚更。それにこうしているとね、染姫さんの心臓の音が聞こえて、このまま眠りたいって想ってしまうくらい気持ちがいいです」

「そう?抱いている私も心地良いよ。大きな赤ちゃん抱き寄せているみたいで。このまま寝ちゃいそう・・・」 「だっ駄目ですよっ!!Σ(●´д`ノ)ノちゃんと最後までしたいですっ!!」 「冗談よ!でも、ホントにそのままでいると眠くなってしまいそうだね、私達」 愛しむように髪をゆっくりと梳く、指先の心地良さに酔いしれてしまいそう。埋めた胸元から頭を離して、再び唇と指先で身体をなぞり始めると、軽く声を上げて身体を捩じらせる。

反応一つ一つが愛おしい。触れる度に、自分の体の反応とは逆に冴えていく頭。どうしたらもっと喜んでもらえるだろう、そればっかり考えている。こういう場合って素直に聞いたほうがいいのだろうか?尋ねたら逆に白けさせちゃうだろうか?きっと想いを察してあげる方が一番いいのだろうけど、俺、そこまでの経験無いよ(´ω`ι)。戸惑う心は正直で、触れる手が止まってしまった。

ちょっと情けなくなって、再び彼女の胸に顔を埋めると、俺の気持ちを察したのか、
「初めてだもん、戸惑うよね。どう私を扱っていいんだか解らないんでしょ?」 問い掛けに無言で頷いて、心底染姫さんに申し訳ないって思う。少なくとも彼女にとっては、俺って三人目の男なんだもん。俺より1人多いじゃん(>д<;) 会った事は無いけれど一人目は白雅さんの父親、2人目は白雅さん。特に白雅さんは知っているだけに、余計複雑な感情が浮かんでしまう。

「やっぱり止めておく?望んだからって無理して応えないでいいよ」 ぎゅっと抱き締めてくれる仕草が母親を想わせる。「すっごく抱きたいんです。だけどどう触れていいんだか解らなくて」正直に答えた。偽らなくていいよね、もうここまできちゃっているんだもん。 「正直だね。私も、君の立場だったら同じ気持ちになっていると想うよ。交代しよっか?それともこのまま続ける?」 明らかにinitiativeは染姫さん。でもその方がいいのかも。照れ隠しに少し笑ってゆっくりと身体を解放し、彼女の右隣に横たわった。

染姫さんの右手が左頬に触れて、柔らかい唇が俺と重なり合う。胸のふくらみが身体に触れて心地がいい。左手の中指で唇に触れる仕草と、キスを交互に繰り返す。焦らされてるのかな、それとも彼女は、自身の心が高まるのを待っているのだろうか。左の首筋を甘噛みされて、分身が素直に反応してしまった! 「ここが弱いんだね・・」 ちょっぴり嬉しそうに囁いて、更に強く唇を押し付ける。

目を瞑ったまま溜息をつくと、
「そろそろ準備はいい?・・・」 って左耳に甘く囁かれる。瞼を開けるとさっきとは逆の体勢で、少し潤んだ瞳で顔を覗き込む表情は、慈しむような微笑を浮かべている。頷くと 再び唇を塞がれたほんの一瞬に、彼女の中に誘われていた。唇を解放されて、左の首筋にかかる甘い吐息に、気持ちが更にエスカレートしていく。うわ・・・すげーいい感じ・・・

このまま瞼を閉じて、彼女の行為を味わうのもいいけれど、やっぱり男だもん!好きな人の高まる顔が見てみたい。好奇心に抗えずに瞼を開けてみたら、察していたかのように微笑を浮かべて、小さな声で
「見ちゃ駄目でしょ!」 って言う。「駄目なの?」 「うん!見ちゃ駄目!」 身体を動かしながら普通の会話。きっと染姫さんは、身体を交わす行為を特別な事として捉えるのではなく、会話をするのと同じくらい自然な事と捉えているんだ。だって俺の上の彼女は、少しだけ、楽しんでいるようにすら感じるんだもん。

気がつくと、吐き出される吐息が、さっきより熱を帯びていた。きっと高まりが近いんだ!もっと密着度が増すように、下半身に手を添えて支えると、断続的に吐息を吐き出し強く瞼を閉じる。
「もう・・・だ・・・め・・・」 やがて静かに乱れた表情になって、声にならない深い溜息をついた。

脱力した身体は、俺の身体の上にゆっくりと倒れこむ。首筋にかかる息が軽く弾んでいた。更に湧き上がる、愛おしい気持ちを、精一杯込めてきつく抱き締めながら、「貴女が大好きです・・・何度も食べちゃいたいくらい。それに他の誰にも渡したくなんかないですよ。だからずっと俺の、俺だけの貴女になって下さい・・・」本心からの言葉だった。 


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「嬉しいよ、君からの愛情表現・・・涙が出ちゃうよ・・・」 静かな囁きの後、胸元に滴り落ちる涙の雫は、俺の心をも、じんわり温めてくれるだけの力を持っていた。幸せなんて、陳腐な言葉では言い表せないほどの、満ち足りた時間が、ゆっくりと流れているように感じる。「ずっとずっとこうしていたいです。貴女と一緒に・・・」無言だけど、俺の囁きに、小さく何度も頷き答えてくれる染姫さん。愛おしい人、心に満ちてくる沢山の愛情を込めて、彼女の額にキスをすると、益々瞳から涙が零れ落ちる。

「紅緒君、ごめんね・・・」 「何で謝るんです?貴女を抱くって時点で、全部支える覚悟しましたよ。これでも男ですから。小心で頼りない部分はまだまだありますけど、もっと成長して強い男になってみせます。染姫さんが、俺と離れたくないって、想ってくれるくらいのいい男にね!」うっすらと瞼を開けて、じっと見つめる涙で濡れた大きな瞳。「綺麗な目をしているんですね、貴女って」髪をゆっくりと撫でると、心地良さそうな表情をして薄く笑ってくれる。

「私はね、常に自分で男の人を選んできたよ。それでいいと思ってきたし、そうじゃなきゃいけないって決めていた。だけどね、見る目が無いのか、選ぶ人って皆ズルイ人ばかりだった。本当の想い人を心に抱きながら私を抱くんだよ。解っていてもやっぱり苦しいの。自分が一番になれないことに。紅緒君は私を一番だって想ってくれる?もう傷つくことに疲れちゃったよ・・・」

「当たり前でしょ、染姫。貴女は俺の中で一番の女性なんだから。人の妻を横取りまでして、こうして体を重ねているんだもの。もう呼んじゃったけど、貴女と二人きりの時は染姫って呼ばせて下さいね、もう俺の人だから」止まらないままの涙を、右手の親指で優しく拭って、彼女の頬を両手で包み込み、くちづけを交わす。「これから先、数え切れないほど交わしても、何度も何度もしたくなるキスを、君の脳裏に焼き付けていきますよ。もちろん身体もね。俺のじゃないと満足できないくらい。だからもっとしてもいい?」

くちづけを止めて問い掛けると、困ったような表情をして少し頬を赤らめる。
「どうするの?」 「こうするの。染姫の甘い表情を見たいから」 「きゃっ!!」 強引に体勢を入れ換えると、小さく悲鳴を上げて驚いた表情。「年上の君を心底可愛いと思うよ。だから何度も抱かせて、染姫」

「仕事で疲れてないの?」 「疲れてないっすよ!それに俺、まだ上になってないし。染姫の中、気持ちいいからまだ元気だし」(´∀`*))ァ'`,、 「ねぇ、囁きが笑ロくない?(>д<;) 第一官能的じゃないっ!!」 「姫は官能的な囁きがお好みですか?ヮ(゚д゚)ォ!えーどんな囁きがいいのかな、女性って」(´ω`ι) 「駄目じゃんっ!!紅緒っ!!女は官能的な言葉じゃないと燃えないんだよ!そこから教育しないと駄目なの~?」ァチャポーンΣ(ノД゚;)ァリェヘンヵラ!! 「じゃ、教えて、染姫。たくさんしてあげるから!でももう身体は反応してるし!」(。-∀-) ニヒ♪ 「ちょっとっ!!そういう事言わないのっ!!」

照れているのか、顔を赤くして頬を抓る仕草。軽く目を閉じて喘ぐ声が悩ましい。俺の好きな人ってこんなふうな表情をするんだ・・・見惚れていると、 「もう、見ちゃ・・・や・・・だ・・・ぁ・・・」 静かに高まりに身を委ねる様子に、駆り立てられて深く突き上げると、内部が強く収縮する。「ここが弱いの?もっと欲しい?」 「そんな事言わせようとするなんて悪趣味っ!!紅緒の意地悪っ!!」 「だって、染姫の身体って、反応が素直で嬉しくなっちゃう!それに凄くシマるし。俺もそろそろやばそうっ!!」 「駄目、イっちゃ!」 *゚Д゚)*゚д゚)*゚Д゚)エエエエェェェ「そんなぁっ!!酷っすよっ!!こんなにいいのにっ!!でもっ!!我慢するには、もう遅いっすよっ!!それにわざと締めてるくせにっ!!」ヾ(;´Д`●)ノぁゎゎ 「ばれちゃった?イってもいいよ・・・だけど・・・終わる前に何か囁いて・・・ 」 (*´д`;) 「えーとっ!!えーとっ!!」
「There's chemistry between us!! ああもう駄目っ!!」とろけちゃいそうなくらいの、強い快感を味わって、軽く息を弾ませたまま、彼女をぎゅっと抱き締めるっ!!「あっ!!やっやばっ!夢中で中で出しちゃったっ!!(>д<;) 大丈夫??」気が付くのが遅いって、俺っ!! 「もう!ちゃんとピル飲んでるよ!(´ω`ι)そもそもちゃんと付けないと駄目でしょっ!!」 「そうでした・・・ヵ゙クゥ━il||li(っω`-。)il||li━リ夢中で忘れてた・・・」染姫の隣に横たわり、愛しい温もりに触れたまま、天にも昇る喜びを噛み締める。全然余裕が無い俺と、余裕綽綽の年上の彼女との、最初の長い長い夜の始まりだった・・・

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