空想世界と少しの現実

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緋褪色

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美羽子 @ Re:小説、しばらくお休みさせていただきます。(09/16) お話をより良くする為のデータ移しや編集…
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長く深い思案の後、手を太腿の上に置く。ゆっくりと呼吸して閉じていた瞼を開き、2人を交互に見つめて話し始めた。「決めました。僕、コンシェルジュを目指します!一流のコンシェルジュになって、お客様に最高のサービスをしてみたいです。僕は今まで自分の生い立ちに、どこか恥じている部分があったような気がします。愛人だった産みの母に対する複雑な想いや、朱砂様の慰み者として生きている自分が、酷く卑しくて汚れた存在に感じてきました。だけど血を分けた姉さんは、僕にこの様に言って励ましてくれました。」



「彼女の言葉は僕に救いをくれたんです。存在意義が見い出せず卑しいと思っていた自分でも、この世に産まれ出た意味があるんだって、姉は教えてくれました。その時から少しずつ自分の中で、何かが変わってきたような気がします。」時折頷きながら、僕の言葉を黙って聞いている大人の2人。静かに言葉を続ける。「出逢いがあって別れがあって、多くの人から励まされ、元気と勇気を貰いました。だから今度は、僕が皆に喜んでもらう側になりたいんです!」

「その言葉は、貴方がコンシェルジュを目指す決意と受け取っていいのよね?浄瑠璃!」 Sarraute(サロート)さんは、柔和な笑みを湛えて静かに問い掛ける。真っ直ぐ彼女を見つめて答えた。「えぇ!僕の決意であり誓いです!必ずコンシェルジュになってみせます!」はっきりと明確になった僕の目標!もう迷いはない! 「どう?Jolivet(ジョリウ゛ェ)!浄瑠璃はこの様に明快に言い切ったわよ!クロスキーを持つ貴方から見て、彼の決意は本物かしら?」立ったままの彼に話し掛けると、自慢のバリトンウォイスで話し始めた。

「Sarraute様。私が見るに、彼が心を偽っているとも、必要以上に気負っているとも思えません。今の彼の瞳に浮かぶのは、青年らしい、真っ直ぐな情熱が漲っているように感じられます。この方なら成し遂げるかもしれません。大和韓民国初の、クロスキーをつけるコンシェルジュに。嘘を申し上げる必要などないでしょう。何人ものコンシェルジュを見てきた側なんです。後にコンシェルジュになった皆は、彼同様の、綺麗な瞳をしていましたから。」 「貴方が言うのだから間違いはないわね。断言する時は相当な自信がある時ですもの。浄瑠璃、決めたならば、貴方に生まれた新たな目標に向かって、後は振り返らずにただ直向に進むだけよ!いいわね!」目の前の若者は、素直そうな瞳をきらきらと輝かせて 「はいっ!!」 と大きく返事をする!「若いっていいわね!汚れていなくて純真で!そうと決まったなら、早く朝食を終えて岬総支配人にお話しないとね!そしてJolivet!貴方の人脈を使って、彼がパリのリッツに行けるよう手配して頂戴!」

「もしかしてそのような話になるかと思い、リッツのGMには話を通してあります。Sarraute様。優秀な人材なら、受け入れる態勢をとるとの確約が取れています。」 「Bravo!!さすがに仕事が速いわね!Jolivet!貴方らしいわ!」 僕は2人のやり取りをじっと見つめる。なんだかいいな!この2人。Sarrauteさんが何を望んでいるのか、Jolivetさんは既に解っているんだ!コンシェルジュとしても優秀なんだろうな!考えていたらSarrauteさんが微笑みかける。 「さぁ!浄瑠璃!この話はこれでおしまい!朝食を済ませましょう!そして済ませたらまたDaladier(ダラディエ)に戻ってね!」((藁´∀`)) 「はい。Sarraute。貴女の仰せの通りに!」いたずらっぽく言い、彼女にウインクを送ると、Sarrauteさんが嬉しそうに笑い声を上げた。 「ちょっと~!気障な言い回しがダーリンそっくりよっ!!そう思わないっ??Jolivetっ!!」ァ'`,、'`,、(ノ∀`*)'`,、'`,、
Daladier

Jolivetさんはまじまじと僕の顔を見つめ、感心したように軽く口元で微笑を浮かべる。「やはり似ているんですね。あ、大切なお写真ありがとうございました!」彼に礼を言って、テーブルに置いたままだった写真を返そうとする僕に 「いえ、実は何枚も持っているので、記念に貴方に差し上げましょう!Sarraute様の、なんちゃって日本語の落書き入りですけれど。(>д<;) Sarraute様はいつも、私の私物にこうやって落書きをなさるんです。」 苦笑してやれやれといったポーズをして、少々大げさな溜息をついてみせるJolivetさん。 「なーに言っちゃってるのよっ!!Jolivetっ!!その写真は貴方が落としたのを、私が拾ってあげたんでしょ!(。-∀-) ニヒ♪落とした貴方が悪いのよーだっ!!」ァヒャヒャ(ノ∀`*)ノ彡☆ 「だからと言って、落書きする必要はないじゃないですかっ!!しかも習いたての下手な日本語でっ!!酷すぎますっ!!Sarraute様っ!!」
あらら、また始まったよっ!!喧嘩するほど仲がいいんだろうけれど、一週間の間に彼らの小さなバトルは何度繰り返されるのだろうな!苦笑しながら、テンポ良く交わされるフランス語に耳を傾けていた!

「あっ!!白雅さんっ!こっちこっちっ!!」 姿を見つけるなり、大きく手を振って合図を送る鳳梨!おいおいっ!!店内ででけぇ声で叫ぶの、心底止めて欲しいって思うっ!!(艸дo`;) 口元に人差し指を立てて、声を小さくしろ!との無言のジェスチャーに肩を竦めて頭を掻く仕草。慌てて鳳梨の許に早歩きで歩み寄る俺!店内にいる人々の視線が注がれて痛いっ!!「おいっ!!お前の声、でっけーぞっ!!もっと静かに言えねーのかよっ!!こっ恥ずかしいなっ!!」奴の座っている、二人掛けのテーブルに着くなり小さな声で非難! 「店内混みあっているんですから、仕方ないでしょ~!んも~!白雅さんってば、そんなにクールに振舞わなくてもいいじゃないですか~!もっと肩の力を抜いた方がいいですよ~!今日はせっかくの休日なんですし~!」

「肩の力は抜けてるさっ!!お前と逢うと何だか脱力する。気負っている俺が馬鹿馬鹿しく感じるほどにな!」話しながらイスを引き腰掛けた。 「本当ですかっ!!((藁´∀`)) 俺ってもしかして癒し系??」 「癒し系というよりお笑い系だろ!!鳳梨はっ!!(>д<;) んで、何を頼んだわけ?腹ペコなんだけど。何でトレーの上は空なわけ??」話しながら、目の前の空のトレーに置かれたコーヒーに視線を注ぐ。 「えーとですね、メニューに書かれている、食べられそうなものを全て注文しましたっ!!(´∀`*))ァ'`,、 全部揃うの時間掛かりそうなんで、とりあえず席に着こうと思ってテーブルを探したら、一番奥の席しか空いていなかったんです!」俺の説明に少しの間無言の白雅さん。
「だーって、白雅さん腹ペコだって言ってたじゃないですか~!がっつり食いましょうっ!!朝飯は大事ですからねっ!!朝飯抜くと脳が働きませんからっ!!残ったら後で食えばいいんですから!」

「ま、そりゃそうだけど!腹減った~!早く来ないかな。」 呟くように言葉を吐き出し頬杖をつき、窓の外を眺める白雅さん。綺麗な横顔にうっとりと視線を注ぐ。染姫さんの許可貰ったんだもの!今日は2人の時間過ごせるかな?「白雅さん、お泊りじゃなくてもいいから、二人だけの時間今日も過ごしてもらえます?」トレーからブルマンを取り上げて、彼の方にそっと置きながら話し掛ける。 突然の鳳梨からのアプローチに、思わず奴の顔を凝視するっ!!「おっお前っ!!朝っぱらから大胆だなっ!!」ちょっとだけ声が上ずっているのは、明かに動揺しているから!「鳳梨、いくらなんでもこんなところで誘うなよ~!」 「駄目ですか?」 「駄目じゃないけどさ、万が一、他の人間に聞かれていたらどうするんだよっ!!」 「俺は聞かれていても平気ですよ!白雅さんは嫌ですか?世間体があるから。」

鳳梨の問い。少しの間思案してみる。世間は衆道って、気持ち悪いとか思われちゃうのだろうか?確かなのは俺の一番好きな人間は、浄瑠璃で奴は間違いなく男だ。でも世間体の為に染姫と結婚して、彼女との間に子供を授かりたいと望んでいる。男同士じゃ子供は出来ないからな。目の前の鳳梨、こいつも同じように、子供を残す為の結婚をいつかはするんだろうか。「なぁ、鳳梨、お前も結婚したいって思うのか?自身の遺伝子を残す為に。」 真剣な表情で問い掛ける白雅さんを見つめる。「俺は結婚したいですよ!子供好きですもん!その為には、俺の事を解ってくれる、心の広い女の人じゃないと駄目ですけど~!俺は長男なんで家を守っていかないとね~!」ァヒャヒャ(ノ∀`*)ノ彡☆

お待たせしました! 若い店員が明るい声で、トレーの上にたくさんの食い物を乗せて俺達の前に立つ。声に反応してそちらを見ると、一人では持ちきれない&トレーに乗せきれないほどの量だったのだろう、店員は三人並んでいた。一点一点レシートを見ながら商品を読み上げる、若いアルバイトらしき店員。テーブルに乗せきれるかどうか、不安になりながら見守っている。「おい、鳳梨、いくらなんでも注文し過ぎだっ!!」こそこそっと非難すると事も無げに 「俺んちはこれが普通です!((藁´∀`)) 家族多いんで!おねーさん、重ねてもいいからとりあえずテーブルに乗せちゃって下さい!乗せきれない分は自分で袋に入れるんでいいですよ!」 なんてさらっと言いやがるっ!!(>д<;) 店員は困惑しながらも、サンドウィッチやキッシュをテーブルの上に並べていく。ようやく全ての商品を乗せ終わったが、目の前は食い物の山だっ!! 「おねーさん!ありがとね!」 労いの言葉を吐いてにこやかに微笑む鳳梨。まぁ、なんと言うか大雑把な男だよ。嫌いじゃないけどな、こういったタイプ。やり取りを見つめて思う。
貴方を守る為にへ





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Last updated  2008/07/09 11:08:58 AM
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