空想世界と少しの現実

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緋褪色

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カテゴリ: オンナ心
店に来て三度目。閉店まで残っていた彼女に、部屋来るように誘われた。男だもん、悪い気はしないけど、少しばかりの不安を抱かないわけではなかった。店のルールとしても、業界としても、客に手を出してはならないから。でも縋るような表情を見ていると、どうしても断れなかった。
「美香、本当にいいの?」俺の問いに、彼女は優しく微笑みを浮かべる。


「いいの。私、自分の選択に後悔したくないんだ。それは仕事でも、男でもそうだよ。私が雅夢を選んだ。ただそれだけ」

「それに一番綺麗な時を、君に憶えていて欲しい。雅夢、あのね、最後の瞬間まで精一杯生きるよ!遣り残した事がないように。だから見守って」


「何で俺なの?」
「ん?君が気に入ったから。それじゃ変?」 俺の腕に腕を絡ませたまま、顔を覗き込む。

「変、じゃないよな?うん、変じゃないよ」彼女はほっとした表情で少し俯く。


歌舞伎町からタクシーに乗って、丸の内まで。新丸の内ビルほど近くの高級マンションが、彼女の住まい。「いいとこ住んでるね~!」率直な感想に苦笑。生活のレベルが違うぜ!
「これでも、一部上場企業の経営者ですから!儲けさせていただいてます!ね、少しお腹に何か入れるもの買って行こう!お腹空いちゃった」

「こんな時間に食べたら太っちゃうよ?でも、食欲があるうちは、君が元気だって証拠だからいいか!いいよ!ローソンで何か買っていこう」嬉しそうに頷く美香。
かごを片手に店内を物色する俺達。彼女は消化のよさそうな食べ物を中心に、かごの中に次々と放り込む。「そんなに買うの?」


「おかしい?買い過ぎかな?だって雅夢も食べるでしょ?」
「うん、まあ」曖昧な返事をすると、口を尖らせる。

「んも~!雅夢君は若いんだから、食べなきゃ駄目よ~!華奢な男の子は好きだけど、痩せすぎは良くないよ~!自分が今あんまり食べられないから、食が細い君を見てると不安になっちゃう!」

「解った解った!ごめん、そうだったよね!」宥めるように頭をいい子いい子して、沢山の商品が入ったかごを受け取る。「美香、俺が持つ。無理しちゃ駄目。君は体調良いと、すぐ無理するんだから」

「ごめん」肩を竦める私。これじゃどちらが年上なのか判らない。年下の雅夢に熱を上げてしまった。不思議と彼に出逢ってから、体調が良かった。きっと元気をくれるからだよね?雅夢。

かごを持ってくれる。そんな些細なことでも嬉しくて、心が暖かくなるよう。ねえ、君は私に勇気をくれる存在なんだよ。レジに商品を持っていく、彼の背中を見つめる。「待って!」駆け寄って彼の腕にしがみ付く私に、慈愛の視線を注いでくれる雅夢。

ねえ、恋って、こんなにも元気を与えてくれるんだね。君がいれば、今の自分、何にも怖くないよ。私は彼に、何を残してあげられるだろう。会計を終えて、レジ袋を下げた横顔を見つめる。


「どーした?美香。何だか嬉しそうじゃん?そんなに俺と一緒にいるの、楽しい?」 「うん!嬉しいよ!雅夢大好き!」素直に気持ちを伝えたい。生きている間に。ホストと客の関係であったとしても、それでもいい。

美香のマンションに着いて、その部屋の広さに唖然とする。どれぐらいあるんだ?玄関から、一番奥の部屋まで続く大理石の床、おそらく天然のものだろう。「くあ~!まるでセレブの住む部屋だね」感嘆の溜息をつく俺に、玄関のロックをした彼女は、キスを求めて首の後ろに手を回す。

KISS

突然の行動に、ローソンの袋を落としてしまう。熱の込められた甘いキス。小さなキスを繰り返しながら、うっとりとした表情を浮かべる彼女。「此処、玄関だよ?」


「知ってる。でもすぐにキスしたかったの。ね、一緒にシャワー浴びよう!雅夢と一分一秒でも早く身体を重ねたい」

「せっかちだね。でも積極的な女って好きだよ。特に、君みたいに綺麗な女なら尚更ね。バスルーム連れてって」言葉に素直に頷く、はにかんだ少女のような人。

「これで君の体調が、少しでも良くなるんだったら、何度だって抱いてやるよ」向かいながら話し掛ける。
「ほんと?」
「マジで。それで元気になるならいいじゃん。俺、年上の笑ロい綺麗な女、大好物だしね!」

「好き者だって想われちゃってもいいから、いっぱいしようね!」だって私には時間がない。雅夢に憶えておいてもらえるなら、今の地位も、お金さえも惜しくはなかった。記憶に留めてくれるなら、それだけで満足。そう言い切れるよ。

白い扉の先には八畳ほどの空間。白で統一された清潔な脱衣所には、作り付けの棚。乾燥機付洗濯機が無ければ、まるでパウダールームのよう。「ホテルみたいだ」

「そう。此処はね、中古で購入する時、全面的に大掛かりな改装工事したの。仕事でくたくたになっちゃうんだもの、自宅は最高に寛げる、ホテルみたいな部屋にしてって頼んだのよ!」

「納得。随分綺麗にしてるね、ハウスキーピング入れてる?」
「入れてるよ。自分で綺麗にしてる時間無いから。それにね、あんまりお掃除得意じゃない」
「だーめじゃん!女なのに~!」
「いいの!出来る女でも、得意、不得意あるもんでしょ?ね、お風呂入ろう!雅夢」

熱っぽい視線で見つめられる。「ん。じゃ、脱がしちゃお~!」唇を塞いで、白のブラウスのボタンに手を掛ける。露になった白い肌は滑らかで、黒いブラがその白さを引き立てている。

アイボリーの、タイトな膝上のスカートのファスナーに手を掛けると、現れたのは黒のガーターストッキング。これを着こなせる女はそうはいないだろう。現に俺は、一度も抱いた女の中で、ガーターストッキングを身につけていた女はいなかったな。

「すげーセクシーなんだけど!久しぶりにムラムラする!」

「そうでしょ。雅夢に喜んで欲しくて、通販で買っちゃった!」

屈託の無い笑顔を見せる美香。もうたまらなくなって、思い切ってガーターを外す。彼女は俺のシャツに手を掛けて、少しもどかしそうに脱がしたあと、スラックスのベルトを外しに掛かった。
すっかり一切を纏わぬ姿になると、彼女は乳白色のすりガラスで出来た、バスルームの扉を押す。彼女に手を引かれたまま後ろに続いた。


シャワーのコックを捻ると、気持ち良いくらいの温度と勢いのシャワー。彼女の細いウエストに手を添え、キスをしながら体を添わせる。「綺麗だよ、美香」唇を解放する度、耳元で何度も囁きながら。

「ね、もう限界なんですけど?お嬢さん、此処でしちゃっていい?」
「我慢出来ないの?しょうがないな~!」 苦笑する顔が愛おしい。自ら浴槽の縁に両手を掛けて、受け入れる体勢をする。俺は細いウエストに手を添えて、ゆっくりと美香と一つになった。

声が浴室に反響する。少しだけ怖いのは、行為が、彼女の身体に負担を与えないかという部分。「美香、大丈夫?無理しないでよ」

「大丈夫、大丈夫だから、もっと強く抱いて。無理はしてないよ。雅夢、すっごくいいよ!アァン、変になっちゃいそう・・・」彼の優しい仕草に身体を預けていく。

「ねぇ雅夢、身体も言葉も、それから仕草も私の記憶に焼き付けて。人に愛された記憶、それがきっと、私と雅夢を繋ぐ絆になるから」これから先、何度貴方に抱いてもらえるか自信ない。神様、お願いだからもっと時間を頂戴。彼から愛される、命を吹き込む大切な時間を。行為に溺れながらも、願わずにはいられなかった。


オンナ心 命に・・・へ





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Last updated  2008/09/02 10:53:00 AM
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