今回の修理は、「 Victor NS-X77WMD(2003/2/3発売)
」だ。現在では貴重となった、1台でMDを2枚挿入し、MDからMDへダビングできる機能を搭載したオールインワンシステムだ。同社独自の「αサウンド」音場効果機能を搭載し、耳ざわりの良い音が印象の一台だ。先代の NS-X7WMD
に搭載されていた同機能を更に進化させている。
■ 主な故障状況と原因
2000年前後以降から、コストダウンとともに内部構造もシンプルとなり、分解は極めて容易になっている。
MDユニットの整備は、前回紹介した NS-X7WMD と同じ なのでそちらを参照願いたい。
次にこのシリーズ機種に固有の故障であるCD扉のギア欠損の修理だ。開閉中の扉に想定外の力が加わると、扉側のギアが欠けてしまうようだ。コストダウンも会社命令なので仕方ないのだろうが、もう少し利用者の利用シーンから設計要求を見直して欲しいところだ。
扉が開いたときのギアが2山欠けてしまっている。開いた状態で力が加わったことが想像できる。
この手の修理難度は少々高い。同機体の別の箇所から切り取った同一素材のプラスチックを熱で溶かし、ギアの欠けた部分に溶着する(写真上)。
冷えて固まったら、目立てヤスリを使用し、欠損したギアの山を削りだす。何種類かの修理方法を試したが、この方法が最もギアの強度を確保できた。
特に問題は無かったが、CDユニット(CDピックアップ:OPT-73B2)もクリーニングを行う。その他にもスピーカーネットのほつれ等を補修し、修理完了だ。
MDは、CD-Rやその他のメディアに比較し、ケースに収容されていることもあって、MOやDVD-RAM(カートリッジ収納タイプ)と同様に長期保存可能なメディア(10~15年位か?)の一つだが、それでも紫外線や埃で劣化して読み取りエラーが発生してくる。
そうなる前に貴重なMDはダビングしておきたい。その場合、本機種などを利用すると、手軽にMDのダビングが行えて有難い。
中身である音楽データを将来に渡って保存し続けたい場合、メディアコンバート(媒体変更)は避けて通れない作業である。皆さんも大事にしている古いカセットテープやMDがあるなら、一度劣化の度合いの確認をお勧めする。
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