17話

第八章  捜索(前編)




女子5番小柴 希莉は女子6番沢近 愛理を捜索しているのだが、

ここにも誰かを捜索している生徒がいた。「どこにいるんだ・・・可憐・・」

男子15番春木 健児は右手に何か黒い塊を握り締めながら

必死の思いで女子15番北条 可憐を捜索していた。

「くそ!俺はバカか・・あいつを怖がらせてしまって・・・」


 出発時、健児はすぐに可憐と合流することを考えていた。

健児の武器は 弾無しグレネードランチャー だった。

説明書が付属されておりこう書いてあった。

「この武器は非常に強力なため、弾は別のクラスメイトに支給されます。」

「なんだよ・・これ・・結局その弾も殺し合いかなんかで

調達しろってことだろうが」拳を思いっきり木にぶつける。

「とにかくだ・・まずは可憐が出てくるのを・・・可憐!」

そうドアから北条 可憐が出てきたのだ。しかし様子がいつもと違った。

「ひっ」「かっ可憐?」可憐はちょうど健児が持っている

グレネードを見てさらに恐怖心を増してしまったのだ。

可憐は支給された ブローニングハイパワー を構えて

「あっち・・いってよ・・」と言った。「おっおい?」

もう一歩健児が可憐に近づく「来ないでよぉ」「ドドンッ」

銃口から火を噴き健児はたまらず役場の裏壁へ退散した。

そこから可憐へ言葉を投げかける「おい、俺はお前を殺そうなんてしねえよ」

そう言ってそーっと見てみると。もうそこには可憐の姿はなかった。

「・・・さすが陸上選手・・・はええな」半分驚きと半分感心の心を

持ったがはっとなり急いで可憐を追いかけたのだった。


 「くそ!未だに見つけられねえなんて・・」健児は焦っていた。

「この辺りでもねえのか・・」健児がこのエリアから移動しようとした時、

健児はある人物を目撃した。「女子・・あいつは・・?」

一瞬可憐かと思ったが、すぐに違うと分かった。「関内・・?」

そう健児が目撃した人物とは女子8番関内 麻子だったのだ。

さらに健児は麻子が立っているその下及びその辺一帯に

五つの死体が転がっていることに気付いた。「な・・?あいつ・・・?」

五つの死体とは晋治、愛、美樹、里香、結の死体だった。

「あいつが全員殺したのかよ・・?」さらに麻子と健児は何かに気付く。

「銃・・・か?」そう麻子は里香の支給武器であった。

サイレンサー付スミス&ウエスタンを拾ったのだった。

「あ・・・あいつ・・かなり・・やばい奴じゃねえか?」

早々に退散しようと思ったが、麻子はこちらに気付いたようだ。

「ちっ・・」しかし麻子の方もすぐに攻撃を仕掛けてくる様子でもなかった。

たぶん健児のグレネードを見て慎重になっているのだろう。

健児もそれに気付いた。「よし!こうなったら一か八かだ」

そう心の中で呟く・・。「動くなよ・・」健児は弾が入っていない

グレネードを構える。麻子はピクッとし足を止める。

「お前の銃をこっちに渡せ・・こっちの武器はお前なんか

相手にならない程の威力を持っているんだぜ」

それを聞き麻子はニヤっと笑みを浮かべる。「おい!ふざけていると・・

本当に撃つぜ!」すごみのある言い回し・・

麻子はそれでも笑みをやめようとしない。ふと健児が麻子の目を見た。

「な・・?なんだこいつ・・口元は笑っているのに目は・・

全然笑ってねえ・・しかもこの俺でも恐ろしいと一瞬感じてしまう・・

何なんだ?こいつ・・」健児はさらに麻子の目を見てみる。

麻子の瞳の色はそこに吸収されてしまわれそうな程の漆黒だった。

笑みを浮かべながら麻子はサイレンサー付スミス&ウエスタンを

健児の方へ放り投げダッシュで茂みに消えてしまった。

「あ・・いつ・・かなりやばいぜ・・」健児は口元を歪ませて

スミス&ウエスタンを拾い、急いで可憐の捜索を再開した。
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