49話

第二十六章  悲愴




時刻は午前6時・・・

この岬ヶ原島で生徒達にとって

2回目の朝が迎えられようとしていた。

「はい・・6時になりましたぁ・・

それではこれまでに死んだお友達の名前を

発表したいと思います。

まずは・・男子2番井澤 隼君、男子10番田辺 和晃君

そして女子の死亡者は唯一の女子2番和泉 真紀さんの

以上3名です。

おかしいですね・・禁止エリアの数を増やしたはずなのに

前回の放送より死亡者が少ないですよ・・・

もっと頑張ってくださいね。

そんなわけで今回も特別に禁止エリアをもっと増やしました。

まず・・7時からF-2とF-7エリアが禁止エリアです。

9時からはI-10とE-9で

11時からはD-6とF-10をそれぞれ禁止エリアにしたいと思います。

それでは・・・またお昼にお会いしましょう」

そう言って毎度お馴染みの亜紅間からの定期放送は終わった。

ここはE-6・・男子8番島村 直人、女子18番藻上 美香

そして女子21番若松 まどかが潜伏している

地図には大きな民家と書かれている家の中だ。

「なぁ・・そろそろ移動しないか?」

直人が話をきりだす。

「そうだね・・・この辺だと昼間はかえって危ないかもね・・」

美香は意を決したように言った。

「俺らは今まともな武器はこのシグしかない・・

たぶん津部や関内に出会ったらすぐにやられてしまうかもしれない・・

それでも構わないか?」

「うん・・それでいいよ・・・早く希莉達と合流したいもんね」

まどかは納得のようだ。

「それじゃあ・・武器の確認だ・・・

このシグはまず俺がとりあえず持っておく・・それでいいな?」

それには2人とも頷いた。

何故ならこの中で銃器に長けているのは

以外にゲーム、パソコン等から得た知識で銃器の扱いに慣れている

直人が持っているべきだからだ。

「そしてこの果物ナイフ・・これは藻上でいいな?」

そこでまた美香もまどかもコクリと頷く。

「そして若松・・お前は役には一応たった

バレーボールと霧吹き洗剤を持っておいてくれ」

「了解です」まどかは微笑みながらそう言った。

「そして目標は小柴と合流すること・・後・・

この状況で後ゲームに乗っていないと断言できそうなのは

柊と高野ぐらいか・・・出来れば2人と合流しときたいところだな・・」

「まぁ希莉に合えたらどうにかなるでしょ」

美香が言う。

「それもそうだな・・よし移動するぞ!」3人は移動を開始した。


 ここはF-4・・診療所のエリアである・・

放送が終わった直後に愛理、淳、司の3人は

すぐさま話し合いを始めていた。

「で?これからどうするつもり?私はそろそろ歩いても平気だけど・・」

「そうだね・・1時間後にここが禁止エリアになるし」

淳の手に握られているCz75を一層強く握り締めた。

「だけどどこに移動するんだ?」司が尋ねる。

「うん・・・やっぱり島村君達と早めに合流してしまった方が

いいと思うんだ・・・」淳がそれに答える。

「まぁ・・・それがいいならそれでもいいんだが・・

場所は分かるのか?」

「あ・・・・」

「そういや希莉しか場所知らなかったわね・・・」

「おいおい・・勘弁しろよ・・場所くらい聞けよ」

司が呆れ顔で言った。

「しょうがないじゃない・・・私一時は排血症に掛かってて

柊君がずっと看病してたもの・・」

「まぁ・・どっちみち移動するしかなさそうだし・・

目星は付けとこうよ・・・」そこで淳が地図を見せる。

「な・・・そういやこのままだと行き来する道は

一つしかなくなるじゃねーか・・」

淳がこくりと顔を傾ける。

「となるとゲームに乗っている津部君と関内さんなんかは

このE-3、E-4、F-4辺りにいることが多くなるんじゃないかな?

こうやって待ち伏せてて移動してくる生徒を撃つのもあるし

あと広範囲に捜索する時にどうしても

この3つのエリアは通るだろうからね・・・

運よくこの2人が出会って同士討ちでもしてくれれば

ありがたいんだけど・・ね・・・」

「それで島村達は・・どこにいると思うんだ?」

「うん・・たぶん移動し始めてると思う・・・

たぶん・・たぶんだけど・・この辺禁止エリアが多くなってきただろう?

しかも最近は住宅地帯から聞こえてくる銃声が多いところから見て

いつまでもこんな目立つ民家にいたら危険って判断すると思うんだ・・

少なくとも俺ならそうするけど・・・」

愛理も司も淳の推理に「ほぉー」とした顔をしている。

「ならこの辺の森に潜伏し始めてる可能性が高いってことだよな?」

司が問う。それに対しまたもやコクリと顔を傾ける。

「なら決まりね・・この辺を重点的に捜索しましょう」

「そうそう・・・お前らこれもっとけ」

そう言って司が愛理達に渡したのは小型の無線機だった。

「あぁ・・これも学校で調達したんだ・・

他にもまだまだ欲しいものはあったんだけど

これぐらいにしといた・・

万が一離れ離れになったらこれで連絡を取り合う・・いいな?」

2人ともこくりと頷いた。

「それじゃあ行きましょう」

こっちのグループもどうやら動き出したようだ・・・

役場の管理モニター前では亜紅間が嫌な笑みを浮かべていた・・・。

「沢近グループ・・島村グループ・・そして小倉グループ・・

面白い展開になってきましたね・・・

これからこのグループらがどう崩壊していくのかが非常に楽しみですよ・・

津部君・・関内さん・・まぁあまり期待はしてませんが今井君と

小倉君・・

そして一番分からないのがこの小柴さんなんですよねぇ・・・

何故あの時一緒にいないで一人になったのでしょう・・

このゲームは仲間といたほうが有利に運びやすいのに・・

しかも一人になるなら柊君と沢近さんを殺してCz75も回収すれば

よかったのに・・どうしてでしょうか?・・・」

ゲームはまだ続く・・・。

                【残り14名】



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