56話

「な・・なんでてめぇがいるんだよ?」

正輝はこの誰もが予想だにしなかったこの展開に

正直驚きを隠せないで居た。

一方増田は余裕の表情を見せていた。

「おっと・・その銃で俺を殺せるか?

殺すのは簡単だが殺した瞬間

お前も本部から首輪に電波が送られてきて

ボンッ・・だからな」

笑いながらそう話した・・。

「あ・・舞?」

晶は舞の変わり果てた姿を見て一気に血の気が引いた。

「いや何・・ある一部の情報で高野さんが

政府のサーバにハッキングしたというものが

事前に流れてね・・

そうだなぁ・・だいたい夕べの6時前後だったと思うんだけど

まさかとは思ったけどやっぱ真偽を確かめたくてね・・

俺のクラスの生徒が起こした問題なんだから

俺がきっちり始末しなきゃと思ってな」

「だからって・・・」

「ん?」

「だからって何で舞を殺す必要があったのよ!

このプログラムってのは私達生徒が殺しあうことに

意味があって先生が殺したら元も子もないじゃない」

「・・・お前らもどうせ今から死ぬんだからな・・

それに生徒からルール改変を申し出るのは

そもそものルール違反なんだ

違反者はこちらで始末するのが鉄則だしな・・」

2人とも黙って話を聞いている・・・。

「っというかお前ら脱出計画練ってただろ・・

まぁ高野・・お前は小倉に結果として騙されていたわけだがな・・

ちなみに小倉はさらに嘘をついてるよ・・

こいつは政府側の人間なんかじゃ決して無い!」

晶は思わず正輝の方へ目をやった。

そしてにやりと笑みを浮かべる。

「や・・ぱりね・・まぁ・・無謀にもこんなゲームで

脱出しようと考えてたあたしらが馬鹿だったってことか・・」

晶の首からはかなりの量の血液が流れ始めていた。

「でも小倉君・・あなたは・・正しいことをしたんじゃない?

だって・・本当は脱出策が無かった・・

それなら最後の最後まで嘘を通して

残りがあたし達だけになった時を待てばあなたは

楽に優勝できたはず・・」

苦しそうに喋る晶を見て増田はポケットから何かを取り出した。

「もう諦めはついたよな?・・なら・・ゆっくり休め・・」

増田がその黒いリモコン・・

そうゲームが始まる前に亜紅間が児玉に使っていた

リモコンを取り出して晶の首にやろうとする。

「それを・・しなかった・・・て・・ことは・・

嘘を・・突き通したくなかった・・じゃない?

結果として・・こんな形で死ぬことになったけど・・

でもせめて・・」

晶の首から異質な電子音が鳴り出した。

ぴ・・ぴ・・・ぴ・・・ぴぴ

その感覚は次第に早くなっていく。

「ありがとう・・」

ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴー

「ボンッ」

この島に来て首輪の爆発の犠牲者はこれで5人目になる。

ゆっくりと舞に覆いかぶさるように倒れていった。

「さ・・次は小倉だな・・」

増田はリモコンを正輝に向ける。

しかしそこで増田の携帯に連絡が掛かった。

「もしもし・・あぁ・・亜紅間さんですか?

え・・・あ・・はいそうですか・・分かりました・・・それでは」

「何だよ?」

「よかったな・・命拾いしたぞお前・・

なんかお前人気者らしくて装備も結構しっかりしてるだろ?

それに近くに津部がいるって話だからな・・

お偉いさんはお前達の激戦に期待してるってわけだ・・

ついでだからこのヘッケラーお前に渡しておくよ

これも本部からの命令でな・・

それじゃ命拾いしたぶんも頑張れよ」

そう言ってヘッケラーコックと弾を小倉に渡して

茂みに消えていった。

小倉はため息をつきふと晶の方へ目をやった。

~ありがとう~

「か・・・お礼言われるようなこと何にもしてねぇけどな・・」

「ぴ・・・」「!?」

その電子音に反応し首輪に手を掛けるが

どうやら首輪ではない・・・

それは晶のスカートのポケットからだった。

ガダルカナル探知機・・・

首輪に反応して画面に表示される補助武器だ・・

中心には自分が写っている・・

そのすぐ近くに2つの点・・

晶と舞だろう・・・

しかしここで小倉は何かに気付いた・・・。

「津部・・か?」

画面にはもう一個の点が存在していた。

     新たな死亡者女子9番高野 晶【残り8名】



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