75話


ここはエリアで言えばF-3・・・。

港のあるエリアに3人は来ていた・・・。

どうやら兵士たちも突然の亜紅間の死と言う事実に

驚きを隠せなく

一旦引いたようだった・・・。

そして増田が多少被弾を受けながらも

案内してくれたのは

本来優勝者を乗せるための軍船だった。

3人と増田はそれに乗り込み

船の運転は増田がすることになった・・・。

「でもよ・・脱出した後・・どうするよ?」

司が柊たちに問う。

淳は少しだけ考えた・・そしてすぐにこう言った。

「俺・・外国に渡って医療の勉強・・本格的にしようかな?

って思ってるんだ・・・」

「成るほど・・そうか・・・」

司は次に愛理を見た・・。

「沢近・・お前は?」

自分にも降られることは承知していたのか

すぐに答えたが迷い口調だった。

「私は・・兄様が・・いるし・・

けど・・・この国にいたら・・」

そうして愛理は淳の方を見やる。

それを見て察知したのか司が微笑した。

「はは・・そうだな・・お前ら一緒に外国でも行って

静かに暮らしてるといいさ・・」

それ聞き2人はちょっとだけ目を合わせた・・。

そしてすぐに目を伏せる。

まだ・・心の準備も決まってないが・・

悪夢を過ごしてきた2人が本当に休息できる場所を

得るにはまだまだ先のことのようだ・・。

「そ・・そういう雪村は・・・どうすんだ?」

すると突然真面目な顔になった・・・。

「そうだな・・特には決まってない・・

政府と戦うってのはさすがの俺もしたくないがな・・

小倉や小柴が脱出してたらやりそうなことだが・・・」

「そう・・・ね・・」

愛理が俯いて涙をにじませた・・。

「それとな・・お前らも俺も皆のことを決して忘れてはいけない・・

みんなの分まで生きたんだ・・・

折角生きながらえたんだ・・・

どうせなら皆俺らのように脱出させてやりたかったよな・・

だがそれも無理だった・・・

なら出来ることはそれくらいか・・・

背負うんだ・・」

「背負う?」

舵をとってる増田は苦笑している・・。

自分も今だ背負っているのだろう・・

10年前のあのクラスの生徒たちのことを・・。

「俺らは・・これからなんだろうよ」

外はすでに朝焼けに包まれていた・・。

3人はそれを見上げて静かに頷いた・・。

船に乗せた3人のこれからは始まったばかりだった・・・。




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