インド洋に浮かぶフランス、レユニオン島

インド洋に浮かぶフランス、レユニオン島

●素材編 (Ingredients)



パルミストは、日本語でキャベツヤシと呼ぶそうで、ヤシの木の一種です。幹は、やわらかい針のついた皮が何枚も覆っているので(たけのこを思い出します)、食べるためには、この部分を取り除きます。中は真っ白く、柔らかい部分を、笹がきにしてサラダ、根元に近い、すこし固め部分は、グラタン、肉と一緒に蒸し煮にできます。味はクセがなく、とても上品な味。わたしの、島の大好物料理の一つです。

<バニラビーンズ - Vanille Bourbon> バニラは、この島の特産品のひとつです。バニラは、ラン科の植物で、一花ずつ人間の手で受精させてやらないと、鞘がならない上に、それから、収穫まで8ヶ月の長い時間が必要です。収穫の後、65度以上の湯につけ、それから蒸すと、わたし達が知っているバニラの茶色に色づきます。でも、これでおわりではありません。その後、太陽熱で乾かし、さらに冷暗所に8ヶ月置いて、やっと製品としてのバニラができあがります。

このバニラを、レユニオン島で生産されたサトウキビの砂糖壺に入れておくと、バニラの香りが砂糖に移り、コーヒーがさらにおいしくなります。バニラは、デザートだけではなく、鴨料理をはじめ、さまざまな肉料理にも使われています。バニラの甘い香りが、お肉の味をさらに引き立てます。

パルミスト palmiste


<ブレッド Brede> Brede (ブレッド)という単語は、仏日辞書には載っていません。Brede と言う言葉は、ポルトガル語のBredos または bledos(ブレドス)から来たそうです。日本風に言えば、「葉もの野菜」でしょうか。ブレッドには、いくつかの種類があります。日本で見かけるチンゲンサイも、中華ブレッド(Bredes chinos)と呼ばれて、市場で見かけます。その他、クレッソンも、ブレッド・クレッソンと呼ばれ、よくなじみのあるブレッドの一つです。

写真のブレッドは、シュシュ(Chocho)と呼ばれる野菜の葉です。ブレッド・シュシュは、なかでも一番多く食べられているのではないでしょうか。味が濃くて、歯ごたえがあり、なかなかおいしいのですが、つるを取ったり、茎のすじを取り除いたり、時間もかかります。

クレオル達は、スパイスを入れて炒めたり、ブカネ(Boucane)と呼ばれる豚肉の燻製と一緒に煮たりして、長米(riz long, 日本でいうタイ米)と一緒にいただきます。わたしは、日本風にそのまま炒めます。その際、レユニオン風に、たっぷりのニンニクと、少々の生姜をつぶしたものをまず炒めた上に、ブレッドを入れ、最後はお醤油をたらします。お皿に盛るときは、余分な水分は捨ててしまいます。

こういった葉もの野菜は、フランス本土では、中華食材店をのぞいてほとんど見られないのですよ。これも、中華系移民が多いレユニオン島ならでは、の食文化です。

ブレッド・シュシュ

参考文献・"Le guide de routard", Hachette, 2002.
"La cuisine réunionaise par l'image", Orphine, 2003.



© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: