「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ
音読訓練とは
(1)とりあえず何も見ないで聞く
どのくらい理解できるか試してみる。
「お!わかったぞ!」感とか、分からないところを後になってテキストで見たときに「そうだったのかーっ!」というインパクトを持つためであるから、全部分かるまでしつこく聞く必要はない。2~3回で十分。前に書いたように、「じぇんじぇん、さっぱり、皆目、わっかりません」という場合はレベルが合っていないので、泣く泣く、ちょっと易しいものに切り替えよう。
(2)テキストを見ながら聞く
発音の確認をすること
(3)テキストを見て、辞書は引かずに、どのくらい理解できるか試してみる。
分からない単語があっても、できる限り「推理」するように努める。 語学学習においてボキャブラリーが完璧になるなんてことはあり得ないので、類推する力というのも鍛えていかなければならない。だから辞書はここではすぐに引かないこと。けれど、これまた「分からない単語ばっかし…」という状態なら、レベルをもう少し下げるしかない。
(4)テキストの日本語訳を見ながら聞く。
受験勉強をしている人はともかく、そうでない人は、この時点では単語を辞書で調べる必要はない。テキストの訳や解説を見てしまおう。
(5)音読の実践。
これにはいくつものプロセスがある。
a.自分だけで読む=リーディング
b. 音声を聞いて、繰り返す。=リピーティング
c. 〃 ただしテキストを見ない。
d.音声と一緒に、テキストを見ながら読む =オーバーラッピング
e.音声と一緒に、テキストなしで読む = シャドウイング
これらに加えて、(2)であげたテキストを見てただ聞いている「アイ・シャドウイング」というプロセスも含めた
この6種類を、適宜繰り返すのである。
アイ・シャドウイング→a→b…というふうに「レベルがあがる」のではない。これらはすべて性質の違う、「同等の」練習である。それぞれに別種の効果を持っているのだ。だから、これらのプロセスを「繰り返す」ことに意味がある。
このとき、日本人学習者が犯しやすい間違いがある。
発音がおろそかになってしまうのである。シャドウイングやオーバーラッピングではそれなりに努力するとは思うが、音声と一緒に言わない場合は、すぐに「自己流」になってしまう。とくにテキストを見ている場合にそうなる。
少し(例によって)話が逸れるが、日本人はおそらく、文字情報にむちゃくちゃ強い。漢字ひらがなカタカナアルファベットの文字を読むことを、幼い頃から鍛えられているのである。こんな文化は他にない。
「世界の文字」を取り扱った本を見たことがある。見開き2ページで1つの「文字文化圏」を扱っている(1つの「言語」ではない。たとえば英語やその他の西欧諸言語は同じ「文字」を使っているので、それはすべて1つの「文字文化圏」となる)。左側のページにその文字の一覧と、諸法則が説明してあり、右側のページにその文字文化圏の新聞のサンプルが載せてある。アラビア語系の文字とか、タイの文字、タミル文字、シンハラ文字など、全くわけが分からず、法則もけっこう複雑で(文頭に来たときは同じ文字がこの形になり、文中ではこちらを使う、とか云々)
「うっわー。気が狂いそう。こんな文字使ってる人たちってすっごーい」
と思いながらページをめくっていたが、最後に「日本語文字文化圏」があり…そこに載っていた新聞を一目見て、
「………。 …一番気が狂いそうなのは、『ウチ』でしたね…」
と思った。漢字ひらがなカタカナアルファベット、おまけに本文を縦に書いたかと思うと、見出しは横書きだったり…。
でも、だからこそ、私たちは鍛えられ、その分、文字情報にものすごく強くなった。それに、文字情報が豊かなのである。漢字やカタカナひらがなを使い分けることで、微妙なニュアンスも文字で表せる。きょうびは顔文字なんてものも出てきて、ますます表現が豊かに(#^.^#)。
だから、ものすごく文字に頼っている。
その分、「耳からの情報」に、私たちは相対的に、弱いのだ
(もちろん個人差はある)。
中国語だって漢字があるから文字情報のほうではないか?と思うが、中国語はそれ以上に、音の高低で意味の違いを表すことが大きい。四声とか五声とか言って、同じ発音の語でもイントネーションで意味が変わる(日本語にも「箸」「端」「橋」など多少はあるけれどね)。だからやはり音声情報の比重が高く、その分、人々はそういう情報の取得に強い。マレーシアに住んでいるメール上の知人が、たしかに中国系の人は文字ではなく、聞いて覚えると言っていた。電話番号などもメモをせずに口で言って覚えるのだそうである。
さて、話を戻すと、文字情報に強く、その分音声情報に弱い日本人は、英語もまず「文字情報」として取り扱おうとしてしまう。
具体的にはこう言うことだ。
とある文を見ながら、音声を聞き、さあ繰り返して言ってください、と言うと、ほとんどの人は「テキストを読んで」しまうのである。
It's cool today, isn't it? を「イックー トゥデイ、イズニッ?」と読んでいるのを聞いていても、読むときはほとんどの人が
「イッツ クール トゥデイ、イズントイット?」
と読む。
It's too hot to work. も「イットゥーハットゥーワーク」である(カタカナで表記するのは無理があるが)のに
「イッツ トゥー ホット トゥー ウォーク」
などと読む。 work「ゥワーク」 とwalk「ウォーク」が混乱する人も多々いる。oの文字を見ると「オ」 aを見ると「a」と発音したくなってしまうのだ。
そうじゃなくて、と訂正しようとしても、なかなか聞いたとおりに発音できない。
それでは、と、テキストを取り上げてみる。何も見ないで、聞いて、発音してみなさい、と。
すると意外にも、テキストを見ているよりもちゃんとできたりするのである。たいがいの人がそのことに驚く。
(なにせ中学や高校で発音がないがしろにされることが多かった。今の中高生たちは音声教材が豊かだからそんなことはないと思うが、ある程度の年代以上の人は音声的にはかなり悲惨な英語教育を受けたと思う)
会話を目的とした音読の練習の時は、
とにかく、「聞こえたとおりに言う」ことを徹底的に意識しないといけない。
リピーティングの練習でも、テキストを「自己流に読みあげて」リピートした気になっている人があまりにも多いのである。自分がそうなっていないか、意識してみて欲しい。気がついていないだけで、気がつきさえすれば違ってくるはずだ。
音読の練習においては、テキストを見ない「シャドウイング」がとても重要である。日本人はとくに、テキストを離れることを意識的に行わなければならないのである。
だからといって、初めからテキストなしで音声だけ、というのもそれほど意味がない。むしろ、日本人の英語についての文字情報はある意味で「間違っている」ので、それを修正しなければならないから、テキストを見ながら「本当の音声情報」を聞いて、それをする必要があるのだ。だから逆に、テキストを自己流に読み上げるのもまたほとんど意味がない。(とはいえ前項で書いたように、かつての私はそれをやっていたのである。それも、文の区切りなどが分かり、意味が頭に入る、という意味では効果があった。音声教材がなくとも、何度も読み上げれば、人間の自然として「読みやすい」ようになってくるので、それなりには「正しかった」のである。ただしそれが「会話」には結びつかなかったことも証明されている(^_^;))
だから、
上に挙げたプロセスを繰り返し繰り返しやってみる必要がある。
耳で聞いて発音やリズムを確認し、テキストを見ながら読むことで、文字情報と音声情報を一致させる練習をし、シャドウイングで文字情報に頼らぬ練習をする。
ただし、「意味が分かって」やっていないといけない。文法的なことを意識する必要はここでは全くない。日本語が媒介でも構わないので、「意味を感じながら口に出す」ことが重要だ。好きな人に"I love you."と言うときになんにも感じないで言う人はいない。そのI love you!のように魂が意味を感じて言うレベルを、どんどん広げていくのが目的だ。それが「しゃべれる」ということである。
さて、次回はもっと具体的に音読トレーニングの実践ヒントを書く。
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