だから、「間違いがあれば正しなさい」という問題で A: Guess what! I saw Tom Cruise over there! B: You meantheTom Cruise?! などという文のtheを「あ~、間違いだ」と訂正してしまったりする。 でもこの例のthe Tom Cruiseは完全に正しい。それどころかTHE Tom Cruise?と大文字で表記したいくらいである。
電話を取り次いだ人は、Ms.Brownがなにものであるかはっきりは知らない。よって a Ms.Brownで「ブラウンさんという方」と言っているのだ。この場合、Brownはもちろん固有名詞であっても、Aさんにとっては「普通名詞」のようなものである。世の中にBrownさんという人はいくらでもいて、「その中のひとり」でしかないから。
「話の中で最初に出てきたものに a をつけ、2回目以降ではtheをつける」 という「ルール」も、絶対ではない。 こういう「ルール」だ、と思っていると A: Look! The koalas over there are sleeping. B: I heard koalas usually sleep 20 hours a day.
A: ねえ! あのコアラ寝てるよ! B: コアラってのは1日に20時間寝るんだってさ。
こういう例でも混乱する。 最初の the koalasは後ろにover there がついていて、文脈状「限定」されているのである。だが2番目の文では、「一般にコアラというものは」という意味で使っている(一般に~というものは、という意味で名詞を使うやり方についてはほかにもあるがまた後述する)。