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埼玉新聞の記事

saitama 平成14年-8月22日掲載記事全文


「セリフの力を借りて人を感動させたい」。

アルバイトをしながら一流の役者になるのを夢見る。

「演じることで自分の思いをうまく人に伝えられた時、
芝居を通して自分という人間を分かってもらえた時が一番うれしい」


北野武監督の作品に出るのが目標だ。

 一九七四年、山梨県で生まれてからすぐに、北葛飾郡鷲宮町に引っ越した。
大学には進学せず、東京の専門学校で演劇を学んだ。
その後、劇団を渡り歩き、今はプロダクションに所属している。

 小、中学校時代の成績は普通より少し上。目立つのは嫌ではなかったが、好きでもなかった。
始めた理由ははっきりしない。
テレビを見ているうちに出てみたいと強く思うようになった。

「芝居は一種の麻薬」 と自ら表現する。

観客が直接、感情をぶつける。
舞台でそんな生の空気を感じることが、いつの間にか快感になっていた。

 稽古が入ったときは月収が十万円に減ることもある。
旅行会社の電話受け付けや中華料理の配送を練習の合間にこなし、寝る間を惜しんで芝居に打ち込む。
今までやったアルバイトは二十を超えた。
肉体労働から事務の仕事まで何でもこなすが、芝居との折り合いがつかなくなったときは辞める。

「アルバイトは芝居のための生活費を稼ぐ場所。
芝居で食っていけたら、やらなくてもいいと思っている」


と割り切る。

舞台は年に二回ほど。

「一週間の舞台公演のために生きている」 と笑う。

 年齢を考えた時、将来に対する不安をかき消すように舞台にのめり込んでいる自分がいた。

「芝居で脚光を浴びて、次の日から普通のバイト生活に戻る。
家で一人っきりになった時、考えると不安になることもある」


と、現実とのはざまで揺れる胸の内を明かす。

 役者として手にする収入は少ないが、職業欄にフリーターと書くのには抵抗を感じる。

自分の肩書はあくまでも俳優。
不安定でも、スーツを着るサラリーマンより役者になる道を選んだ自分に悔いはない。

「表現するものを一言で言い尽くせないから芝居を続けている。
高一の時、初めて舞台に立ったあの時の緊張感とうれしさは今でも忘れられない。
その瞬間のために人生を賭けている」




埼玉新聞


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