あ~そ~ぼっ!

Hello!優希


・ため息の毎日
  流産してから悲しみと赤ちゃん欲しさから子づくりに必死になるが、妊娠の兆候なく毎月きっちりやってくる月のモノに「また来月まで待たないといけないのか…」とため息。妊娠してなかったとくるたびにホッとしていた以前とは大違いだ。もう、生むことができない身体なのかも…と心配になることもあった。


・生理が来ない
  11月の予定の日になっても生理が来ない。少し期待するが、妊娠判定薬は高価なので慎重にしたいと思い、そのまま様子を見る。予定日から10日過ぎ、益々期待が高まる。
 社員旅行で北海道に出かけるが思ったよりも冷え込み、スカートだった私の身体は下半身から冷えてしまった。そのためか単にできていなかったのか、帰ってきてから数日後にいつもより重めの生理が来てしまい。期待も希望も崩れ去ってしまった。そしてまた生理の度にため息をつく。


・なんだかしんどい…
  バレンタインデーの朝、目が覚めると身体がだるくて起きあがれない。微熱程度だったが、身体が思うように動かず会社を休む。休みの電話が終わるとホッとして布団に戻り横になるとすぐに眠れた。そして気づくともう夕方になっていた。
  休みの日でも一日中寝ているということのない私がどうしたのかな~やっぱり病気やったんやなぁ~と思い、休んだ身分だというのにバレンタインデーのプレゼントと夕飯を買いに出かけた。


・やっとの妊娠
  会社を休んでから数日後、生理が来ていないことに気付き、薬局に行って妊娠判定薬を購入した。早速、トイレに行って判定をする。ジワジワと判定窓が変色し始め、陽性を表す2本線がくっきり現れた。「やっとできた!」と思いでいっぱいになり、小躍りしながらトイレを出て旦那さんに報告。都合をつけて前回お世話になった産婦人科へ受診した。


・怖くて仕方がない妊娠初期
  「赤ちゃん元気にお腹の中にいますよ。おめでとう」と言われ、本当に赤ちゃんができていたんだ!とホッとする。けれども一人目の子は4ヶ月で流産してしまったから安心もできない。せめて一人目の子が生きていた所まで…と祈るような毎日となる。「元気ですよ」と言われた日は、安心感に包まれているが、次の日、その次の日と健診した日から遠のき始めると「大丈夫なのかな」「もしかして…」と不安でいっぱいになり、結局「○○週間後にまた来てください」と言われた日よりも早めに受診して安心をもらって帰るという日々がしばらく続いた。


・発熱
  仕事の帰り、なんだかしんどいな~と思いつつ夕飯の買い物をして帰る。旦那さんは出張で留守。実家に帰る気もなく一人で夕飯を食べるが食欲がいまいちで少し残す。しつこくしんどいので体温を測ると39度あった。しんどいはずだ。薬も飲めないので病院に電話をすると「受け付けますので来てください」とのこと。でも車で40分はかかる所。熱でうかされてる私に無事着く自信はなかったので病院からすぐの所に住んでいる両親に電話し、迎えに来てもらった。病院に行くと個室を貸してもらいしばらく点滴をうつ。次第に身体も楽になり「泊まってもいいですよ」と言われたが実家に帰ることにし、次の日検査をするからということで仕事も休んだ。


・安定期に入ってから…
  一人目の子が亡くなった月齢も越え、安定期に入り気持ちの方も多少なりとも安定してくる。定期健診も問題ないなく、元気に仕事をすることができた。そこらあたりから無事生まれてくることを期待できるようになり退院着やおくるみを縫い始める。出来上がると、一度洗濯をし、物干し竿に自分の縫った子供服が掛かっているのをみて「子どもが生まれたら洗濯物もこんな感じなんだなぁ」となごんでいた。


・なんだかしんどい…
 仕事も産休に入り、もう流産の恐れも大分遠のいたので家で着々と出産準備を始めていた時のこと。なんだか張るなぁと思いつつ定期の健診に行くと「微弱陣痛です」とのこと。予定日まではまだ20日程早いので持ち越せるならば持ち越して満期を迎えた方がいいとのことで、家で安静にする。


・予定日!
 待ちに待った予定日がやってきた!けれど子宮はまだ開いていないとのお医者さんの言葉。超音波で予想体重を出したところ3500gと大きめに測定されたので、あまり置いて置くわけにはいかないと思ったか、3日後に入院準備をして来てくださいと言われる。もうすぐあかちゃんに会えると思うと嬉しくて、近くの大型スーパーへ買い物に出かける。


・帰ってから…
  本当は出産まで実家に帰っておくつもりだったが、入院の日も決まったので家の整理をしておこうと旦那さんと家に帰る。家の片づけも程良く済んで夫婦共に就寝する。


・腰が痛いよ~
  夜中にひどい腰痛のようなものに襲われ目が覚める。生理痛のひどい時みたいな感じ。「もしかして陣痛…?」と慌てて飛び起き時計を見る。3時…時々痛みが引いて少しするとまた痛みが戻ってくる。ちょうど10分間隔でやってきている。まだ痛いなぁぐらいの軽さだったので一応かかりつけの産婦人科へ電話すると「たぶん陣痛だろうからすぐ来てください」と言われた。けれども肝心の運転手が昨日の仕事の疲れからかグーグーとよく寝ている。起こすのかわいそうと思い「朝になってからじゃだめですか~?」と尋ねると。「すぐ来た方がいいけどね~」と苦笑されてしまった。仕方なく旦那さんを叩き起こし家を出る。


・病院到着
  病院に着いたらすぐ看護婦さんが待っていて、子宮の様子を見る。「まだちょっとしか開いてないね」ということでとりあえず剃毛をしてから浣腸をしてお腹の中の物を出し切ってしまう。出産はすごく痛くて死にそうだと聞いていたのであかちゃんの顔を見れる期待半分、痛みの恐怖半分でドキドキだった。お腹に機械をつけて陣痛の様子もデータを取る。確かに陣痛は来ているみたいなのに子宮が開かない。


・まだまだ陣痛は続く
  そうしているうちに陣痛の痛みが増してきてウンウンうなるほどになってきた。腰を叩いてみたり部屋の中をクマのようにウロウロしたりあらゆる痛み逃れを試してみたが効果なし。あまりに唸るので看護婦さんが木馬を貸してくれる始末。しばらく木馬に乗っていた。
 でも駄目。全然お産は進まない。

・いつになったら終わるのか?
  朝の4時に入ってすでに夜。とうとう痛みで食事もろくにできなくなり夜も疲れて眠るかと思えば痛みで起こされ熟睡もできないままとうとう空入院2日目。何度も看護婦詰め所横の内診室へ足を運び、陣痛のデータを取り子宮口の様子を見ても進行状態は相変わらず…。いつになったらあかちゃんに会えるのか…もしかしたら会えないのかも…と不安になる。旦那さんも生まれるのを待ちつつどうしていいか分からず手持ちぶさたの様子。とうとう2日目の夕方になってしまう。


・呼び出し
  外来の内診室に呼ばれ、フラフラしながら中待合いに入ると椅子が満員で無い。「どうして~?!」と思っていたら何故か学生服の男女が二人座っている。なんでこんなところに男が…?と思いつつもうかなり弱っていた私は文句を言うどころではなく計測室のドアを叩いて看護婦さんに「い…椅子ありませんか…?」というのが精一杯だった。後で思えば男が座る椅子なんかな~い!どけ~!
内診室に入るとやはり「う~ん」とお医者さん。降りきっていないみたい。診察室に行くと「もうかなりあかちゃんもしんどいって言ってきてるし、もしこのまま進まないようだったら帝王切開をしないといけない。とりあえずおうちの人と相談をしてください。6時の時点で家族の人と一緒にお話をします」と言われる。もう2日もウンウン唸っていた私にしたら「やっと切ってくれるんですか!」という気持ちだった。もうここまできたら切ってしまった方が手っ取り早い。気持ちは帝王切開に完全に傾いていた。


・話し合い
  6時になり、旦那さんを連れて入院棟の診察室へ行く。お医者さんもほとんど帝王切開と決めていたようで、帝王切開の詳細を話し始めた。そして手術は9時に始めるとのことでその間に簡単な検査をしたり点滴を打ったり必要なことを一通りし、手術室に呼ばれた。


・手術開始
分娩室に入ると分娩台の反対側に手術台があることに初めて気がついた。「本当だったらあっちに乗るんだったんだけどな~」と思いつつ、衣服を脱いで手術台の上に寝ころぶ。麻酔医が来ていて麻酔を打つとすぐに足の感覚がなくなりサッサッと切り始めた。全然痛くない。頭の所に誰かいるな~と思っていたら「押しますよ」の一声でお腹を押され途端に「オギャ~」と産声。自分のあかちゃんがあげた声に思わず泣けてしまった。手術前に「頭は動かさないでくださいね」と注意されていたにも関わらずあかちゃんを見ようとキョロキョロしてしまった。「あかちゃんをお風呂に入れてくるからね」ということですぐには見れなかったが、私のお腹を縫い合わせている間に「ほら女の子のあかちゃんですよ」と近くまで連れてきてくれた。お猿みたいなシワシワを想像していただけに「意外とツルッとした顔で出てくるんだ」と変な感想だった。体重は3145g。予想体重より軽かった。先生の話ではへその緒がグルグル巻きの上にたすきがけで胸の辺りで交差してすごく巻いていたとのこと。それでは降りてこないのもしょうがない。


・帝王切開手術
  あかちゃんは手術が始まって15分程で出てくるが、その後の私の開いたお腹を縫うのにすごく時間がかかる。麻酔が効いて痛くは無いが内臓を触られている感じは分かるので途中で「気分が…悪いです…」と情けない声を出してしまった。結局吐きそうになりながらもなんとか手術開始1時間後には終了し、「1.2.3ハイ」とよくテレビの「救急24時間」みたいにストレッチャーに移され運ばれた。そして部屋に戻されるとガヤガヤとたくさんの看護婦さん達は部屋を出ていった。看護婦さんって大変だ。


・絶対安静
  術後1日は絶対安静とのことだったが2日近く寝ていなかった私には苦にもならずぐっすり寝た。2時間に一度看護婦さんが血圧・体温を測りにやってきた。
 次の日はやっとご飯が食べられる!と喜んでいたらおもゆがやってきた。全然足らない。けれども盲腸の手術と一緒でガスが出るまで駄目なのだそうだ。早くガスを出そうと必死にお尻に力を入れる。でももともと2日ほど何も食べていないから出ない…。点滴もすぐにとってくれるのかと思っていたら3日程は続きますとのこと。げっそり…。


・自立歩行
  その日のうちに導尿の管も取られ、自分でトイレに行く練習をさせられる。何気に起きあがろうとして下腹部に激痛が走る。起きれない立てない歩けない…。なのに何故か尿間隔が短くてすぐに行きたくなる。一歩前に出すたびにズーンと重く痛みがのしかかり次の一歩が踏み出せない。ご飯は3日目から普通食になりバクバク食べる。


・頭痛
  なんだか頭が痛い…。それがしばらく続き、看護婦さんに言うと「麻酔の副作用でなる人がいる」とのこと。あまりに痛いのでアイスノンを貸してもらうとかなり軽減されたがアイスノンも温まってくると効かないので親にアイスノンを一つ買ってきてもらい、二つのアイスノンをかわりばんこに使用する。あかちゃんに母乳をあげに行きたいのに頭痛で動けずほとんど行けずじまいになってしまった。


・退院
  なんとか退院するが頭痛はひどい上に私の体質上の問題で患部が膿んでしまい退院後も私だけ通院することになる。それでもあかちゃんが自分の手元に渡されると「あぁ自分の子なんだ~」と実感しつつ連れて帰る。名前も入院中に旦那さんと相談して決まっていた。


・泣き!
  入院している時はほとんど看護婦さんが見てくれていて思わなかったが、よく泣く。寝ていてもお母さんを起こせる波長なのかホゲ~ホゲ~と泣くと寝ていても目が覚めてしまう。それがつらかったが環境が慣れないせいだったのだろうしばらくするとあまり泣かなくなった。


・家での沐浴
  何故か私が入れていた。お腹の傷もしっかりと癒えず寝起きするのも一苦労だったのにどうやって一人であかちゃんを沐浴させていたのか今では分からないが、両親も旦那さんも入れいた記憶はない。


・ミルク
  よく飲む。あっという間に飲んでしまうのでだっこしているしんどさがなかった。頭痛と傷の痛みで起きていられなかったため完全に母乳であげることができず
粉ミルクを活用。
子どもへの愛着も持ち始める。

出産までいろんなことがあって生まれた我が子ももうすぐ2歳になり、とてもおしゃべりさんになりました。やはり我が子ってかわいいものですね。

恵まれて授かった次の命へ



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