フラディア ◇失ったもの、得たもの◇



そう、

君ノ瞳ガツブヤイタ―――――

……何で、

俺は

此処に居るんだっけな…


◇失ったもの、得たもの◇


場所は足つきの艦内…

俺は…“捕虜”



いつから俺が此処にいて、

いつからソイツが其処に居ただろう。


曖昧…な記憶。


何もかもを、忘れられたらとか…

らしくねぇこと考えて…

“ニコルが…死んだから…”

弔い合戦なんてあいつは望まないだろう、ケド。

あの時は、そんな事考えなくて、


考えられなくて――――――――

デュエルが落ちて、俺は…投降なんぞしちまって…

しかも、拘束されちまって?

情けない…!

いや、アイツが、

ニコルが“MIA”だなんて信じられなくて。

信じられるわけ無くて。


入隊当時から、赤を着る仲間で?

一番年下の癖に、しっかりしてて?

死ぬわけ、ねぇじゃん。



パラパラ



考え事をしている俺の耳に雑誌をめくる音が聞こえる。

「アンタ、なんで此処にいんのさ」

「理由なんていらないでしょ。あえていうなら、まぁ、監視?」

あえていうならって…なんなんだこのおっさん…。

「…暇人?」

「黙ってろよ。まったく最近のガキは…」

「じゃー、黙ってっからそれ貸してくんない?」

俺はさっきからこのヘンなおっさんが見ているグラビアを貸せ、と言ってみる。
どっちみち手は繋がれてて見れないだろうケド。

「だーめ。これは大人が見るもんなの」

「ガキ扱いすんなよな」

十分ガキだと笑うソイツを睨みつけて顔を背ける。

もう、何も信じられなくなりそうだ。






「お前の仲間、殺られたみたいじゃない」






いけしゃあしゃあと口を開き、傷を抉る。

守るとかは無くても、“仲間”で。

せめて、ストライクを…撃ちたかったのに―――


「ストライクを撃ちたかった?」


あぁ、そうだよ。


「仲間が殺されて悔しい?悲しい?」


くや、しいんだよ…!


「何で、そんな顔、してんの?」


「は?」


「泣きそうな顔して?何も言わないで。プライドが許さないわけ?」

コーディネイターの考える事は俺には分からないけどとか、言いながら…グラビアに
視線を戻す。


泣きそうに、なんて…なってない!

…なってない。

「アンタなんかに何がわかんだよ?」

「分かんないって言ったじゃん。ただ、経験上ねー。」


降り積もる記憶。

どこまでもどこまでも…時間をさかのぼって。

ニコルとの時間の事が、沈黙と共に、降り積もる。

「………って…」

いちなり腕つかまれて、引っ張られて。

腕、拘束されてんのが分からないくらいナチュラルは馬鹿なのか?

「宇宙でさぁ…」


「……は?」


「黙って聞けよ。宇宙で、バスターと交戦してたMA乗りって俺なんだよね」

「………。で?」

「いや、あんときは色々あったなぁって」

「…………。」

何、言いたいんだ?コイツ―――…

「見ないから泣いとけば?」

「――――――――――!」

泣けって?
俺に?

なん…で…。

そうこうしている間に、いつのまにかその体勢…乱暴に抱き締められたような形で…
俺は暫く、涙を流していた。


「コーディネイターだ、ナチュラルだ、って言ったって…同じなんだからさ」

同じ…
同じだというなら、何故、
俺たちは争ってるんだ…
その争いで散った命は、
少ない、なんて事は絶対にありえないのに。

「お前、死ななくて良かったじゃないか。」

「―――――は?」

敵にかける言葉じゃない…。
でも、コイツ今は…敵じゃ…ないかもしれない。
軍人、つっても、なんか、どこか違う…

「…お互いに。」

「……ッカ。」

「何…?」

「俺はディアッカ!ナチュラルだって名前くらい覚えられるんだろっ?!」

「へぇ?泣いたら素直になっちゃってまぁ…。」

そう軽口叩きつつも俺の事を今度は優しく…抱き締めてくれて…

どちらからと言う事もなく…


口唇が重なって――――――――――――…

+++

マガにてリクエストして頂いたフラディア。
最初は書けるだろうかと思ったCPなんですがー…
ネタはすぐ浮かびましたね(この腐女子め)
でも、口調とか全然駄目ですね…(溜息)



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