迷鴎亭 ★BAKERY FESTE★

迷鴎亭 ★BAKERY FESTE★

2006.01.18
XML
1944年アメリカ映画。主演ケーリー・グラント。

劇場主のジェリー(ケーリー・グラント)は、十万ドルの借金が返せなくて劇場を失いかけているとき、踊る青虫を飼っている少年に出会う。青虫は少年がハーモニカを吹くと踊るのだ。
そのことがラジオで放送されると、全国で話題になり、ジェリーは少年とパートナー関係を結んで、青虫で劇場を救おうと考えるが、有名にはなったものの1セントの儲けにもならない。返済期限は迫っている。そこへ、ウォルト・ディズニー本人から青虫を十万ドルで買おうという話が持ちかけられて・・・。

全体にファンタジーっぽいコメディである。踊る青虫の話題は、戦時中のアメリカ国民に夢を与えるおとぎばなしのような話としてラジオで放送されるのだが、実際にこの映画の制作年が1944年ということに驚いた。そのころイギリスでは国威高揚劇「ヘンリー5世」がローレンス・オリビエによって映画化されていた(イギリス国内で撮ったのかどうかは知らないが)。

映画の中で、青虫は箱に入っていて、画面には登場しない。青虫が踊る様子を、人は箱に開けられた小さな穴から見る。科学者たちが青虫を取り出して調査する場面でも、実際に青虫は映されない。技術的な問題だったといえばそれまでだが、見えない青虫が話の中心であることによって、物語中のアメリカ国民(ラジオで話を聞くだけで青虫の踊りを実際に見ることはない)と映画の観客は同じおとぎばなしの聴き手になっている。

ネタバレ、といっても誰でも当然予想する結末は、青虫が蝶になって広い世界に飛び立っていくことになる。どんな蝶かというと、これも大方の予想どおり、アゲハチョウである。
ちなみに、青虫は原語でcaterpillar、イモムシでも毛虫でもありうる。観客は、見えないcaterpillarがどんな虫で、何の幼虫だと思いながら見ているのか・・・今言ったように、アゲハチョウのアオムシなのだ、たぶん。身近に見られる一番大きく美しい鱗翅目である。
さらにネタバレを言うと、蝶になったカーリー(少年がつけた青虫の名前)は、ちゃんと画面に登場する。実写の中に組み込まれたアニメーションで。部屋の中をひらひら飛び回る蝶をアニメーションで表現できるなら、箱の中で踊る青虫だって見せることができたはずだ。やはり幼虫時代のカーリーが姿を見せないことには、意味があるのだ。

アメリカ本土は戦場にならなかったとはいえ、1944年に、こんな時勢だからこそ夢のようなお話が必要だと考えて、実際にこんな映画を作ったのはすばらしいと思う。私が単に虫という字に引かれて見てしまったことはバレバレだけど・・・。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.01.18 20:59:48
コメント(2) | コメントを書く
[本・映画・演劇など] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: