趣味の漢詩と日本文学

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March 23, 2006
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カテゴリ: 漢詩・漢文
題大理黄主簿湖上高齋 劉長卿
閉門湖水畔、自與白鴎親。
竟日窗中岫、終年林下人。
俗輕儒服弊、家厭法官貧。
多雨茅簷夜、空洲草徑春。
桃源君莫愛、且作漢朝臣。
【韻字】親・人・貧・春・臣(平声、真韻)。
【訓読文】
大理黄主簿が湖上の高斎に題す。

竟日窓中の岫、終年林下の人。
俗は軽んず儒服の弊(つか)れたるを、家は厭ふ法官の貧しきを。
多雨茅簷の夜、空洲草径の春。
桃源君愛すること莫かれ、且(しばらく)漢朝の臣と作(な)らん。
【注】
○大理黄主簿 劉長卿の友人らしいが、未詳、「大理」は、司法官。「主簿」は、記録・帳簿係の下級役人。
○高斎 高大な書斎。
○鴎 カモメ。「鴎盟」(カモメを友とする。隠居する)という漢語があるように、カモメとたわむれることは、世俗からかけ離れた生活を意味する。
○窓中岫 窓から見える遠くの山の洞穴。『古詩源』巻十二・謝■(「月」のみぎに「兆」。チョウ)《郡内高斎閑望答呂法曹》「窓中遠岫を列し、庭際喬林に俯す」。
○儒服 学者の着る青い服。
○弊 ボロボロなようす。

○茅簷 かやぶき屋根。
○桃源 世俗を脱した別天地。
○漢朝 漢王朝。陶淵明の《桃花源記》に「すなはち漢あるを知らざるなり」(桃源郷の民が漢王朝の存在を知らずにいた)とあるのをふまえる。また、「唐」と表現すると支障があるので、それを避けて「漢」と表現したもの。
【訳】
大里主簿の黄氏の湖畔の高大な書斎を詠んだ詩。

窓から見える山の洞、日がな一日ながめやり、静かな林のその中で、のんびり年を送るらん。
民は学者を軽蔑し、家人薄給厭うらん。
茅葺き屋根を雨が打ち、中洲に春の草芽吹く。
君求むるな理想郷、役人ぐらし、国のため。





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Last updated  March 23, 2006 10:39:34 AM
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