趣味の漢詩と日本文学

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October 20, 2008
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カテゴリ: 漢詩・漢文
湘中紀行十首 横龍渡 劉長卿
空傳古岸下、曾見蛟龍去。
秋水晩沈沈、猶(一作獨)疑在深(一作何)處。
亂聲沙上石、倒影雲中樹。
獨見(一作繋)一扁舟、樵人往來渡。
【韻字】去・処・樹()
【訓読文】
湘中紀行十首 横龍渡
空しく伝ふ古岸の下、曾て見き蛟龍の去りしを。

乱声沙上の石、影を倒(さかしま)にす雲中の樹。
独り見る(一に「繋」に作る)一扁舟にて、樵人渡しを往来するを。
【注】
○湘中 湖南省湘江の流域中部の長沙市およびその付近。
○紀行 旅先での見聞・感懐を詠じた詩文。 
○横龍渡 ■(「シ」に「元」。ゲン)江県の横龍橋付近にあった渡し場か。
○古岸 古びた岸辺。
○曾 かつて。
○蛟龍 鱗があり水中に住む竜。
○秋水 秋の清く澄んだ水。
○沈沈 水が深いさま。

○乱声 みだりがわしい流水の音。
○倒影 影をさかさまに映す。
○雲中樹 雲にむかって聳える高い木。
○独 ただ。
○扁舟 小舟。

○往来 行き来する。
【訳】
湘中を旅したときのことを詠じた詩十首のうち、横龍渡を詠じた詩。
古びた岸にはいにしえの今は空しき言い伝え。かつてはここで蛟龍が姿現し去ったとか。
秋の川水夕暮れに深くたたえて底しれず、まだこの深き淵の底竜わだかまり住めるかと。
川砂の上音立てて水は勢いよく流れ、天に向かって立つ樹木、影さかさまに映しおり。
いまはただ見る小舟にて、木こり往来するばかり。





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Last updated  October 20, 2008 05:34:11 PM
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