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2004年07月16日

「原告の申立てに基づき、民事の法律上の争訟につき裁判所が対立当事者の主体的な関与の下に事実を認定し法を適用して
権利法律関係の存否を判断し、その判断内容に裁判所および
当事者を拘束し、給付を命じ、または新たな権利関係を形成する
判決をするための判決手続」を言います。

これでは長すぎてよくわかりません。
そこで、民事訴訟とは民事の法律上の争いごとを強制的に決着させる手続だと思って下さい。
重要なのは法律上の争いごとでなくてはいけないということです。
具体的には民法などの法律上の根拠がある争いごとでなくてはいけないということです。

従って、民事訴訟に登場する「人」にも民法と似たような制限が
かけられるであろう事はご想像いただけるでしょうか。
そして、その制限のことを「当事者能力」と表現します。
「当事者」とは「訴え、または訴えられることによって判決の
名宛人となる者」を言います。
「判決の名宛人」というのは判決に名前が載る人と思っていただければ十分です。
つまり、原告または被告のことを「当事者」と言うのです。

では原告か被告になれる、つまり当事者能力があるのはどんな人でしょうか。
民法上、自然人であれば出生すれば誰もが権利を手に入れられます。
（民法１条の３　　私権ノ享有ハ出生ニ始マル）
権利を手に入れられるということは裏を返すと
権利に関する紛争に巻き込まれる可能性があるということです。
なので、当事者能力は誰もが持っていると考えられます。
そうしないと、民法上権利を認められた人が
裁判でその権利を主張できないことになってしまうからです。

（原則）
民事訴訟法第二十八条
当事者能力、訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は、
この法律に特別の定めがある場合を除き、
民法（明治二十九年法律第八十九号）その他の法令に従う。
訴訟行為をするのに必要な授権についても、同様とする。

しかし、当事者能力があるからと言って全ての
自然人を法廷に立たせてもいいものでしょうか。
例えば、親を殺された子がその慰謝料を請求する
裁判を考えてください。そしてその子が３歳だったらどうでしょう。

３歳でも親を失った精神的苦痛は想像を絶するものですから、
慰謝料請求権は民法上認められます。
しかし、３歳の子に法廷で原告として何かしゃべらせたとしても
実効性があるかは疑問です。ちゃんと請求すべきことを
請求できるかは疑問なのです。
これは、民法上「３歳の子供が１００万円の壷を買う契約を
してよいのか」という疑問とよく似ています。
そこで、「当事者能力」があったとしても、一定の能力が
ない場合には法廷でしゃべることはできないとされます。
これを「訴訟能力」と言います。

そして、民法上一人で契約ができないとされる人は、
やはり民事訴訟でも十分にしゃべれないだろうと
考えられます。
よって、民法において一人では
契約ができないとされる未成年者や
成年被後見人・被保佐人・被補助人は
「訴訟能力」がないとされます。

では、万一当事者能力・訴訟能力が無いのに裁判をしてしまい、
判決が出たらどうなるのでしょうか。

この裁判は正しくない裁判ですから、上訴・再審によって争うことができます。
ここで、上訴とは、確定前の判決について控訴・上告することをいいます。
上告とは最高裁判所に訴えることをいい、控訴とは最高裁以外の
裁判所に訴えることを言います。
再審とは確定後にもう一度争うことを言います。
ちなみに確定とは再審以外ではもう訴えられなくなることを言います。
循環論法ですが、勘弁してください。

今日はここまでです。

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